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岩井明愛のクラブセッティングにアマチュアが学べることは?【プロフィッターに聞く】

今季パーオン率73.7463(7月9日現在)で1位の岩井明愛から学ぶべきポイントは、アイアンのシャフト

プロのクラブセッティングが、個々に最適にチューニングされているのは当然だが、技量が圧倒的に足りない我々アマチュアが学べる部分はあるのだろうか。何百もの試打シャフトや剛性分布データを駆使して正解に導くプロフィッター澤田嘉之氏に、女子プロのセッティングから学ぶべき点を聞いた。

今季は昨年の女王・山下美夢有に待ったをかけるべく、岩井姉妹が頻繁に優勝争いを展開。2勝の妹・千怜より1勝と少ないが、2位4回、3位1回と千怜を上回る賞金3位に入るのが姉の明愛だ。ショットメーカーのクラブに我々アマチュアが学ぶべきポイントは何か? 澤田は「パーオン率1位の岩井明愛選手のアイアンシャフトに注目しないわけにはいきませんよね」と言う。
 
【岩井明愛のクラブセッティング】
1W:ヨネックス EZONE GT450(9度/REXIS KAIZA-M 5S)
3,5W:ヨネックス EZONE GT(14.5,18度/REXIS KAIZA-M 6S)
6I:ヨネックス EZONE FS(REXIS KAIZAi 8S)
5I~PW:ヨネックス EZONE CB511フォージド (N.S.PRO 950 neo S)
50,54,58度:ヨネックス EZONE W501
PT:テーラーメイド スパイダーX カッパーホワイト
BALL:スリクソン Z-STAR XV
 
「ドライバーは直進系を好むという明愛プロ、操作したい千怜プロと違いがあり、明愛プロのドライバーシャフトの『KAIZA-M』は手元と先が硬くシャープに振れる中調子です。アイアンヘッドはヨネックス『EZONE CB511』で、明愛プロがスチールシャフトで、千怜プロはカーボン。ここはやはり、明愛プロのシャープな『N.S.PRO950GHネオ』(以下、ネオ)に目を向けたいですね。しなりが多くオートマチックな『N.S.PRO950GH』(以下、旧NS950)と『ネオ』はフィーリングがまるで違うことは有名ですし、女子プロの多くが『ネオ』のようなシャープな方を好んでいます
 
澤田の表現の“シャープに振れる”とは、しなりが少なくシャキッとして復元スピードが速いシャフトのこと。なぜ女子プロの多くがこのフィールを好むと言えるのか。一般アマには合うのか。
 
「世代にもよりますが、一般アマはしなってラクな『旧NS950』に慣れている人も多いはず。ただ女子プロは、今も昔もシャープに振れる『旧NS850』(S)使用者が圧倒的に多いです。昔は吊るしで『旧NS950』か『DG』の2択から選ぶ時代が続いたため、アマに『旧NS950』が馴染んだのは当然ですが、女子プロはよりシャープな振り感の『旧NS850』(S)でした。より振れる明愛プロが『旧NS950』ではなく『ネオ』を好むのは納得できますが、アマチュアに合うかどうかは人によるとしか言えませんね」
 
しなりが多くオートマチックな『旧NS950』(S)は、我々アマチュアのミスを吸収してくれる部分も多く「昔は理にかなっていた」と言う。では、なぜ日本シャフトはシャープな『ネオ』を発売し、吊るしのアイアンに多くのメーカーが採用しているのだろう。
 
「女子プロの大半が軟鉄鍛造のハーフキャビティを使うのは今も昔も不変ですが、日本シャフトの説明通り、アマ向けには大型でストロングロフトのヘッドが増えたからでしょう。サイズが小ぶりでもタングステン内蔵の複合ヘッドも増え、そうした重心が離れた高MOIヘッドにしなりの多い『旧NS950』だと、少し遅れる要素にもなりがち。シャープに振れて少し打ち出しやスピン量が上がる『ネオ』のような選択肢が求められるのは、ヘッドの変化が背景ではないでしょうか」
 
『ネオ』を使うべき人は、大型ヘッド限定ということなのだろうか。
「いえ、サイズに縛られる必要はなく、振り感の好みで選べばいいですよ。明愛プロを例に、ウッドにシャープな復元のモノを好む方は、アイアンシャフトも遅れがちなモノより『ネオ』に近い振り感の方がフィットするケースが多いですね。シャープに遅れずスパッと振り抜きたい方には、基本的に『ネオ』をオススメします」
 
では、『ネオ』を試すと同時に、それに近い系統のシャフトはあるだろうか。
 「『ネオ』はほぼ全メーカーで吊るしで購入できますし、試せないお店の方が珍しいくらいです。試打して合うなら一番財布にもやさしいですよ。『N.S.PRO850GHネオ』もシャープに振れますし、他社なら『KBS TOUR LITE 95』を試すのもアリです。トゥルーテンパー『Elevate MPH 95』はより動きというか走りが強くて高さを稼ぎやすく、ほどほどスピンが入る感じ。いずれにせよ、シャープな振り感の選択肢は、日本シャフトのモノでほぼ外れがないと思います」

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