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久しぶりに練習に行ったらマンションになっていた! 困難な練習場経営の実態

屋外練習場の数は29年連続で減少している(写真はイメージ)

都会の練習場はどんどん閉鎖されて、マンションなどになっているそうです。少し前の全国のデータになりますが、1992年度の5,420施設をピークに、21年度は2,553施設と、ほぼ半数近くまで減少しています。調べてみると、多くの場合は、経営者が亡くなったり、代替わりをきっかけに、練習場を閉鎖するケースが多いとのこと。練習場は大きな敷地を使っているので、敷地の権利の問題で、相続できないとか、まとまった土地としてマンション開発業者のターゲットになることもありますが、本音でぶっちゃけると、ビジネスとして練習場は儲からないのが原因だそうです。(もちろん経営として成り立っている練習場もあるでしょうが)

作ってしまえば、練習場は日銭を稼げるビジネスだと勘違いしている人はたくさんいます。ちょっと考えるとわかってきます。定期的に、ネットやポールなどを修理しなければなりませんし、ボールも入れ替えなければだめですし、施設も時代に合わせてリニューアルをしなければ、来場者が減ってしまいます。光熱費なども、小さな工場よりも掛かるのです。

大きな練習場ほど、それらのランニングコストは増大します。1年の利益は、全てメンテナンスで吹っ飛んで、トントンで済むのなら、練習場経営者として優秀だと賞賛されるのが現実で、土地代が高く固定資産税も高額な都会ほど赤字経営なのです。

ある練習場のオーナーに、どうして、赤字を補填しながら練習場を経営しているのか、と質問しました。ゴルフが大好きだから、それ以上でも、以下でもない、という答えでした。また、その練習場では身内を手伝わせていないそうで、その理由が、引き継がせるのは残酷だから、なのだそうです。練習場経営なんて道楽だ、と陰口をいうことなかれ。ゴルフ練習場は、ゴルフ愛と自分がやらなければ誰がやる、というロマンに溢れていると思いたい。

土地が安い地方は別ですが、都会の大規模練習場は大きな企業の子会社や孫会社が運営しているところばかりになりました。これは本業で儲けた一部を社会貢献として世の中に還元するという考え方で成り立っています。残念ですけど、近年は、十分に社会貢献ができたから、と撤退するケースも増えているそう。企業は儲からなければ存続できない。これも時代の流れといえばそれまでかもしれませんし、集客力のない練習場は淘汰されてしまうことも理解できます。

ゴルフは練習なしでは、誰一人として、楽しめるレベルになれません。ゴルファーにとって練習場は不可欠な存在です。大きな練習場が減っていく代わりに、都会ではインドアの練習場が激増していますが、今後、これらのインドア練習場が存続していけるのかにも注視したいところ。また、インドア練習場が増えた影響か、コースに行かずに、練習だけしかしない『オフコースゴルファー』も増えているという噂もあります。面白いものです。

インドアでボールを打つのも悪くないですし、その方が上達も早いという考えにももちろん理があります。それでも、損得勘定を無視した愛とロマンの歴史に感謝しつつ、屋外の打ちっぱなしでも練習したい。そのほうがレベルアップが早いような気がするのです。

(取材/文・篠原嗣典)

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