浦和レッズ 宇賀神友弥 TOMOYA UGAJIN Vol.2「現役選手のうちに立ち上げたかった」
Jリーグの名門クラブ、浦和レッズで10年以上も活躍し続けているプロサッカー選手・宇賀神友弥。
日本有数のサイドプレーヤーには、もう一つの顔がある。それが地元・埼玉県戸田市で運営するフットサルコートとサッカースクールだ。
現役選手の間に立ち上げた理由、子どもたちに伝えたいメッセージ、サッカー選手としてのこだわり……。
「SmartSportsNews」の独占インタビューを3回に分けてお届けする。
サッカー選手として視野が広がった
——ビジネスをするのは引退した後でもできると思うのですが、なぜ現役選手として活躍している今だったのでしょうか。
戸田の子どもたちのことを考えると1日でも早くやりたかったんです。戸田市でこういう場所を作るのは、戸田市出身で1人しかいないプロサッカー選手の自分が動き出さなかったら、何年後になるかわからないじゃないですか。
——現状を嘆くだけでなく、まずは行動に移すと。でも、現役選手との両立はかなり大変な気がするんですが……。
簡単じゃないです(笑)。本業はプロサッカー選手ですし、目の前の試合をしっかりと戦うことが何よりも大事です。他のことをやっていたからパフォーマンスが下がったとは絶対に言われたくなかったので。
——ただ、一般的にはサッカー選手の間はプレーに集中しろという見方も根強くありますが。
うーん、僕はそれは逆なんじゃないかなと。
——逆ですか?
元日本代表の森岡隆三さんと話したことがあるんですが、サッカーとビジネスって共通点があるんです。攻めるところと守るところ、ここは行こう、ここは止めておこうという見極めがすごく大事になってくる。それを間違えると勝敗が決まってしまう。人を見る目も養われますし、チームの作り方も学ぶものが多いと思っています。
——どんな人が現役選手とビジネスマンの両立に向いていると思いますか。
オンとオフの切り替えができる人間はやったほうがいい。サッカーの時も仕事のことを考えているのはダメだと思いますが、サッカー選手はプレーしている以外の時間が結構あるので、そこでビジネスをやることはサッカーにもプラスに働くんじゃないかと。
——経営者になることで宇賀神選手のプレースタイルも変わってきそうですか?
昔は本当にがむしゃらというか、運動量とかスピードで勝負する感じだった。だけど、年齢を重ねるごとに相手との駆け引きが面白くなってきたんです。いつ行けば相手は嫌がるのか、どこにポジションをとれば優位に立てるのか。視野が広がってきたというか、余裕が出てきたのかもしれません。
井の中の蛙にならないように
——宇賀神選手はサッカースクールのカリキュラムなどにも関わっているんですか?
はい。サッカーのトレーニングに関しては僕がプロとしてやってきたことを、メインコーチの犬丸圭吾と話しながらカリキュラムに落とし込んでいます。あとは、僕が秋本真吾さんというスプリントコーチの方から個人指導を2014年から受けているのですが、秋本さんがやっている「0.01プロジェクト」とパートナー契約をしていて、走りのトレーニングも取り入れています。
——自分がプロ選手としてやってきた経験が生きている?
僕自身が走りの指導を受けることで明らかに変わったなと実感しています。今までは100%の力を出して100のスピードを出していたのが、70〜80%ぐらいの力で100を出せるようになったんです。つまり、効率の良い走り方ができるようになった。試合終盤までスタミナが持つようになったのは、走りのフォームを改善したのが大きいです。小さい頃からこういう走り方を身につけていればという思いがあるので、子どもたちにもやってもらっています。
——通常のスクール以外に「アスリート」というクラスもあります。これはスクール生の中から選抜するんでしょうか。
そうです。小学校4〜6年生を対象にした選抜コースです。サッカーの人口を増やしたいというのと同時に、サッカーにより力を入れてやってきたい、もっと上を目指したいという子どもたちの強化もしたいと思いました。
——普及だけでなく強化もする。
サッカー少年団はどうしてもレベルの差があります。上手な子もいれば、初心者の子もいる。小学校の時の僕がそうだったように「井の中の蛙」になりやすい。自分よりもうまい選手がいることで刺激を受けますし、自分に足りないものが見えてくる。そういう環境を作りたかったというのがあります。
——将来的には浦和レッズのアカデミーなどに入っていく選手を育てていきたい?
はい。このスクールの中から、そういう選手を1人でも多く輩出したいです。
Vol.1「地元の戸田に恩返しがしたかった」
(ハイパーリンクURL)
https://ssn.supersports.com/ja-jp/articles/60192bac36087504073d97e2
Vol.3「サッカー選手だから、と言われたくない」
(ハイパーリンクURL)
https://ssn.supersports.com/ja-jp/articles/60192bc51ce93b77d4362833
■プロフィール
宇賀神友弥(うがじん・ともや)
1988年3月23日生まれ、埼玉県戸田市出身。流通経済大学から2010年に中学・高校時代を過ごした浦和レッズに加入。スピードと運動量を活かしてサイドプレーヤーとして主力選手として活躍し続けている。2017年には日本代表デビューにも選出された。2018年に地元の戸田市にフットサルコートおよびサッカースクール「UGAJIN ESFORCO PLACE」をオープン。
UGAJIN ESFORCO PLACE
https://esforco-fs.com
■クレジット
取材・構成:北健一郎
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