町田・ジオヴァンニ「今後もさらに強度と精度は上がっていく」Fリーグ月間MVP
7月のFリーグ月間MVPは、ペスカドーラ町田のジオヴァンニ選手が受賞。クラブ史上初となる8連勝の立役者の一人であり、7月は2回のクリーンシートを含め、5試合でわずか5失点という守備力の高さを披露したブラジル人守護神の受賞インタビューをお届けします。
インタビュー・文=北健一郎、本田好伸、大西浩太郎(SAL)
※インタビューは8月1日に実施しました
最小失点は「日々の練習と強度、コミュニケーションのおかげ」
──7月のFリーグ月間MVPの受賞おめでとうございます!クラブ史上初の8連勝に大きく貢献しました。率直なお気持ちはいかがでしょうか?
選んでいただきありがとうございます!すごくうれしいです。チームがいい成績を収めていて、仲間がいてこその受賞だと思います。本当に素晴らしいサポートをしてもらっています。
──チームを8連勝へと導く過程で、ジオヴァンニ選手を始め、守備の堅さが際立っていました。失点を少なく維持できた理由はなんでしょうか?
開幕節のY.S.C.C.横浜戦こそ点を取られてしまった部分はありましたが、以降はディフェンスの修正をしっかり行って、前線からのプレッシャーなど、強度の高い守備をできていることが要因だと思います。1試合の平均失点を1点台に抑えられていることは、間違いなくチームのストロングポイントです。
先日の名古屋オーシャンズ戦でも、それが十分に通用したという実感があります。最後に点を取られてしまいましたが手応えを感じました。この戦い方を今後も続けていきたいです。
──7月は5試合で5失点、クリーンシートが2回ありました。なぜ、失点しないのでしょう。
間違いなく言えるのは、日々のトレーニングにおけるコミュニケーションです。ディフェンスに対して、監督が求めるもの、選手が個々に求めるものを細かくすり合わせています。
加えて、練習の強度が本当に高いこと。これは開幕当初から続けていますが、コミュニケーションを図りながら強度が高い練習をできていることは、間違いなく今のディフェンス力につながっています。ですから、今後もさらに守備の強度と精度は上がっていくと確信しています。
──昨シーズンを前に、日本代表のピレス・イゴール選手が浦安へ移籍し、少なからず守備の不安があったなか、ジオヴァンニ選手の加入により解消されました。フットサルにおけるゴレイロの重要性はとても大きいですが、ご自身としては「ゴレイロ」というポジションについてどのように考えていますか?
間違いなくゴレイロの重要性は大きいと思います。イゴール選手が町田にいた時も、失点が少なく、素晴らしい成績を残していました。彼は本当に偉大ですし、リスペクトしています。
僕は、チームに加わってから町田のことをたくさん勉強して、どうやって貢献できるのかを常に考えてきました。昨シーズンに合流してからは、ディフェンス陣とコミュニケーションを図ることを特に意識しています。
今の町田は前からプレッシャーをかけているので、前がかりになり突破された後のリスクを背負っています。ただし、後ろに安心できるゴレイロがいて、「裏をとられても止めてくれる」という信頼関係があれば、それをできる。今は、そういう関係を築けていて、チームメートも僕を信用してくれているはずです。
──ジオヴァンニ選手は攻撃参加も魅力の一つです。相手のプレスに対して数的優位をつくったり、自らのパスでチャンスをつくったりするシーンも多いですが、そこも強みですよね。
足を使ったプレーは、小さい頃から意識してきました。ただ、大人になり、トップチームでプレーしてからはうまくいかないことが増えたので避けていた時期もありました。ブラジルのサン・ジョゼというクラブではそうしたプレーを求められるようになったので、そこでもう一度、足を使ったプレーを磨きました。
幸い、僕は左足も右足も遜色なく蹴ることができるので、それを生かしたプレーをブラジルでもやってきました。町田では甲斐(修侍)監督からも求められていますし、練習中からフィールドの選手と連係しています。
近年は、世界的にも、ゴレイロはただゴールを守るだけではなく、攻撃のオプションとしての役割も求められています。4人対4人でこう着状態のなか、ゴレイロを入れて打開することが一般的になっていますから、町田でも全員が意識して取り組んでいます。パワープレーだけではなく、僕の特徴を組み込む戦い方はすごく有効だと感じています。
フットサルを始めた時からゴレイロだった
──ジオヴァンニ選手はいつからフットサルを始めたのでしょうか?
父親がもともとゴレイロだったのですが、物心がついた時からすでにボールを蹴っていました。本格的にチームに入ったのは9歳で、最初からゴレイロでした。最初は全然ダメで、11歳までは試合に出たことがありませんでした。
──サッカーの経験はありますか?
パルメイラスというチームでは、サッカーとフットサルの両方をやっていました。日本では身長が高いほうかもしれませんが、ブラジルのGKはもっと背が高いので、15歳の時に指導者に薦められてフットサルに専念しました。
──最初はうまくなかったと言っていましたが、パルメイラスは有名なチームですよね。そこでプレーできていたということは、かなり上達したということですか?
ブラジルでは、ゴレイロはフィールドの選手よりもかなりハードなトレーニングをするんです。他の選手よりも先に練習場に来て練習を始め、全体練習の後も残って練習していました。11歳で初めて試合に出られるようになりましたが、そこから技術が上がって、14歳でパルメイラスに加入しました。そこからの1年間は、サッカー、フットサル、サッカー、フットサルと日替わりで交互にやっていました。
パルメイラスはサッカーではビッグクラブですが、フットサルではトップチームがある年とない年があるような、まだまだ発展途上のチームです。なので、フットサル選手として上を目指す選手は移籍することが多いですね。
──ペスカドーラ町田のオファーを受けようと思った理由はなんですか?
プロ選手として経験を積んだり、自分の力を試したりするために海外でプレーしたいという気持ちがありました。以前、ポルトガルからオファーをもらったこともあったのですが、その時は条件面が折り合わず、契約には至りませんでした。
ただ、日本にはFリーグでプレーしている友人も多く、「日本はいい国だし、競技も成長期にあっていい環境だ」「町田は歴史のある有名なチームだ」ということを聞いていたので、オファーをもらった時は移籍を即決しました。
──特に話をしたのは?
最初に話をしたのはガリンシャです(元フウガドールすみだ、バルドラール浦安)。日本にいるブラジル人選手はみんな知っていますけど、ガリンシャは特に仲がいいですね。
──ブラジルにルーツを持つ選手としては、イゴールや黒本ギレルメ選手、クレパウジ・ヴィニシウス選手が帰化してから日本代表にも選ばれています。今の時点で、ジオヴァンニ選手も日本代表として戦いたい気持ちはありますか?
帰化するには最低でも5年は日本に住む必要があります。僕はまだ1年しかいないので想像がつかないですけど、そういう選手がいることは理解しています。まだ、先の話ですね(笑)。
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