今平周吾が即V!気になるヤマハ『RMX VD PROTO』アイアンの変化

クラブを替えられない男として有名な、今平周吾が2023年の開幕戦「東建ホームメイトカップ」で動いた。2017年のヤマハ契約以来、『RMX116』ドライバーを使用して計7勝していたが、今大会は『RMX VD PROTO』とソールに書かれたヘッドに変更。通算8勝目にして初めて別モデルで勝利することとなった。そのプロトタイプドライバーに関して、今平はこう話している。
 
■新1Wは「RMX116似で小ぶり」

「ドライバーもオフに試してフィーリングがよかったのでそのまま使いました。まだプロトタイプですね。飛距離も伸びて方向性もよくなった。替えるのはほんと久々。サイズ感も(以前のエース)116くらいでちょっと小ぶりですけど、その方がスパッと振り抜けるのがいい。ロースピン系で高さを出せば飛んでくれます。ロフトは9.5度で風にも強いし、打感もやわらかくなってフェースに乗ってる時間が長くて球筋をコントロールしやすい」(今平)
 
シャフトはグラファイトデザイン『TOUR AD TP-6X』のまま変更はなく、短めの44.5インチでシャープな振り抜きを重視していた。FWキープ率は46.429%だったものの、これまで新作1Wを度々投入するも、結局『RMX116』に戻ってきた長年の“替えられない男”の姿から今年は明確な変化が生まれそうだ。
 
ただし、今回の一番の勝因に挙げたのは、新しいプロトタイプアイアンだ。構えた時の顔がこれまでと激変しているという。そして昨年使った『RMX VD TOURMODEL』は7番のロフト34度だったが、今回は1度立たせて「グースが付いてつかまりがよくやさしい」ものへと変更していた。
 
■新アイアンは「ロフトを1°立てた」

「元々の形状が、アイアンの先(トウ)の部分がちょっと高い設計だったけど、それを少し下げてもらって、被っている顔が嫌いなので少し開き気味じゃないけど、ストレート気味でグースがある顔にしてもらった。前のアイアンも悪くないんですけど、新しい方がちょっと飛ぶんです。ロフトは立っていますが、前に使ったものと同じ高さが出て5ヤードくらい飛んでるし、ハーフショットでも距離がいってくれる。打感もめっちゃいいです。操作性もいいですね、進化した感じでよりよくなった。スイートスポットも広めな感じがします」(今平)
 
画像を見ると、たしかに今平が言うように、7番の顔に変化が見て取れる。ヤマハの『TOURMODEL』といえば、歴代Mr.ヤマハこと、藤田寛之が好む形状が踏襲されてきた。それが『RMX VD TOURMODEL』にも現れているが、トウが高く、ヒールが低い“三角”に見えるシルエット。小ぶりでシャープな印象を与え、ストレートネックが特徴である。
 
■新アイアンは全く“ネジれない球”

今回の今平の『プロトタイプ』は、それよりも明らかにトウが低くなりヒールが高く見える、三角というより長方形の“ボックス顔”に見える。ややオフセットが入ったことに加え、ネックもかなり短く見えるため、かなりアマチュア寄りの要素が入ったと感じる人も多いだろう。ここまで変化したにもかかわらず、ヤマハ担当者は「藤田寛之プロがここ10年で間違いなく一番いいと言ってくれています」とのこと。
 
また、現地記者はこれまで今平のドロー気味のアイアンの弾道を見慣れてきたが、今大会では「とにかく捻れないストレート球でターゲットラインから全く外れない仕上がり」に驚いたとか。そのため、最終日はかなり首位と差があったが「今平が来る」との予感があったそう。案の定、今平はサンデーバックナインで6バーディを重ねて逆転した。

この辺りは、もしかすると重心距離が2~3mm前作より長くなった可能性も考えられるだろう。バックフェースを見ると、トウへいくにつれ段階的に肉厚が増しており、ネックが短くなったことからも、流行りの“センター重心化”が図られた形跡も伺える。また、ソール幅も『TOURMODEL』より幅広に見えるため、明らかによりやさしい方向への進化が見て取れる。
 
同社の担当者は「詳細は言えませんが、昨年までの『RMX VD』フェアウェイウッドの例を振り返っていただけると、今後面白いことが起きるかもしれません」と、含みを持たせる。これは何度も既報の“契約フリー”女子プロたちがこぞって使ったことを暗に示すと思われ、“今平プロトアイアン”が契約外女子プロたちに供給されるということか。今後女子ツアーの動きにも注目が必要だ。

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