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毎試合が崖っぷちの43歳・竹谷佳孝、初日84位から「謙虚に自分らしく」を貫き11位フィニッシュ

竹谷佳孝は初日の出遅れから、11位タイまで順位を上げた(撮影:米山聡明)

<ANAオープン 最終日◇17日◇札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース(北海道)◇7066ヤード・パー72>
 
43歳の竹谷佳孝が、初日2オーバーの84位タイからベテランの意地を見せ、最終的にトータル12アンダー・11位タイでフィニッシュした。

竹谷は2014年「日本ゴルフツアー選手権」でツアー初優勝。その複数年シードもあり、20-21年シーズンまでシード選手として出場していたが、22年に賞金ランキング75位でシード権を失った。
 
23年の出場権を争うQTで3位に入る貫禄を見せて、前半戦の出場権を確保したのだが、14試合に出場して予選通過は半分の7試合で賞金ランキングは91位と低迷。2週前の「フジサンケイクラシック」後に行われたリランキングで出場優先順位を27位に落としてしまった。これでは出場枠が少なくなる後半戦は、出られない試合が多くなる。
 
そんな状況で迎えた今大会。「一発逆転を狙ってのプレーだったのか?」と問うと、「そんなことは考えていません。この大会は好きな(札幌ゴルフ倶楽部)輪厚コースなので、自分のゴルフが向上するきっかけになれば、と思っていたくらいです」と淡々と答えた。
 
そして、「ショットは悪くないのですが、結果がついてこない。ラフに入れてしまうと、そこから寄せられないことが続いています。ジャッジミスなのか、うまくいっていません」と、苦しい現状を話す。
 
この数年は、腰の痛みに始まり、ヒザ、ヒジ、手首と体中が故障続き。「だけど心は折れていませんよ。今週はラフに入れてボギーが来ても、仕方ないと思えました。謙虚に自分らしく、結果を認める。それが自分のスタイルなんです」と、笑みを見せた。
 
初優勝前も、もがきにもがいていたという。それが初優勝前年の13年くらいから、いい運気がやって来た。そのときも自分のゴルフを認めることで、結果が出るようになった。それを今大会は、思い出させてくれたのだろう。
 
「とにかくやれるうちは、上のステージを目指し続ける。それをやりたいのなら、しっかり考えてやれる方法を見つけろ。そう自分に言い聞かせています」と、穏やかな口調で話す。
 
大事なことは『自分らしさ』。それはある意味、ゴルフの鉄則なのかもしれない。らしくないことにチャレンジしても、結果は出ない。できないことが、本番でいきなりできることは決してない。ギャンブルショットがたまたま成功したとしても、長い目で見たら結果はついてこない。その原理原則に、竹谷は改めて気がついたのだ。
 
竹谷の次戦は来週の「パナソニックオープン」。現在、リランキング27位の竹谷まで、ギリギリで出場権が下りてきている。そこで優勝するかベスト10に入らなければ、再来週以降の試合に出場できるか不透明な崖っぷちの状況が続く。
 
今大会でつかんだきっかけをどこまで生かせるか。今大会では竹谷の1つ年上の谷原秀人が優勝した。若手が台頭する今だからこそ、40代のベテランたちの活躍が見たくなるファンも少なくないはずだ。(文・河合昌浩)

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