中嶋常幸が“ワイルド系”で「69」発進 シニアツアー最年長V&エージシュートのダブル快挙目指す
<マルハンカップ 太平洋クラブシニア 初日◇26日◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡県)◇7020ヤード・パー72>
レジェンドの輝きは失われていない。レギュラーツアー通算48勝の永久シード選手で、68歳の中嶋常幸がエージシュートにあと1打と迫る、5バーディ・2ボギーの「69」でラウンド。首位と4打差の8位タイで滑り出した。2日間競技のため明日が最終日となる。
昨年はリウマチの影響で1年間ツアーを戦線離脱するなど、ここ数年、体の故障で満身創痍。復帰した今年も万全の状態ではない。前戦の「ファンケルクラシック」も途中棄権をし、昨日もヒザの痛みを訴えていたが、それがうそのように“庭”ともいうべき御殿場で躍動した。
大会の舞台は、レギュラーツアーの「三井住友VISA太平洋マスターズ」でおなじみ太平洋クラブ御殿場コース。大会最多タイとなる3勝を挙げている中嶋は歴史に名前を刻んでいる。
2番パー4で10メートルほどのパットをねじ込んでバーディが先行すると、15番を終えてこの日3アンダー。16番で1つ落としたが、17番パー3ではティショットを1.5メートルにつけて再び3アンダーに戻す。最終18番パー5でバーディを奪えば、年齢以下のスコアで回るエージシュートを初達成というところまできた。
18番のピン位置は2段グリーンの上の段。中嶋の3打目はピン奥5メートルほどについた。
「キャディがめちゃくちゃ速いっていうから、(打ったら)めちゃくちゃショートしちゃったよ。敵は身内にいたね(笑)。まあ、それは冗談だけど、速いのはわかっていたけど、それは秋なのよ。8月じゃないの。それでショートしちゃった」
コースを知っているがために、速さを警戒して70センチほどショート。快挙達成は持ち越された。それでも、満身創痍の中で今季初の60台ラウンド。「楽しかったよ、今日は」とレジェンドの存在感を示した。
プレーもさることながら、ヒゲを蓄えた風貌にも驚かされた。「ワイルド。けっこう評判いいんですよ」と周囲からは好評だという。「ヒゲを剃るのがめんどうくさくて。松山(英樹)がヒゲを伸ばしていたから、俺もちょっとやってみようかなというのがあったんだ」とその心境を明かす。鏡で顔を見ると「なんかこう、“勝負しよう”という気持ちになれるよね。自分に対して、カツというかファイトー、みたいな」。ターゲットをにらむその表情は、まさに勝負師。戦う姿勢に溢れていた。
シニアツアーでの優勝は2013年の「スターツシニア」が最後。トップ10入りは16年の「いわさき白露シニア」で2位に入って以来だ。「上が元気良さそうだからね」。首位の宮本勝昌は、レギュラーツアーの現役シード選手で、先週の「ファンケルクラシック」でシニア初優勝を遂げたばかりの50歳。「若いね~。熟練の技を出して、得意の御殿場でね。(結果は)なるようになる。がんばりますよ」。
シニアツアーの最年長優勝は、高橋勝成が持つ67歳71日(2017年佐世保シニア)。この日できなかったエージシュートを達成すれば、ダブル快挙も夢ではない。
Follow @ssn_supersports