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成田美寿々のクラブ観「契約フリーの選択がみんな“鬼に金棒”になるとは限らない」【記者の目】

コーチと専属フィッターと共に、進化の方向性を確かめた

2018年のシーズンを3勝して賞金ランク5位で終えた成田美寿々。この日はさらなる進化を求めて、シーズンを終えたばかりのスイング、クラブの状態をチェックし、さらなる課題を見つけようと都内のPCMラボを訪問。コーチの井上透、専属クラブフィッターの吉田智(大蔵ゴルフスタジオ)と共に「GEARS」で動作解析を受け、自分のスイングに合うシャフトを主に確かめた。

ドライバーシャフトは、さまざまなものをテストしたものの、吉田氏と見つけた[RS]()」で詳細に動作解析した上、納得のもとにさらなる進化の方向性を確認していた。

成田は、プロ入りしてからずっとクラブ契約フリーの立場を貫いている。今季は[アン・ソンジュ]()がクラブ契約フリーになって飛躍したことについて意見を聞くと、こう語る。

■ソンジュとジエは【鬼に金棒】になっている

「ソンジュは、元々技術が高いですし、すごく器用なタイプなので、ずっと前から契約フリーになった方が結果出るのになぁ〜と思ってましたから、今年の結果には驚きません。初日使ったクラブでも2日目に替えたりして、すごく楽しみながらやってましたよね」(成田美寿々

また、賞金ランク2位になった申ジエについても聞くと、

「ジエさんもソンジュも同じだと思うんですよ。2人とも、すごく技術が高くて、自分のテクニックを活かすためのクラブ選びだと思うので。クラブに助けられるのではなくて、自分の技術で操るためのものを選ぶために(契約フリーに)なってますよね。

(好きなクラブを自由に選べる)契約フリーだから活躍できるんじゃなくて、技術がベースというか。何というか、ソンジュとジエさんの場合は(契約フリーが)ちゃんと【鬼に金棒】状態になっていますよね。でも、他の下の選手が契約フリーで同じになるかと言うと、ちょっと違うと思いますね」

プロ入り以来、ずっと契約フリーできた成田からすると、「クラブ選びが【松葉杖】状態になってはいけない」と言いたいようだ。

■信頼できるフィッターがいるか?が分かれ目

「最近のクラブって、本当にどのメーカーさんのものもすごく性能が良くなっていると思うんです。それに、実際クラブにすごく救われている選手が多いと思いますよ。例えは極端ですけど、どの選手も同じ昔のクラブを使わなきゃいけないとなったら、今いるメンバーとガラリと変わるかも。でも、ソンジュやジエさんは大丈夫だと思う」

クラブ契約フリーの立場は、選択肢が多いが故に、逆に難しくならないのだろうか。

「私の場合は、マンツーマンで面倒なことにもずっと辛抱強く付き合ってくれる信頼する人(フィッター吉田氏)もいますし、そこは恵まれているなぁと思います。他の選手は、契約している選手でもそうもいかない部分があると思うので。

特に、ソンジュや上の人になれば、それこそ契約フリーでもいろんなメーカーの方から手厚くやっていただけますけど、下の選手には難しい…。私もずっと契約フリーで来ましたけど、ここまで上に来れてやっとという感じもしますし。そこは、契約している選手であってもいろいろ状況があると思います。その代のものがたまたま合わなかったり、色んなケースがあるので、契約するか、フリーかどちらがいいとは言えませんね」

シーズンを終えたばかりでもすぐにさらなる向上を求めて動く成田らしく、まずは技術の向上ありき。クラブはその技術を発揮するためのものと、アスリートマインドに溢れていた。そして、選手がクラブのことが分からないのであれば、合うまで最後まで付き合ってくれるフィッターを見つけることが近道だと言う。「こんなに面倒くさいことに付き合ってくれるなんて、ね」と、支えてくれるチームに感謝する姿が印象的だった。

Text/Mikiro Nagaoka

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