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自宅に100本以上…週替わりパターに深い分析と理由がある!念願の複数回Vを果たした青木瀬令奈【勝者のギア】

青木瀬令奈はパターに強いこだわりを持っている(撮影:上山敬太、ALBA)

<大王製紙エリエールレディス 最終日◇19日◇エリエールゴルフクラブ松山(愛媛県)◇6575ヤード・パー71>

 

シード争いが決着する愛媛決戦。首位と2打差で出た青木瀬令奈が5バーディ・1ボギーの「67」をマーク。トータル13アンダーで今季2勝目、ツアー通算5勝目を果たした。「複数回優勝を今年こそは!という気持ちでやっていたのですが、トレーニングの成果」と話し、中でもパッティングコーチとのデータと感覚のすり合わせも奏功したとか。

「昔から飛ばないこともあって小技でスコアメイクしていましたが、最近データも含めてパッティングコーチと話す機会があって、自分の違和感と科学で解明されたことをすり合わせたら『そういうことか』と。日々の積み重ねが形となり、毎年上手くなっている部分があってパッティングは最近の方が自信をもって打てているのかな。昔は『なんとなく』の部分が、今はより鮮明にラインを読んでしっかりと、この状況だとこういうミスが出やすいという自分の経験値から照らし合わせて上手くパッティングできています」。

結果、今年はいつにも増してパターを大会ごとに替えた青木。同じ高麗芝でも「川奈と琉球の切れ方は全然違う。琉球は思ったより切れない印象」があり、開幕の琉球でうまく行かない違和感を抱えたまま2戦目でベント芝になると「出だしがパターでコケる」。この悩みをパッティングコーチに質問したのがきっかけだったとか。

「琉球の芝が浮きやすいので、逆に沈むベントだったら3~4度のロフトが寝た方が転がりやすく、琉球は浮いている分、2~2.5度の立ったロフトの方が打ち方を変えずに同じ切れ方、イメージと同じ通りになるんじゃないかと教えてもらって。雨の日は水滴がある分、あまり切れにくくなる。回転が始まってから摩擦がある分ボールが切れると聞きました。

感覚と理論がすり合わさって、ベントと高麗でロフトとかを変えて『自分の打ち方は変えずにパターを替えてやってみよう』というのが今年のパターのテーマで、毎週のようにパターを替えてやっていたのですが、知識が入った分、今週は思ったより柔らかかったのでロフトが寝ている方がいいのかなと思って、楽しみながらパターを替えていました」。

毎年同じコースで開催される大会と使ったパターとの相性を記録、研究を重ねてきた青木。今季2勝は両方とも『ホワイトホットOG #1WCS』だが、「このパターに対して正解のアドレスがあるのですが、春とは違う感覚だけど、パターコーチが教えてくれたのがハマって。残りの試合はこれで行きます」。また、これまで使った大量のパターは全て自宅にストックしてあるとか。

「100はありますね。今年だけで20何本あるけど、今回は今年優勝した時のを使って優勝できたので、それはそれで相性が良いです。メーカーも色々ありますし、歴代のパターは全部残してあるので自分の中で『こういうミスが出やすいのでああいうタイプを打ちたいな』って時に引っ張り出してきたり、いい時の腕の角度とかアドレスしただけで『あの時これくらい構えてたな』という風にもなるので、基本的には残してます」。

このように感覚・記憶・分析力に長けた青木。残り13本の構成も新旧モデルを織り交ぜ、アイアンは3本で“八本木”という飛距離を補う独特なモノ。中でも来月発売の『ゼクシオ エックス』ドライバーの安定感を絶賛し「この間(マスターズGC)から使い始めて、飛んでるなって。去年より短い番手で打てたりFWキープできた」と話す。飛ばし屋の若手が増える中、青木流を追求することで、他の誰かの役に立てるという。ドライバーのシャフトは21年の「富士通レデーィス」から『VENTUS RED 』を愛用。ツアー担当者によれば「動きのあるシャフトでありながら、左にいきづらく一貫した球筋が打ちやすいというVENTUS REDの“ハード過ぎないVENTUS“の特徴を気に入ってくれていると思います」という。 

「私が優勝したりすることで、同じプレースタイルのアマチュアの子たちがすごく『勇気をもらえた』って話してくれたり、インスタのDMとかでもジュニアの子たちが『工夫してクラブセッティングしてるんですか?』と聞いてくれたり……。飛ばしが優利ではないというのもゼロではない。飛ばしを上回るような技術だったり、私の場合はセルフマネジメント、セルフコントロールができれば、3、4日間の中で一番いいスコアを出すことは可能なのではないかと思い続けています。だから、同じようなプレースタイルの方たちの希望になれればいいなと。道具も進化していると思うので道具の力も借りながら」。

なお、ダンロップのボール使用者は、今季37戦して18勝目。内訳はスリクソン『Z-STAR XV』が14勝(山下美夢有4・岩井明愛3・岩井千怜2・菅沼菜々2・青木瀬令奈2・小祝さくら)で、『Z-STAR◆』の4勝すべてが櫻井心那によるものだ。

【青木瀬令奈の優勝クラブセッティング】

1W:ダンロップ 新ゼクシオ エックス(10.5°VENTUS RED 5R 45.5㌅)
3W:ダンロップ スリクソン Z F85(15°ATTAS COOL 6R)
5,7,9W:ダンロップ ゼクシオ10(15,20,23°ATTAS COOL 6R)
5,6U:ダンロップ スリクソン Z H65(25,28°ATTAS MB-HY65R)
7U:ダンロップ スリクソン ZX(30.5°ATTAS MB-HY65R)
8I:ダンロップ スリクソン ZX5 Mk II(N.S.PRO 750GH S)
9I,PW:ダンロップ スリクソン ZX7 Mk II(N.S.PRO 750GH S)
50,58度:グラインドスタジオ プロトタイプ(N.S.PRO 850GH R)
PT:オデッセイ ホワイトホットOG #1WCS
BALL:ダンロップ スリクソン Z-STAR ♦(ダイヤモンド)

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