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下部ツアーで2連勝中 ルーキー鈴木晃祐と石川遼の縁「昔は”遼くん”、最近は“遼さん”と呼んでいます」

東北福祉大出身の22歳のツアールーキー、鈴木晃祐(撮影:上山敬太)

<ゴルフパートナー PRO-AM トーナメント 事前情報◇17日◇取手国際ゴルフ倶楽部(茨城県)◇東コース(6804ヤード・パー70)、西コース(6544ヤード・パー70)>

東北福祉大学4年生だった昨年のファイナルQTで30位に入り、ルーキーイヤーの今季は下部のABEMAツアーを主戦場としている鈴木晃祐。開幕戦こそ69位に終わったが、2戦目の「i Golf Shaper Challenge in 筑紫ヶ丘」でABEMAツアー初優勝を挙げると、先週行われた3戦目の「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP CHALLENGE in FUKUI」でも優勝し、2試合連続優勝の勢いを持ってレギュラーツアーに乗り込んできた。

今季のレギュラーツアーは2試合に出場。4月の「関西オープン」では、最終日にホールインワンを達成するなど3位タイに入って、『直近のツアーで上位10位以内』の資格で次戦の「中日クラウンズ」の出場権を獲得。そこでは予選落ちを喫したが、レギュラーツアーでもインパクトを残している。
 
鈴木は千葉県野田市出身。ゴルフ好きの両親の影響で5歳のときに初めてクラブを握った。「僕は一人っ子なんですけど、毎週両親が2人でゴルフに行っていて、将来的に3人でできたらいいなと父に勧められたのがきっかけです」。小2のときにはコースデビューも果たした。
 
小学生時代の成績は「全国に行けてやっと」だったが、夕方6時に祖母に練習場まで送ってもらい、3時間打って父親に迎えに来てもらう生活を小学生の頃から続けていた。「今考えると、小学生の頃からけっこう打っていましたね。最後の1時間は父が練習場に来て指摘してくれた。父は知識はなかったんですけど、いろいろ見てくれましたね。中学生の頃は帰宅部で、同じような感じで練習していました」。
 
当時通っていた練習場は、今大会の会場も近い千葉県野田市にある『ゴルフサロンSELA』。ここは石川遼が通っていた練習場でもある。鈴木に憧れのプロを聞くと「石川遼プロ」と即答する。「石川プロが賞金王になった頃に僕は小3でした。『サインください』といって、練習場でサインをもらったのは覚えています。そこからちょくちょく親交があって、中2くらいのときに一緒に回ったりもしました。一番近くで見てきた有名なプロですね」と話す。
 
では、2人は何と呼び合っているのか。「昔は“遼くん”と言っていましたけど、最近では“遼さん”ですね。向こうはコースケと呼んでくれています。いまはやっぱり緊張して自分では話しかけづらいです(笑)」。大人になって同じフィールドに立ったことで、石川遼という存在の大きさをより感じるようになった。
 
高校時代に鈴木のゴルフ人生を変える転機が訪れる。「埼玉栄と迷ったんですけど、近いから」と、ゴルフの実力を買われて西武台千葉高校に進学すると、高校2年のときに「日本ジュニア」のタイトルを獲得。「プロを目指すきっかけになったし、大学もそこで決まった」と、名門・東北福祉大学から声がかかった。

大学に入ると2つ先輩に金谷拓実、1つ上に杉原大河、同期には蝉川泰果がいた。「アマチュア時代からプロで活躍する選手が多かったので、だいぶ刺激になりました」。鈴木が大学1年生だった19年には金谷が、21年には同い年で日体大にいた中島啓太が、22年には蝉川がアマチュア優勝を遂げた。鈴木もまた、昨年の「アジアパシフィックオープン」の最終日に「63」をマークして2位タイ。アマチュア優勝にあと1打まで迫った。
 
「啓太は埼玉だったので、ジュニア時代から試合でけっこう会っていました。小さい頃から一緒にやっていた選手が優勝すると、ウワーという感じでしたね。早く追いつかなきゃなという気持ちにもなります」と同世代の選手から大きな刺激を受ける。一方で、「僕は大学を卒業してから優勝できればなと思っていたので、まさかアマチュアで優勝する選手がポンポン出てくると焦りもありました」という気持ちも持っていた。そして、ツアー唯一のプロアマ形式の今大会の予選ラウンドでは、4年間一緒に大学で過ごした蝉川と同組で回る。
 
小学校6年から中学3年までは、かつて石川を教えていた佐々木孝則氏や、石川の父・勝美氏に少し教えてもらうことはあったが、いまはコーチをつけずに練習している。スイングで大事にしていることを聞くと、「曲がるときはリズムがおかしいとき。トップで体が回っていないと、タイミングがズレたりしてしまうので、朝の練習で体の調子をみて調整するようにしています」と答える。
 
ゴルフの組み立てにもマイルールがある。「持ち球も日によってフェードが出やすかったり、ドローが出やすかったり。日替わりゴルファーです」と笑う。朝の練習場でスイングのタイミングを調整しつつ、出る球に合わせて、その日のマネジメントを考えている。
 
「レギュラーで優勝することが一番の目標。レギュラーで優勝争いしつつ、ABEMAも狙っていければと思います」。ABEMAで年間3勝すれば、その年の残りのレギュラーツアーの出場資格が得られる。また、現在賞金ランキングトップを走るABEMAの賞金王になれば、来季のレギュラーツアー出場権が手に入る。関西オープン3位タイで464万円を稼ぎ、レギュラーツアーの賞金ランキングは現在20位。最短距離で目標達成するために、限られたレギュラー出場のチャンスもしっかり生かしたい。(文・下村耕平)

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