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【単独インタビュー】覚醒したすみだの10番・田口元気。29歳でつかんだ日本代表ラストチャンス

2月19日(水)、日本代表はパラグアイ代表との国際親善試合に臨む。当初、この試合はアジア選手権に向けた「最終調整」となるはずだったが、大会延期となったことで「再テスト」へと意味合いを変えた。

そこで選ばれたのが、フウガドールすみだの田口元気だ。直前のスペイン遠征に招集されていないなかでのサプライズ選出。田口にとっては、代表生き残りへ向けた最後のチャンスが転がり込んできたことになる。

今シーズンの田口は、確実に一皮剥けた。試合における安定感が増して、プレーオフで見せた存在感はまさに、代表選手が持つものだった。もし、田口がパラグアイ戦でインパクトを残すことができれば、メンバーが固定されつつあるチームに、いい意味で刺激を与えることは間違いない。

大ケガからの復活、シーズンを通して続けたハイパフォーマンス、そして代表サプライズ選出。現在、29歳。ブルーノ・ジャパンの新たなスパイスとなれるのか。招集決定直後に、その想いを聞いた。

“あのゴール”が評価につながった可能性はある

──日本代表選出おめでとうございます。昨年7月の代表合宿で初招集を受けた田口選手ですが、国際試合での招集は今回が初めてになります。連絡を受けた際のお気持ちを聞かせてください。

率直に、「これは紛れもなくチャンスだな」と思いました。昨年は7月、8月、12月と計3回代表に招集していただいたのですが、先日のスペイン遠征のメンバーには入れていなかったので。一度はなくなりかけたアジア選手権のメンバー入りの可能性が再度こういう形で出てきたので、今やれる限りのことを出し切りたいと思います。

──今年29歳ですし、アジア選手権はもちろん、その先のワールドカップ出場を目指すなら年齢的にも今回が勝負ですよね。

そうですね。今回を逃すと次回は33歳なので、客観的に考えて「20代の選手にワールドカップを経験させた方がいい」という判断になると思うので。今回にかける気持ちはやはり強いです。自分としてはアジア選手権のメンバー入りが厳しそうだとなった時点で、「3月の全日本選手権で結果を残して再度アピールしよう」と一度、気持ちを切り替えていましたが、一転してチャンスがきた。やれることはやってきているつもりなので、あとは自信を持って臨みたいと思います。

──バサジィ大分とのFリーグプレーオフ準決勝第2戦では、あと一歩で逆転というところまで迫る貴重な追撃ゴールを上げました。重要な一戦での活躍がブルーノ監督の目に留まったのではないでしょうか。

たしかにインパクトはあったかもしれないですね。プレーオフのような試合は普段のリーグ戦の1試合と比べて、1本のパスに対する神経のすり減り方からして全く違う。そういう重圧の中で試合を動かせたり、決められたりする選手が日本代表に呼ばれていると思います。もちろん、最終的にあそこでもう1点決めてチームを決勝に導けるような、もう一段上の選手を目指さないといけないですが、あのゴールが一定の評価につながった可能性はあるかもしれないです。

──今シーズンのFリーグは28試合に出場して12ゴール。キャリアハイとも言える充実のシーズンだったのでは?

そうですね。チームとして一度は絶望的と思われた状況から、逆転でプレーオフに進出できましたし、個人としてもコンスタントに結果が残せたシーズンだったと思います。

──フィジカルコンディションも非常に良さそうでした。以前に比べて体の厚みも増したように見えるのですが。

前の年にアキレス腱断裂で約半年間離脱してしまって、その期間に上半身を徹底的に鍛え直しました。上半身の筋力強化に関してはかなり以前から「やらなきゃ」と思ってはいたものの、シーズン中はなかなかできずにいたので。当時は今より出場時間も短かったので、スポットで出た時に結果を残すために、どうしてもコンディション優先になってしまっていたんです。脚のケガで下半身が使えなかったので、逆にこれはいい機会だと捉えて、上半身を思い切りやれたのが今シーズン生きたと思います。

──攻守両面でプレーの安定感が格段に増していた理由はそこにあったんですね。

一つの要因ですね。安定感という意味では、チームの練習を上から見る時間が増えたのも大きかった。うちの練習場はウエイトのマシンがコートの上のフロアにあるので、ピッチがよく見えるんです。須賀(雄大)監督が目指すフットサルをより深く理解できたし、より客観的にフットサルを見れるようになったというか。プレー中でも、相手選手を観察することで以前より多くの情報を拾えるようになったと思います。もちろん、体の強さが増したからこそピッチ上で余裕を持って周りを見れるようになったという側面もあると思うので、全部が関連してくるんですけど。

──なるほど。リハビリ期間中に上半身のフィジカルが強化され、さらに副産物的に洞察力も磨かれたことでプレー中の余裕が生まれ、それによって田口選手が本来持っていた長所を出やすくなったと。

そうですね。ドリブルとかシュートとか、技術面が飛躍的にうまくなったということはなくて、それ以外の部分が変わったかなという実感があります。昔と今で違うのは、自分が決断したプレーを説明できるようになったことだと思います。今のプレーはこういう状況だったのでこういう考えでこっちを選択した、というように整理して言語化できるようになりました。

──ケガでプレーできない期間を有効活用できた。

ケガをしたときはすごく調子がよくて、それまでに感じたことのない手応えを得ていました。だから最初は相当、へこみましたけどね……(苦笑)。だからこそ、そのままでは終わりたくなかったですし、結果的に自分の成長につなげられたのはよかったと思います。

──苦しい半年間を乗り越えた末に今シーズンの活躍があって、ついに巡ってきた代表定着のチャンス。力が入りますね。

冒頭でお話ししたように、これは紛れもなくチャンスであり、正念場。正直、ピッチに立てるチャンスはこないかもしれないし、出ても数分という可能性もあります。でももし、一度でもピッチに立つチャンスがあったら、思い切って自分のプレーを出す、それだけですね。いい準備をして臨みたいと思います。

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