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「Don’t wait to do something」亡き父のメッセージとともに戦う全米アマチャンピオンが快進撃

ベネットと恩師 新たな歴史を作ることはできるのか(撮影:GettyImages)

<マスターズ 2日目◇7日◇オーガスタ・ナショナルGC(米ジョージア州)◇7545ヤード・パー72>

サスペンデッドとなった「マスターズ」2日目だが、トータル8アンダーでプレーを終え暫定3位と快進撃を続けるのがアマチュアのサム・ベネット(米国)だ。

過去に出場したアマチュア選手の中で、36 ホールのスコアとしては2番目に少ない数字(最少スコアは1956年のケン・ベンチュリ=米国の9アンダー)。また、全選手がラウンドを終えていないが、このまま3位をキープすれば、36 ホールを終えてのアマチュアによるトップ5入りは2003年のリッキー・バーンズ(米国)以来となる。

テキサスA&M大学在学中の23歳で、今夏に卒業して米下部のコーンフェリーツアーに挑む予定。昨年は「全米アマチュア選手権」で優勝し将来を嘱望される若手だが、その裏にはつらい人生もあった。

若年性アルツハイマーと診断された父親のマークを2021年に亡くし、献身的に介護をしながらも大きな負担を強いられていた家族は、さらに悲嘆に暮れた。その父親が残した言葉「Don’t wait to do something」(何かをするのを待つな)を左腕に託し、同じく若くして父親を亡くしたA&Mのコーチであるブライアン・コータンに支えられながら、徐々に立ち直っていったサム・ベネット。

「父が亡くなる前に、左腕にタトゥーを入れた。ボクはそれを見るたびに成長するんだと思い、モチベーションを高めるために使っている。オーガスタでプレーしているのを見たら、父はどんなに喜ぶことだろう」

父の思いを腕に刻み、ここまで歴史的な快進撃を続ける。「優勝を意識する位置にいる」とする一方で、「父はボクが80を打とうが気にしない。正しいことをして、紳士であればそれでよかったんだ」と、ベストを尽くし、理想のゴルファーとして突き進む覚悟。スコアは後からついてくるものと堂々の振る舞いだ。

今大会のキャディは、ベネットを公私ともに支えてきたコータン。「夢のような時間。でも、週末はあまり緊張しないと思う」。亡き父のメッセージを胸に、信頼できるキャディとの二人三脚で最終日まで快進撃を続けるはずだ。

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