これまでの苦悩は「総合的にみればいい時間だった」 西村優菜はテキサスから“リスタート”
<アセンダントLPGAベネフィッティング ボランティアーズ・オブ・アメリカ 事前情報◇3日◇オールド・アメリカンGC(米テキサス州)◇6517ヤード・パー71>
アーカンソーで優勝争いの末3位タイに入り、シード権獲得に“当確”した西村優菜。しかし、テキサスに入ったころにはすでに気持ちは切り替えていた。「もちろんうれしかったし、悔しさもあることは変わらなかったけど、ここに来たら、もうあまり何も考えていなかった」と、ルーキーイヤーの大きな目標のひとつをクリアしたあとは、すぐに次の目標を見据えている。
19試合目での出来事だったが、そこまでの道のりは平坦ではなかった。「ここまであまりいい成績がなかったですし、そういった意味では序盤とかは『取れるのかな…』という不安や、『日本に戻った方がいいのかな…』と思った時もあった」。
昨年の最終予選会(Qスクール)は24位で通過し、シーズン序盤はウェイティングエントリーの試合もあった。出場権が下りてこないことも考えて、マンデートーナメント(主催者推薦選考会)に出場しようと、強行スケジュールを組んだこともある。先週を迎えるまでの最高順位は4月の17位タイ。カットラインギリギリのところで戦いを強いられたときも、最後までなんとか踏ん張り、2度のリシャッフル(出場優先順位の見直し)を突破。コツコツとポイントを積み重ねてきた。
「そういう小さなものも最後には大事になってくると思っていた。諦めずにやらなきゃ前に進めない感じのところでやってたぶん、先週はうまくできたというか。メンタルのタフさは今年はたくさん経験したので、苦しい時間も長かったですけど、総合的にみればいい時間だったと思います」。先週は最終ホールで“ベタピン”バーディを奪ってトップ3に食い込み、来季のシード権を確定づけた。そんな印象的なシーンにも、これまで培ってきた“タフさ“は表れている。
ポイントランキングは61位まで浮上した。初優勝はもちろん、次の目標はランキング上位60人のみが出場できる最終戦「CMEグループ・ツアー選手権」への切符。「またもう一回、イチから最終戦を目指していくところに、目標を設定し直さなきゃいけない」と、ビッグポイントを獲得し、さらに順位を上げることを狙う。
先週とは一転、今週は湖に面する広大なコースで、風も警戒しなければならない。「(先週と)全然雰囲気が違う。グリーンが小さいのに硬いから、自分的には厳しい戦いになるかなと思う」と難しさも感じる一方で、「そこでいいプレーができるとまた違った自信にもなる」とも。アジアシリーズ前の最後の戦い。“リスタート”を切るテキサスで、さらに自信を深める結果を求めていく。(文・笠井あかり)
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