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「替えられない」“傷だらけパター”とともに 26歳・高木萌衣が全体1位の24パットでカムバック

自己ベスト「66」。高木萌衣がボギーフリーの快ラウンドで予選通過。(撮影:鈴木祥)

<リゾートトラスト レディス 2日目◇26日◇グランディ浜名湖ゴルフクラブ(静岡県)◇6500ヤード・パー72>

プロテストに合格し、ツアーに本格参戦しだした2016年頃から長年愛用してきたパターが、ひときわ輝きを放つ一日だった。初日を2オーバー・84位で終えていた26歳の高木萌衣が、レギュラーツアーでの自己ベストを1打更新する「66」を記録。カムバックどころか、トータル4アンダー・22位タイと上位を狙える位置まで大きく順位を上げた。

今年のQTランキングは42位。ここまで今季のレギュラーツアー6試合に出場してきたが、4度の予選落ちと苦しい戦いが続いていた。その原因はパット。「ショットはいいけどパターが入らないことが続いていて…。今週はグリーンも大きいし、パッティングをメインに練習してきました」。12回パーオンに成功した2日目のパット数は24回。これは「64」をマークし首位に躍り出た岩井千怜もしのぐ、この日全体1位の成績だった。1番はチップインでのバーディ発進だったが、2番の4メートル、5番の10メートルなど、とにかくパットが決まった。ちなみに初日も27パット。2日目は18ホール中10ホールを1パットで切り抜けた。

出場できなかった4月の「パナソニックオープンレディース」の週に、コーチとともに話し合い、自らのパッティングフォームの動画を分析し、改善につなげた。「よかった時のものを見た時に、ヘッドがそこまで浮かずに、低い位置で球を押しているようなストロークだった。それを意識して練習しました」というテコ入れが効いている。さらに今週は大きなグリーンに対応するため15~20メートルのロングパットもみっちり練習。ストロークとタッチの感覚を研ぎ澄ませた。

そのほかに、今季初めて投入したエースパターも「安心」を与えてくれた。オデッセイの『ホワイトライズ iX ♯1SH』がそれ。「すごい傷だらけですよね」という年季の入った一本は、「ルーキーの時からずっと替えられない。たまに1試合くらい別のものを使っても、やっぱりこれに戻ってしまって」という苦楽のほとんどをともにしてきた思い入れの強いパターだ。今季はこれまで別のパターを使ってきたが、やっぱりこれを握るとしっくりくる。

2018年にステップ・アップ・ツアーで2勝を挙げているが、レギュラーツアーにはなかなか定着できずにいる。「私もベテランと呼ばれる時期に入ったけど、若いころよりも『自分はできる』と思えるようになってきた。オフに飛距離アップや体作りもやったので頑張りたいですね」と、“ここから”という思いは強い。今年は「アクサレディス」で劇的な初優勝を挙げた山内日菜子や、プレーオフを2度戦っているささきしょうこら、同じ1996年生まれの選手の活躍も目立つ。「みんなを見てると私にもできるかなって思える」と、それも刺激になる。

「リランキングまでもう何試合もないので、いいところまで上がれるように」。今週を含め4週後の「ニチレイレディス」終了時には、第1回リランキングが行われ、開幕時の出場優先順位が見直される。メルセデス・ランキングが基になるため、4日間大会で大きくポイントを稼ぎ、現在51位につけるリランキングリストの名前を大きく上げたい。中盤戦以降の出場権確保に向け、エースパターの“踏ん張り”に期待を込める。(文・間宮輝憲)

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