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渡邉彩香が強風のなか別次元ゴルフ スイング改造効果で「こんなに回りやすくなるとは」

オフにはスイング改造も。飛ばし屋・渡邉彩香が絶好のスタートを切った。(撮影:米山聡明)

<ダイキンオーキッドレディス 初日◇2日◇琉球GC(沖縄県)◇6560ヤード・パー72>

朝から吹く強風の影響で上位のスコアが伸び悩む中、渡邉彩香が5連続を含む7バーディ・1ボギーの「66」を叩き出し、後続に3打差をつける6アンダーでロケットスタートを決めた。

良かった点を聞かれると、まず「パターが良かったですね」とマスク越しに笑顔があふれる。172センチと長身の渡邉だが、いままでは短めのパターをさらに短く使っていた。それをオフは34インチと1インチほど長くして「グリップエンドのところを持つようにした」。

さらに、球の位置も少し右に置くようにしたことで、「いまいち力が伝わっていなかった」パッティングがしっかり芯でヒットできている。それが芝目の強い琉球GCのコーライグリーンで威力を発揮した。4番からの5連続バーディの場面では、1.5メートル、3メートル、5メートル、1メートル、3メートル弱を次々と沈めた。「思ったところに思った強さで打つのを、オフは徹底してやってきた、それが上手くできたかなと思います」と本人も満足顔だ。

そして強風のなかでひとり別次元のゴルフができたのは、昨年の終わりから取り組んできたスイング改造の成果が大きい。渡邉といえば、250ヤードを超えるドライバーショットが持ち味だが、フェードの曲がり幅が大きく、「きょうみたいな日は、左からの風はどれだけ左に出しても右ラフみたいなホールも正直あった」という。

それを「手の動きが大きいスイングだったのを、体と一体で打てるイメージに取り組んだ」と、手の動きと体の回転を同調させる動きに修正。練習では左手1本でクラブを素振りすることで、アウトサイド・インのカット軌道で打ち込む動きを、球に真っすぐシャローな起動で当てる動きへと、体に染みこませていった。

その結果、スライススピンが減って、いままで気になっていた左の林が気にならなくなった。「こんなにも回りやすくなるものかと今日は思っていました」とほほが緩む。最終18番パー5では、フェアウェイ左サイドから残り220ヤードを5番ウッドでピン奥5メートルに乗せて、2パットで楽々バーディ。「今までの球だったら(左の木が気になって)狙えないですね。こんなに打ちやすいんだというホールがいくつかありました」。

とはいえ、球筋を変えられても、自分の感覚とは違う方向へボールを出していく恐怖心はなかなか取れないもの。「それをなくすためにオフはけっこうラウンドを重ねました。始まるまでは正直不安だったけど、ホールを重ねるにつれて、大丈夫だなと思えた」と、オフの成果を実感する会心のラウンドとなった。

スイング改造に踏み切った理由については、「オフにやってきたことを自信を持ってやっているうちはいいんですけど、だんだんミスショットが出たりして、イメージが悪くなるともう直せないみたいな感じのシーズンをここ2年くらい過ごしてきた。これじゃあもう限界かなと。次に進んでいかなきゃいけないと思ったので取り組み始めました」と明かす。現在のコーチはアマチュアの馬場咲希(代々木高2年)も教えている坂詰和久氏だ。

首位スタートで残り3日間。「ひとまずこのスコアを出せたことは素直にうれしいし、自信になる。とはいっても、まだ初日で始まったばっかりなので、また気を引き締めてやっていかないといけないと思う。変わらずに残り3日間、きょうみたいないいリズムでできたらいいかなと思う」。風を切り裂くうすいフェードボールに、芝目に負けない芯を打ち抜くパター。新しい武器を手に入れた渡邉に死角はなさそうだ。(文・下村耕平)

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