グリップの太さと手首の使いやすさは別物【QPのギアマニュアル】

関は、グリップの裏側が若干盛り上がったバックラインが強いのが好みという。「握った時にバックラインの突起があると安心できるので、長年、バックラインを強く感じられるモノ使っています。さらにバックラインを強調するため、下巻テープをバックラインと重なるように縦に巻くようにしています。バックラインがあると毎回同じように握りやすいですしね」

ゴルフクラブと体の唯一の接点であるグリップは、非常に重要なパーツです。市販クラブについている、いわゆる純正グリップは、そのまま使用するのに困りませんが、より自分にフィットさせたいなら、是非とも、こだわりたいパーツです。
 
グリップには、さまざまな種類があり、グリップ本体の違いはもちろん、シャフトに固定するために使う下巻きテープの巻き方などによっても握り心地が変わってきます。グリップの握り心地を大きく左右するのが太さです。まず、グリップ自体にも太さの違いがあり、内径のサイズによって変わります。内径サイズは主に58(0・58インチ)、60(0・60インチ)、62(0・62インチ)とあり、標準的なサイズは60です。基本的に外径サイズは変わらないので、内径の数字が大きいほどグリップ自体が薄くなり、シャフトに装着した時に細くなります。数値が大きくなるほど細くなるっていうのはちょっとややこしいですよね。
 
グリップを太くするには内径が小さいモデルを選ぶか、通常1枚で巻く下巻テープの巻き数を増やすかです。下巻テープで太くするのは、昔からツアープロが愛用する方法です。バッバ・ワトソンやフィル・ミケルソンは下巻を7~8巻にして、かなり太くしていました。ワトソンが使用するグリップと同じ物を握らせてもらったことがありますが、めちゃめちゃ太かったですね。
 
よくグリップを太くすると、手首の動きが抑えられるとか、右手の使い過ぎを抑制されるなんて言われます。しかし、プロや上級者がボールのつかまり過ぎを抑えるためといった限定的な効果はありますが、初中級者にとって、あまり使い勝手は変わりません。なぜなら初中級者に多いシャフトを回転させるような手首の使い方では、グリップがどんなに太くても、それと関係なく回っちゃいますから。

手首の動きに太さは大きな影響がないので、グリップの素材を含めて、握りやすさ、振りやすさで選びましょう。しっくりくるグリップと何となく違和感のあるグリップでは、芯を喰う確率は全然違います。
 
グリップは太さとともに重量の違いもあります。重さの違うグリップに交換したり、下巻きテープを増やして太くすると、クラブのヘッドバランスや総重量が変わります。例えば、60径から58径にすると重さが増えます。下巻きテープは1巻き増やすと2~3グラム重くなるので、ヘッドバランスは軽い方に数値が出ます。その変化に対して、鉛を張って調整する必要はないと思います。
 
一般的なスペックのクラブであれば、50グラム前後のグリップを装着しています。その状態で自分に合ったヘッドバランスなら、グリップを重くしようが軽くしようが、重量の増減、ヘッドバランスの変化は無視して大丈夫です。この数値にこだわり過ぎると、グリップのモデルの選択の幅がかなり狭くなってしまいます。数値が変わるぶん、振り心地は変化します。しかし、それよりも自分が気持ちよく握れて気持ちよく振れる感触や太さを大事にした方が、自分のフィーリングをボールに伝えられ、いい結果を得られやすくなります。今までに使ってよかったモデルの硬さや太さを基準にして選ぶと、グリップ選びに失敗しないですよ。
 
 
関雅史(せき・まさし)/1974年生まれ、東京都出身。PGA公認A級ティーチングプロの資格を持ち、クラブフィッティングも行う。東京・駒込のゴルフスタジオ「ゴルフフィールズ」で活動。

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