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初々しい初Vの瞬間は「友達に怒られました(笑)」 橋添穂が目指す『夢ある』“山内日菜子ロード”

短期決戦を制した橋添穂。うれしいプロ初優勝を遂げた。(撮影:福田文平)

<ラシンク・ニンジニア/RKB レディース 最終日◇29日◇ザ・クラシックゴルフ倶楽部(福岡県)◇ 6521ヤード・パー72>

2位に3打のリードを持って迎えた最終18番ホール。プロ3年目の橋添穂(みのり)は3メートルのパーパットを外すと、バツが悪そうな苦笑いを浮かべた。すると、お先の位置にあったボギーパットをマークすることなく、すぐにそのまま流し込む。「慣れてなさすぎて。友達に怒られました(笑)。次はマークしてから決めたいですね」。あっさりとウイニングパットを終わらせてしまい、ちょっぴり後悔する、そんな初々しいプロ初優勝だった。

「自分でも驚くくらい緊張しなかった。大丈夫かなって思うくらい」。2日間の短期決戦。初日に単独首位発進を決めると、もう最終日の優勝争いに突入した。前半に1つ伸ばしたが、一時は工藤遥加に追いつかれる時間も過ごすことに。それでもリーダーボードの確認は怠らなかった。

14番でグリーン奥から25ヤードのアプローチを58度のウェッジで直接決めるチップ・イン・バーディで、再び単独トップに立つ。さらに“まだ1打しかリードはない”という意識があった16番では、「絶対に入れてやろう」という奥6メートルからのバーディパットをねじ込んだ。ここでは「普段あまりしない」というガッツポーズも思わず飛び出した。

「幸せです。周りの人たちが喜んでくれたのもうれしい」。優勝が決まると、グリーン脇で見守っていた同学年の澁澤莉絵留らのもとに駆け付け、ハグで祝福を受けた。日頃から自分のゴルフに対しアドバイスをくれるシニアプロで父の純司には「見ててくれてありがとう」と感謝。南さん、香さん、恵さんの3人の姉にも「ほめて伸ばしてもらったので、頑張ることができました。いつも一緒に練習してくれてありがとう」と日頃の想いを伝えた。

このオフには昨年苦しんだショット修正のため、とにかく打ち込み、今では「成長を実感できる」という手ごたえを感じるまでに状態を上げた。この勝利で年末のQTはファイナルからの参加になることも決定。「今年はファーストQTは受けない」という目標をまずはクリアした。さらに下部ツアーで賞金ランク1、2位になれば、来季のレギュラーツアー前半戦出場権も確定する。

ただ、その視線は上を見据えている。「もちろんレギュラーツアーで頑張るのが第一。少ないチャンスをものにしたい」。今回の優勝特典で、5月12日から始まるレギュラーツアー「RKB×三井松島レディス」の出場権も獲得。上の舞台で活躍し、第1回リランキングで現在のQTランク87位を大幅アップ、そしてシーズン途中からでもトップカテゴリーを主戦場にすることを目指している。

先週の「アクサレディス」では、長年ステップ・アップ・ツアーで戦ってきた26歳の山内日菜子がツアー初優勝を挙げ、一夜にしてその立場を大きく好転させた。「日菜子さんの優勝はうれしかったし、夢があるなって思いました。そんなに甘くないのはわかってるけど、最大限チャンスを生かしたいです」。プレッシャーのなかでも戦況を見つめ、勝負所を決める強心臓も魅力のひとつ。ここで得たチャンスを、より大きな“みのり”につなげたい。(文・間宮輝憲)

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