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ファーストQTの出遅れからカムバック 上野菜々子を立ち直らせた“瀬令奈お姉さん”の教え

上野菜々子は”瀬令奈お姉さん”の言葉を胸に挑んでいる(撮影:福田文平)

<JLPGA ファイナルQT 3日目◇30日◇葛城ゴルフ倶楽部宇刈コース(静岡県)◇6421ヤード・パー72>

メルセデス・ランキング94位に終わった上野菜々子は、70位以内に入れず、ファーストQTから受けなければならなかった。“職場”をかけた戦いのなか、その大事な初日に5オーバーと大きく出遅れる。「メンタルがズタボロ…」のなか、頼ったのは「お姉さん」だった。

「青木瀬令奈さんに連絡をしました。『メンタルを安定させるにはどうしたらいいか』を短文で送ったら、長文で返してくださった。5個くらいのポイントに分けてくれて、それから毎日、スタートする前に見ています」

そのなかで一番驚いた内容は、「18ホールプレーできる幸せを感じながらラウンドすること」。これまで上野が「当たり前」に思っていたことに対して、感謝する気持ちを知った。「QTでもどんな試合でも幸せをかみしめるのは考えてもいなかった。さすがだなと思いました」。助言を胸に挑んだファーストQTの2日目には「66」を叩き出して無事に突破。ファーストQTでの経験、そして青木の教えが葛城でも生きている。

風が強い中、この3日間は「70」、「72」、「69」とアンダーパーを並べることができた。この日の会心は7番、8番での“連続チップイン”バーディ。「アプローチはきのうからイメージが良くてパーを拾える自信はあったけど、チップインできてくれた」と、傾斜が強い下りラインも読み切って決めた。耐えながらも伸ばして60台をマークした好プレーには、笑顔が溢れた。

前半戦出場権を持っていた今シーズンは苦しみ、リランキング順位で出場権が降りてこなかった終盤は、下部のステップ・アップ・ツアーにも出場した。ルーキーイヤー以来の参戦だったが、「(レギュラーでは)帯同キャディさんに担いでもらっていたので、任せっきりで甘えていたんだなと。ひとりでやっていると、自分のやりたいことが明確になってくることもあった」と、自分を見つめ直しながら、QT突破に向けてどういうことが必要なのかを考えることができた良い期間になった。

上位で最終日を迎えても、安心することはない。「どういうことがあるか、一打一打分からない。ひとつずつ確認して、先輩のアドバイス通りに気負いすぎずにできたらいい」。青木の教えを読み返すところから始める最終日の朝。気にかけてくれている“お姉さん”に吉報を届けたい。(文・笠井あかり)

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