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「あと5ヤード飛べば面白い戦いが…」 西村優菜が最終日最終組V争いで感じた“悔しさとうれしさ”

今季最高の3位に入った西村優菜(撮影:ALBA)

<ウォルマートNWアーカンソー選手権 最終日◇1日◇ピナクルCC(アーカンソー州)◇6438ヤード・パー71>
 
後半11番パー3。西村優菜がピン手前1.2メートルにつけたバーディパットは、カップ右フチに蹴られた。「入っていれば相手にもプレッシャーを与えられた。日曜日の午後はマインドゲームでもあるので、そういうのは大事。決めなきゃいけないパットだった」。ユ・ヘラン(韓国)に詰め寄ることができなかった。

“あとわずか”というシーンは、前半にも何度もあった。1番でいきなり奥1.5メートルのチャンスにつけたが、蹴られてパー。2番でも蹴られ、3番ではわずかに左を抜けた。「打ちたいように打ったけど、それが入ってくれなくて、そこからちょっと悩んでしまった。ミスパットも増えてしまったのは反省点」。スタートダッシュでいきなりつまずき、ナイスセーブもみせながらも、フロントナインはオールパー。足踏みしながら後半へと向かっていった。
 
10番パー4はこの日265ヤードに設定された。多くの選手がワンオンを狙うホールだが、西村はウッドで残り91ヤードまで運び、52度ウェッジで1メートルにつけた。バーディで滑り出したサンデーバックナインだったが、ここで少しの歯がゆさも感じていた。
 
最終日は多くのホールでティイングエリアが前に出され、18ホールの総距離は6039ヤードにまで短くなった。10番のようなワンオンチャレンジのホールや、2オンを狙いやすいパー5が増え、それは“飛ばない”西村にもうってつけ。だが、10番は手前のバンカーが気になって、ドライバーで狙うことを断念した。刻むマネジメントを割り切れてはいるものの、「有利、不利はあまり思っていないけれど、もうあと5ヤード飛べば面白い戦いができるのになとは思っていました」。
 
ヘランにはドライバーで30ヤードほど差をつけられていた。今季のドライビングディスタンス245.68ヤードで147位の“小さな巨人”にとっては、「自分は(狙いに)いきたいんだけどいけない、みたいな。追いかけている立場でそのもどかしさを感じた。日本では感じない難しさ」。セカンドオナーで内側につける場面も多くあったが、やはり物足りない。日本ツアーでは幾度となく優勝争いを演じているが、米国で初めての最終組入りでは、これまで感じていた飛距離の課題も再確認した。
 
それでも、自分らしいプレーを最後まで貫いた。最終18番パー5では2オンに成功したヘランに対し、レイアップを選択したが、残り82ヤードの3打目から60センチにつけるスーパーショットをみせた。「最終ホールは特にいいショットを打って声援をもらえた。(米国で)初めて最終組でグリーンに上がってきたのはいままでにない経験だったので、悔しさもうれしさもありました」。最終日はボギーフリーの「68」で回り、トータル15アンダーの3位タイ。待ちわびていた今季初のトップ10入りは、これからに向けてそれ以上に実りあるものになった。
 
「この緊張感のなかでできたのは今後に生きてくると思うし、こういうのをたくさん経験して、つぎ優勝争いしたときに生かしたい」。最後は笑顔で振り返った西村。悔しさもうれしさも、課題も収穫も…ひとつひとつが強くなる糧となり、西村はこれからもどんどん成長していく。(文・笠井あかり)

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