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絶望の淵からの優勝劇 欧米の賞金王を迎え撃った東聡の激闘【名勝負ものがたり】 | ゴルフのポータルサイトALBA.Net

ジャンボの祝福を受ける東聡

歳月が流れても、語り継がれる戦いがある。役者や舞台、筋書きはもちろんのこと、芝や空の色、風の音に至るまでの鮮やかな記憶。かたずを飲んで見守る人の息づかいや、その後の喝采まで含めた名勝負の舞台裏が、関わった人の証言で、よみがえる。

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今回は1995年住友VISA太平洋マスターズで見せた東聡。予選ラウンドで欧米の賞金王に勝って首位に立ち、棄権を覚悟しながらの最終日を乗り越えた裏にあったものとは—。

「!!」。東聡の左肩に激痛が走ったのは、最終日の朝、スタート前の練習場でのことだった。東が、悪夢の瞬間を振り返る。「短いクラブから始めて、5番(アイアン)だったか…逆目の芝に『ガン!』と突っかかって、左の肩を痛めてしまった」。痛みは、深刻なものだった。「もう、球を打てそうもないな、となってしまった。気持ち的には、7割がた、棄権に傾いていましたから」。

とはいえ、簡単にあきらめられるような状況ではなかった。1995年11月。東は秋のビッグトーナメント、住友VISA太平洋マスターズで2位に2打差をつけ、単独のトーナメントリーダーに立っていた。しかもここまで、賞金ランキングでもトップ。春先に[ダンロップ]()フェニックス、カシオワールド、日本シリーズと続く高額大会の初戦をモノにするとなれば、大本命のジャンボ尾崎を抑えての賞金王も現実味を帯びる。

スタート時間が刻々と迫る中、東は導入されたばかりのフィットネストレーラーで電気治療を受ける。スタートまではもう40分しかない。痛み止めも飲んでみたが、事態は改善しない。もはや、これまでか。

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