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「必ずスライスラインから」ツアー屈指のパット名人、鈴木愛がこだわる朝の練習メニュー

鈴木愛がパッティングへのこだわりを語る(撮影:鈴木祥)

国内女子ツアー屈指のパット巧者として知られる鈴木愛は、今季も前半戦を終えてパーオンしたホールの平均パット数部門で4位(1.7453)にランクインしている。約2年間、優勝から遠ざかっているが、平均パットにおいては過去7シーズン連続でトップ5を外していない。

■朝は「必ずスライスライン」から練習から行う

そんな鈴木のパッティングは、「どちらかというと、つかまり系」。ストロークは「ローテーションが大きいほうで、軌道はインサイド・アウト」ながら、打ち出しはやや左方向気味になるという。そんな鈴木の朝の練習場のルーティンが面白い。「私は必ずスライスラインから練習をして、思うようにストロークできていることを確認できてからフックラインをやります」とこだわっているのだ。

「私はスライスが好きです。下りのフックが一番嫌いです」。ドローヒッターだからフックラインが得意かと思いきや、つかまえて打つタイプだからこそのスライスラインがフィーリングを掴む基準となる。「最初にフックをやると、ストロークのつかまりで切れているのか、ラインで切れているのか判断がしづらい。自分の感覚がわかりやすいので必ずスライスから」と理由を説明する。

つかまえないとカップの手前で切れてしまうスライスラインで打ち出しを確認し、「真っすぐ転がせているな」と感じたら、フックラインに切り替える。「そこでまたちょっとずつ感覚を合わせていく感じです」。

■距離感の出し方は「リズム」を重視

次に一般ゴルファーでも気になっている人が多いであろう距離感の出し方を直撃。パッティングではラインを読み間違えて2メートル左右に切れるケースはあまりない。たとえプロでも2メートルオーバーしたり、ショートすることのほうが多い。3パットしないためには距離感が大事になる。意外にも鈴木は試合の朝「ロングパットはあまりしない」。距離感を合わせるために重視しているのは「リズム」だという。

鈴木のリズムは『1でアドレス、2でテイクバックして切り返しで少し待つ、3で打つ”』こと。この2の長さが特に重要となる。「1、2、3を同じテンポで打つとヘッドが走りすぎてしまって、ロングパットの距離感も合いづらい。2の切り返しで止めたほうが、少し緩みが出て、一定して距離感を合わせやすい。ボールのつかまりもよくなります」。打ち急げばパンチが入ったり、フェースが開いて当たってしまうこともある。切り返しで間を取ることで、それを防ぐ狙いがある。

■試合前に基本的に行う練習は「ショートパットの真っすぐでストローク確認」

さらに技術的な注意点として「左手首の角度を崩さないように」、「ボールの打ち出し15センチ先ぐらいまで、自分の出したいところに出せるように」というポイントも教えてくれた。鈴木のボール位置は、「真ん中と左足の真ん中ぐらい」と左カカト寄り。これについては「多分、私はフェースローテーションが強いので、右に置くとフェースが真っすぐ戻る前に当たってしまう。ちょうど良く戻る位置が左足カカトくらい」と考えている。

ちなみに、鈴木が試合の朝に練習グリーンで過ごす時間は「40分ぐらい」と多い。まず1メートルの真っすぐのラインで10分間、真っすぐ打てているかを確認し、10メートル以上のロングパットを5分。次に前述したスライス、フックの順で「5メートルくらい」のミドルパットを行い、最後にまたショートパットのスライス、フックと行い、上りの真っすぐで仕上げ。「よし、行ける!」となったらスタートする。

「基本的にショートパットの真っすぐでストロークを確認して、ロングパットは少しだけ。ミドルパットでグリーンの感覚を掴んでいます」。そんな鈴木でも不得意なグリーンはある。「1年通してやっていれば、入らないときもある。いつも通りに打って入らなかったら、次って感じで切り替えています」。しっかり準備して、入らなくても引きずらない。それが10年近くグリーン上で高いパフォーマンスを維持できる秘訣だった。(文・高木彩音)

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