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【#8】ドライバーを捨てる「選択と集中」理論の結末… ゴルフ界のフワちゃん爆誕

「選択と集中」理論

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「ゴルフは耳と耳の間で行うゲームである」という有名な言葉があります。耳と耳の間にあるのは頭脳。つまり、ゴルフは頭を使ってプレーするものであるということです。

私も、ゴルフを始めて約3カ月の頃にその境地に達しました。このゲームを攻略するには作戦が必要だ。そこで思いついたのが、前回説明した「選択と集中」理論でした。ゴルフのスコアを落とす最大の要因となる「OB」と「バンカー」を克服するために、ティーショットとバンカーショットのやり方を根本的に変えることにしたのです。

ティーショットではOBが出やすいドライバーを封印して、フェアウェイウッドを使う。バンカーでは技術的に難しいサンドウェッジではなくバンカー専用ウェッジを使う。この2つを導入することで、大叩きをするリスクを減らせる上に、ドライバーとバンカーショットの練習に時間を費やす必要がなくなります。

その分だけ、アイアン、アプローチ、パターといったより重要度の高い分野の練習に時間をかけられるようになります。この作戦を続けていれば、普通に練習するよりも早くスコアアップが期待できるはずです。

実際、バンカー専用ウェッジの効果は想像以上のものでした。私が買ったウェッジは、芸人で言うとキンタロー。さんぐらいの頭デカめのビッグバウンス、ロフト角は驚異の62度。「どんなバンカーからも一発で出す」というウェッジ自身の強い意志を感じます。「私のことは嫌いでも、バンカーのことは嫌いにならないでください!」と顔をクシャクシャにして訴えています。

バンカー専用ウェッジで打つときは、サンドウェッジのバンカーショットと違って、繊細な技術は不要。とにかく何も考えずにボールのやや手前の地面にドーンと打ち込めば、とりあえず高い確率でバンカーからは脱出できます。

バンカーショットで大事なのは、思い切りの良さではないかと思います。「出ないかもしれない」とビクビクしていると、そのせいで力加減が弱くなったり、フォームが崩れたりして、余計にミスの確率が上がってしまいます。

「このバンカー専用ウェッジを使えば絶対に出る」と思って打つと、スイングが安定して実際に出る確率も高くなる。そのように精神面でもバンカー専用ウェッジは絶大な効果を発揮してくれました。

バンカー専用ウェッジは「とにかくバンカーから出す」という目的に特化しているので、飛距離が出にくいし、距離感の調整もやや難しいところがあります。いずれはサンドウェッジを使ったバンカーショットも覚えようと思っていますが、今のところは手放せません。

問題はティーショットの方でした。FW(フリーライター)がFW(フェアウェイウッド)で打つという語呂的には完璧な作戦だったのですが、これが思ったよりも上手くいきません。5番ウッドでティーショットを打ってみるのですが、まともに当たることがほとんどなく、チョロっと当たり損ないの球が右に左に乱れ飛ぶだけ。

たしかにOBにこそならないものの、別に飛距離も出ないので、スコアはそれほど改善されません。むしろ、派手にOBを打ってしまった方が、「前進4打(プレ4)」の恩恵にあずかれるので目先のスコアは良くなっていたような気もします。

フェアウェイウッドは2打目以降も使えるから、打てるようになって損はないと思っていたのですが、実際にはなかなか打てるようにならないので、一石二鳥ならぬ一石無鳥。FW(フェアウェイウッド)はテレビに出始めの頃のFW(フワちゃん)ぐらい言うことを聞かないのです。

そんなわけで、ゴルフ初心者が考えた机上の空論こと「選択と集中」理論は、半分成功、半分失敗に終わりました。結局、ドライバーが上手く打てないからそこから逃げてFWを使おうとしたのですが、やっぱりそれが良くなかった。この経験を通して、これは逃げられない試練なのだな、と思い知りました。残酷なゴルフのテーゼ。

「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ……」

そう自分に言い聞かせながら、私はドライバーに向き合うことにしました。ドライバーが打てないとゴルフが始まらない。さて、私のゴルフはいつ始まるんでしょうか。

>>【連載】連載:ラリー遠田の「ゴルフ沼へようこそ」〜日本一不器用な初心者ゴルファー奮闘記〜

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