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【オーシャンカップ2023】“涙”の会見、盤石の王者、3点差からの攻防、“2枚警告”で監督退席……アツすぎる準決勝を制した名古屋、浦安が明日21日の決勝に進出!

20日、Fリーグオーシャンカップ2023は大会5日目から決勝ラウンドとなり、アダストリアみとアリーナで準決勝の2試合が行われた。

1次ラウンド3回戦から登場した名古屋オーシャンズはシュライカー大阪を5-2で退け、昨シーズンのプレーオフ準決勝の“再戦”となったもう1試合は、バルドラール浦安が立川アスレティックFCに5-4で辛勝した。

この結果、21日の決勝は名古屋と浦安が対決することとなった。

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“4試合目”で敗れた大阪・齋藤日向が悔し涙

準決勝第1試合は、名古屋と大阪が対戦。1回戦から戦い続けた大阪にとっては、初戦の16日から、19日の中日を挟んで4試合目であり、一方、18日の3回戦から登場した名古屋はこれが2試合目。疲労度の差は明確であり、“チャレンジャー”大阪の苦戦が予想される試合だった。

それでも、奮闘したのが大阪だった。序盤から名古屋の猛攻を耐え凌ぎ、虎視眈々と先制点を狙う集中力の高さが光り、「準決勝らしい試合だった」(フエンテス監督)と名古屋の指揮官が試合後に振り返ったとおり、ハイレベルな好ゲームとなった。

試合を常に主導したのは名古屋だった。ゴールをこじ開けられない時間が長く続くと、残り5分で5ファウルをためたこともお構いなしに攻め立て、17分、昨シーズンのリーグ戦MVP、アンドレシートが魅せた。中央のダルランから縦パスが送られると、巧みなトラップで前を向き、ゴレイロの動きを見極めながら右足のシュートで確実にネット揺らしてみせた。

第2ピリオド、名古屋はゴレイロを篠田龍馬から田淵広史に変更し、攻撃的なリズムを強めていく。迎えた23分にはダルランのゴールでリードを広げるなど、試合のペースを掌握したように思えた。

しかし直後の24分、大阪が意地を見せる。今大会でデビューを飾ったナカマツ・ルアンが、大会4得点目となるゴールを決めて1点差に追いつくことに成功した。

とはいえ、王者に焦りは見られない。26分にゴール前で完璧に相手を崩し、左の清水和也からアンドレシートが決めてリードを再び2点とすると、34分には第2PKを沈めたアンドレシートがハットトリックを達成。昨シーズンと同等かそれ以上のクオリティで、この試合の主役となった。

大阪は直後に加藤翼をゴレイロにしてパワープレーを始めると、35分に加藤未渚実が1点を返したが反撃はそこまで。残り10秒でGK田淵広史のパワープレー返しが決まり、ベンチ前は大盛り上がり。勝利に花を添える一撃で5-2とした名古屋が、磐石の強さで決勝進出を決めた。

ただし、この試合で際立ったのは大阪の“闘志”だ。疲労が色濃く見えるなかでも最後まで走りきり、質を求め、結果を追って戦う姿は、昨シーズンのリーグ戦で下位に沈んだチームのそれではなく、“強い大阪を取り戻す”という気概にあふれた。

そんな思いを象徴するように、試合後の会見に登場したキャプテン・齋藤日向は涙ながらに「悔しいですけど、ここからもう一度、這い上がって、強い大阪をもう一度取り戻したい」と決意のコメントを残した。

イエロー“同時刻2枚”で比嘉監督が退席処分に

浦安と立川による準決勝第2試合も、“準決勝らしい”激しい攻防となった。ただし、それは“第2ピリオドから”だ。試合の序盤は浦安のゲームだった。

3分に右キックインのキッカー・大島旺洋からファーで長坂拓海が決める“恒例の”ダイレクトプレーで浦安が先制すると、8分にはカウンターから石田健太郎が股抜きパスを繰り出し、ファーの加藤竜馬が追加点。さらに10分にもカウンターから田中晃輝が抜け出し、左でフリーとなった大島が決め、あっというまに3-0とした浦安が、早くも勝負を決めたような流れを作り出した。

立川は11分、南雲颯太がパスカットから自分でフィニッシュに持ち込んで1点を返したものの、15分にはこぼれ球に反応した加藤がこの日2点目を決め、再び3点差として試合を折り返した。

第2ピリオドに入ると、立川がよみがえった。口火を切ったのがクラブの代表理事兼選手の皆本晃だ。23分、中央から豪快なミドルを突き刺して1点を返すと、その後も浦安を攻め立て、32分には波状攻撃から最後に新井裕生が押し込んで1点差に。さらに35分、右キックインのキッカー南雲が左サイドへ浮き球パスを送ると、新井が強烈なボレーをゴール右隅へ突き刺した。

一時、3点あったリードを追いついた。昨シーズン、リーグ戦終盤に8連勝を含む14試合無敗として2位でプレーオフに出場。準決勝で浦安を撃破して名古屋への挑戦権を手にした経験は、確実に彼らを強くしている。逆境で足を止めることなく、むしろ勢いを増して追いついた姿こそ、立川が“ステージを上げた”証だろう。守護神・黒本ギレルメ、若きエース・金澤空が退団した影響が懸念されるなかで、それを感じさせないチーム力の高さを示した。

逆に浦安は、3点のリードを生かして一気に試合を決められなかった。リーグ終盤に失速して3位に転落し、プレーオフ準決勝で苦杯をなめた“悪夢”がよみがえるようだった。しかし、「内容は置いておいて、勝てたことが大きい」(石田健太郎)と、浦安は踏みとどまった。同点とされて迎えた37分、右サイドで染野伸也が仕掛け、粘りながらマイナスに折り返すと、ニアの田中晃輝が右足を一閃。殊勲の一撃を決めて、再びの勝ち越しに成功した。

立川は直後に皆本をゴレイロにしてパワープレーを始めるが、浦安の集中力も高い。小宮山友祐監督は、石田、長坂、大島、加藤という、今の浦安を支える選手をピッチに送り込み、耐えていく。試合は、どんな結末を迎えるのか──。手に汗握る終盤戦は、最後にもう一波乱あった。

残り13秒でボールがタッチラインを割って浦安ボールになると、立川・比嘉リカルド監督が審判に猛抗議。自身の目の前で外に出たボールは、浦安の選手に当たっていたと主張したが、認められず、異議を唱えたことで“最初の”イエローカードが提示された。浦安がタイムを取り、“試合の締め方”を確認する。その間、比嘉監督は納得しきれず、タイムが明けても抗議を続ける。すると再びの異議により、“2枚目”が提示されてしまう。2回の警告で退席処分。指揮官は次の試合でベンチに入ることができなくなってしまった。

最後の最後までヒートアップした試合は、5-4で浦安に軍配。プレーオフ準決勝の“リベンジ”を果たした。

この結果、21日(日)の決勝は名古屋vs浦安となった。同カードによる決勝は2017年以来、4年ぶり。名古屋が勝てば5連覇および10回目、浦安が勝てば今大会初優勝となる。

なお、最終日は決勝の前に大阪vs立川による3位決定戦も行われる。

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