シモンズのチーム合流をエンビードは“条件付き”で歓迎「毎晩姿を見せなきゃならない」<DUNKSHOOT>

条件付きでシモンズ(右)受け入れる姿勢を見せたエンビード(左)。はたして強力デュオは復活するのか?(C)Getty Images
現地時間2月8日(日本時間9日、日付は以下同)、フィラデルフィア・セブンティシクサーズはホームのウェルズファーゴ・センターでフェニックス・サンズと激突。一時は14点差をつけたものの、終盤までもつれた接戦の末に109−114で惜しくも敗れた。

今季戦績をリーグベストの44勝10敗(勝率81.5%)としたサンズは、デビン・ブッカーがゲームハイの35得点、ミカル・ブリッジズが23得点、クリス・ポールが16得点、12アシスト、ジャベール・マギーが15得点、12リバウンド、2ブロック、ディアンドレ・エイトンが10得点、6リバウンド、ジェイ・クラウダーが14リバウンドをマーク。ここ15戦で14勝と好調をキープしている。

敗れたシクサーズはジョエル・エンビードが34得点、12リバウンド、3スティール、トバイアス・ハリスが30得点、7リバウンド、タイリース・マキシーが14得点、6リバウンド、4アシストをマークしたものの、難敵相手にあと一歩及ばなかった。
イースタン・カンファレンスは例年以上に大混戦となっており、8日を終えた時点で1位のマイアミ・ヒート(35勝20敗/勝率63.6%)から8位のブルックリン・ネッツ(29勝25敗/勝率53.7%)まで8チームが5.5ゲーム差。5位のシクサーズは32勝22敗(勝率59.3%)で、首位ヒートとは2.5ゲーム差と、ここからさらに調子を上げていけばイーストトップまで上りつめることが可能な好位置にいる。

そこで注目されているのが10日に迫ったトレード・デッドラインに向けた動きだろう。8日にドマンタス・サボニスがインディアナ・ペイサーズからサクラメント・キングスへ、CJ・マッカラムがポートランド・トレイルブレイザーズからニューオリンズ・ペリカンズへ放出されるなど、トレード市場が活発化。シクサーズにも今季出場できていないベン・シモンズがおり、このオールスターガードをデッドラインまでにトレードすることができれば、戦力増強が十二分に可能だ。

サンズ戦後、エンビードは「俺が気にかけているのは、ここにいるみんなのこと。このチームにいるヤツらだけさ。俺たちは互いを高め合って、チャンピオンシップを勝ち取るべく挑戦しているからだ」とコメント。シクサーズにはエンビードの周囲にハリスやマキシー、セス・カリー、シェイク・ミルトン、マティス・サイブル、ダニー・グリーンといった好選手が揃っており、シモンズ不在にもかかわらずイースト上位の戦績を残している。
今季のエンビードは名実ともにシクサーズのリーダーとして台頭。シモンズに代わって先発ポイントガードを務める2年目のマキシーやハリス、カリーといったチームメイトたちの力をさらに引き出すべく日々過ごしている。

「俺は結果を残して勝利していくことで金をもらっている。タイリースの子守をして給料をもらっているんじゃない。このチームが勝つべく、俺を助けることができるように努力してくれと求めているんだ。トバイアスやほかのみんなにもそうしているし、もちろん彼らも同じように俺へ求めている」

エンビードはリーダーとしてそう力強く語っていた。

ただ、もしデッドラインまでにトレードをまとめられず、後半戦になってシモンズがチームへ合流することになったとしても、エンビードは「俺たちの一員になりたいのであれば、俺は誰であろうと歓迎するさ。それはこのチームのみんなも同じで、問題ないだろう」と、特に問題視していない様子。だが、すんなりチームへ再合流するためには、中途半端な気持ちは禁物と考えているようだ。
「そのためには毎晩姿を見せなきゃいけない。これは決して個人的なことじゃない。俺はいつもみんなのところへ行き、彼らも俺のところへやってくる。俺たちには同じゴールがあり、勝ちたいからな。ただ、もしこのチームに入りたいんなら、理由が何であれ俺たちは皆、受け入れるだろう」

このままシモンズが合流せずとも、今季のシクサーズはプレーオフに進むことができるだろう。そしてエンビードをはじめとする選手たちは、チャンピオンシップも獲得できると信じて戦っている。

このメンバーにシモンズが加わることで、ビッグマン並みのサイズが備わったプレーメーカー兼ディフェンダーがプラスされるのだから、彼がコンディションと自信を取り戻して合流すれば戦力アップすることは間違いない。シーズン途中のトレードでロースターにメスを入れるよりも、昨季までともにプレーしたシモンズの合流こそが、このチームに最も勢いを与える最高の起爆剤となるのではないだろうか。

文●秋山裕之(フリーライター)

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