母は日本で8年プレー、日本酒好き 韓国ツアー2年連続賞金女王、パク・ミンジが日本ツアー初参戦
<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 事前情報◇3日◇茨城ゴルフ倶楽部 西コース(茨城県)◇6780ヤード・パー72>
“ワールドレディス”という大会名の通り、歴代優勝者にはモーガン・プレッセル(米国)、チョン・インジ(韓国)、レクシー・トンプソン(米国)などのメジャーホルダーたちが名を連ねる。今年は『前年度12月31日時点のロレックスランキング50位までの者』の資格で、韓国ツアーからパク・ミンジ、キム・スジ、イ・ソミの3人が出場する。
そのなかで注目したいのは、現在世界ランキング26位のミンジ。今回の出場選手のなかでは山下美夢有の23位に次ぐ存在だ。渋野日向子、畑岡奈紗、原英莉花ら黄金世代と同じ1998年度生まれの24歳は、韓国女子ツアーの2021、22年シーズンに各6勝ずつを挙げて、2年連続賞金女王に輝いている。プロとして来日したのは初めてだが、意外にも日本とは縁がある。
取材エリアに現れるとまず「初めまして。パク・ミンジと申します。よろしくお願いします」と丁寧な日本語で挨拶。そのあとの質疑応答は通訳を介したものの、「トイレはどこですか?」、「いくらですか?」、「おいしい」、「いただきます」という日本語も知っている。「この日本語のフレーズがすべてです。お母さんがハンドボールの選手で8年間日本に住んでいて、今回日本に来る前にこれらのフレーズと自己紹介を教えてもらいました。それ以外はわかりません(笑)」。
ハンドボール選手だったミンジの母、キム・オクファ(金玉花)さんは実業団の大崎電気で8年間プレー。最優秀選手に輝いたこともある。84年のロサンゼルス五輪では、韓国代表として銀メダルを獲得したトップ選手だった。
そして、「韓国にいるときも一週間に2回は食べる」というほどの日本食好き。好きな日本食を聞くと「3つあります。健康を意識した場合はしゃぶしゃぶ。何でもいいから自分の好きなものを食べるならお寿司。日本酒を飲みたいとなったら、お刺身にいきます(笑)」と答える。日本に来てからは「日本のお米がおいしいので、とにかく食べまくっています」と笑顔を浮かべる。
すっかり日本にハマっているミンジが、実際に来て驚いたのが日本人のマナー。「道を歩いていて人とぶつかりそうになったとき、ぶつかってないのに、『すいません、ごめんなさい』と言われたんです。韓国の方ももちろんマナーはいいんですけど、そんな日本の方のマナーの良さや礼儀正しさが好きなので、自分もそうしようとしています」という。
またコースでは、アマチュア時代にともに代表としてプレーした稲見萌寧と再会し、「久しぶりに会えてうれしかった」と話しつつ、「すごい」と感じたことがある。「申ジエ先輩とか30歳を超えた先輩たちが長いスパンでプレーしている環境に驚いて、すごくいいなと思いました」。もしかしたら将来は日本ツアーでのプレーも考えているかもしれない。
正確なショットが持ち味のミンジだが、見てもらいたいところとして「明るく迷いのない力強いプレー」を挙げる。もちろん目指すは優勝。「切実に優勝という意識はあります。ただせっかく日本に来て、『優勝、優勝』となるとストレスに感じる可能性がある。自分としては気分を和らげながら幸せな気持ちで一週間を過ごせたらと思います」。実力通りの力を発揮すれば、優勝インタビューでミンジのやわらかな日本語が聞けるだろう。(文・下村耕平)
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