平均ストロークは歴代最少『69.4322』 2季連続偉業の山下美夢有が女王戴冠「来年はメジャーでいい成績を」
<JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 最終日◇26日◇宮崎カントリークラブ(宮崎県)◇6497ヤード・パー72>
2メートルのウイニングパットを沈めると、控えめな笑みをこぼした。山下美夢有が大会連覇を達成し、さらには2年連続で年間女王のタイトルを獲得した。
昨年は「伊藤園レディス」でシーズン4勝目を飾り、最終戦を待たずして史上最年少での女王戴冠を決めた。一方、今年は最終戦までその争いはもつれ込み、さらには元世界ランキング1位の申ジエ(韓国)、岩井明愛との三つ巴の様相を呈していた。「プレッシャーというか、緊張は去年よりもあった」とこの日のスタートの心境を振り返るが、自信を持って18ホールでクラブを振り続けた。
先にボギーがふたつ来て後続と肩を並べても、いつもと気持ちは変わらなかった。3日目にダブルボギーとした8番パー3で「いいリズムでスイングができて、この感覚かなとつかめた」とティショットがグリーンに乗ると、11メートルのパットがカップに沈んだ。「立て直すことができた」と続く9番もバーディ。後半はさらに2つ伸ばし、3打差をつけてフィナーレを飾った。
優勝とともに、年間女王も獲得した。2季連続の戴冠は2015、16年のイ・ボミ(韓国)以来8人目となり、22歳116日の達成は史上最年少。それだけではなく、今季獲得賞金も2年連続で2億円の大台(約2億1355万円)を突破した。シーズン平均ストロークは歴代最少となる『69.4322』を記録。史上初となる2年連続平均ストローク60台を達成した。
今年は6月までに4勝を飾り、その後も上位争いを繰り広げてきたが、「納得いかないショットが多かった」とその期間は本人としては苦しい時間だった。そんな時期がありながらも、平均ストロークは60台を死守し、さらには昨年の『69.9714』の記録を更新。「平均ストロークを上げることができたのは、ひとつの成長だと思う。2年連続でできたのはプラスになった」と胸を張る。
ほかにも平均パット数(1.7256)、フェアウェイキープ率(79.0841%)など18部門で1位を獲得。進化を続ける“女王”が、その存在感をより強くさせた1年だった。
一方で、「成績を出したい目標があった」という海外メジャーに3試合出場したが、「全米女子オープン」では予選落ちを喫し、最高位は「AIG女子オープン」(全英)の21位タイだった。「悔しい思いをした。来年はメジャーでいい成績を出せるように準備したい」とシーズンを終えたばかりでも、すでにその目は来年を見据えている。いくつもの快挙を達成しても、貪欲さは変わらない。
海外メジャーだけではなく、来年は4年に一度の祭典「パリ五輪」も開催される。「オリンピックは特別で記念に残る。出たい気持ちはあるけれど、来年も変わらず、引き続き頑張りたいです」と意欲を口にした。昨年に続く年間5勝を飾った山下。“絶対女王”のさらなる進化が楽しみだ。(文・笠井あかり)
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