• HOME
  • 記事
  • ゴルフ
  • 【#7】「選択と集中」でスコアアップを狙う まさかの「ドライバー捨て」戦法
ゴルフ,ゴルフ沼

【#7】「選択と集中」でスコアアップを狙う まさかの「ドライバー捨て」戦法

ゴルフを始めて4カ月ほど経った頃、私は途方に暮れていました。コースデビュー時に「184」、2回目に「187」という「かまいたち濱家さんの身長」並みのハイスコアを叩き出した私は「ゴルフってこんなにどうにもならないものだったのか」と頭を抱えました。

「ゴルフなんて楽勝ですよ」と、軽いノリで私をゴルフ沼に引きずり込んだイケメン編集者スダには「訴えてやる」と言いたい気分でしたし、「聞いてないよ」とも思いました。しかし、100切りという目標のためには気分を「くるりんぱ」して、新たに作戦を立てなければいけません。

この時点では何もかもできていなくてどうにもならかったのですが、そんな中でもスコアを良くするために何から始めればいいのか。藁にもすがる思いでゴルフ情報を求めてネットサーフィンをしていると、とある記事を見つけました。そこに書かれていることが心に刺さったのです。(以下、ゴルフを全く知らない人には退屈な内容かもしれませんが、お許しください)

そこでは、ゴルフにおけるミスの種類と、それによって損すると思われる打数が一覧表になっていました。その表を見た瞬間、「あっ、そうか」とピンと来たのです。

たとえば、グリーン周りのガードバンカーに入れてしまうと、出すのに何打も必要になることがあるため、2.5打以上のミスになる。一方、3パットになるというミスは、本来2パットで終えられたはずのところを1打多くかかってしまっただけなので、1打のミスにしかならない。

このように、同じミスであっても、ミスの種類によって損する打数には差があり、大きく損をするミスをどれだけ減らせるかというのがスコアアップに直結することになるのです。

その一覧表の中で、損する打数が大きい致命的なミスのツートップが「ガードバンカーに入れること」と「OBになること」でした。自分の経験を踏まえても、これには深く納得しました。

アゴの高いバンカーに入れてしまったりすると、1打で脱出することができずに、何度も叩いてしまったりします。仮に脱出できたとしても、いい場所につけられる可能性は低いので、そこからカップインするまでにさらに打数を費やすことになります。

また、ティーショットでOBを出してしまうのも致命的なミスです。ティーショットのOBは原則として1打罰で打ち直し。つまり、次は第3打として打つことになるので、OBを出した時点で2打の損が確定してしまうのです。実際のホールではOBの場合に「前進4打」が適用されることもありますが、いいスコアを出すにはなるべくそれも避けた方がいいのは間違いないでしょう。

とにかく、バンカーとOB、この2つが圧倒的にスコアを悪くしているということに気付かされました。つまり、100切りのためには、この2つに関して何よりも優先して対策をした方がいいのです。

7種類を「選択と集中」によって5種類に

ゴルフ沼,初心者,ラリー遠田

そこで私が考えたのが「選択と集中」理論です。そもそも、ゴルフが難しいのはなぜか。それは、クラブの種類が多い上に、地形の種類も多いため、それぞれに異なる何種類もの打ち方が求められるからです。

ドライバー、ウッド、アイアン、アプローチ、パター、傾斜、バンカー。この7種類のクラブや状況に対応した7つの打ち方を並行して学ばなければいけないからこそ、ゴルフは上達が難しいのです。

これらの項目のうち1つでも減らすことができれば、それぞれの技術習得に費やせる練習時間が長くなり、上達が速くなるはずです。そこで私は、7つのうち2つをバッサリ切り捨てることにしました。それは「ドライバー」と「バンカー」です。

まず、ドライバーを使わない。ドライバーは一番飛距離が出るクラブですが、その分だけほかのクラブと打ち方が違う上に、球が曲がりやすくOBも出やすい。これを初めから使用せずに、5番ウッドでティーショットをすることにしました。もちろん5番ウッドもこれはこれで難しいのですが、慣れればドライバーよりはOBが出にくくなるはず。さらに、5番ウッドが打てるようになれば、ティーショットだけでなくセカンドショット以降でも使えるので、一石二鳥ではないかと思いました。

次に、バンカーについて。ここは思い切って「バンカー専用ウェッジ」を導入することにしました。一般的なサンドウェッジを使うバンカーショットはなかなか難しいのですが、特別なつくりのバンカー専用ウェッジを使うと、どんな打ち方をしても高い確率でバンカーを脱出することができます。初心者用のクラブとしてバカにされることが多いらしいのですが、背に腹は代えられません。どんな手段でもいいから100を切りたいと思っていた私は、迷わずバンカー専用ウェッジを購入しました。

この2つの作戦を実行することで、ドライバーとバンカーという2つの必修科目をパスできる上に、「OB」と「バンカー」というスコアを落とす二大要因を排除できることになるので、飛躍的にスコアは伸びるはずです。

……完璧でしょ?そう、完璧だと思うじゃないですか。でも、そうならないのがゴルフの面白いところなんですよね。実に面白い。いや、面白くねえよ!

毎度お決まりのオチで読者の皆様には大変恐縮ですが、この一見すると完璧に見える「選択と集中」理論ですら、長い長いゴルフ道の始まりの一歩に過ぎなかったのです。

>>【連載】連載:ラリー遠田の「ゴルフ沼へようこそ」〜日本一不器用な初心者ゴルファー奮闘記〜

ライタープロフィール

ラリー遠田 (らりーとおだ)
ライター、お笑い評論家。主にお笑いに関する評論、執筆、インタビュー取材などを手がける。『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)など著書多数。
2021年3月にゴルフを始めて、ゴルフ沼にどっぷりハマる。当面の目標は100切り、将来の夢はゴルフコンペ「ラリー杯」を主催すること。

関連記事