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NBAの歴代“ベストスコアラーチーム”を選定!ジョーダンやカリーら6人で得点王25回の超豪華布陣に<DUNKSHOOT>

史上最多10回の得点王に輝いたジョーダン(左)を筆頭に、現役のカリー(右上)やデュラント(右下)ら豪華メンバーが出揃った。(C)Getty Images
 ビッグマンが試合を支配した一昔前からアウトサイドシュートが主体となった現代にいたるまで、時代によって様々にトレンドを変えてきたNBA。その時々のプレースタイルに合わせて古今東西あらゆる点取り屋が誕生し、リーグを牽引してきた。

 NBAでは過去75シーズンで計34人の得点王が存在するが、彼らを含む歴代の全選手を対象にポジション別最強スコアラーを選出した場合、どういった顔ぶれが並ぶのだろうか。

『THE DIGEST』では、アメリカンスポーツに精通する識者に依頼し、NBAの“ベストスコアラーチーム”を選んでもらった。
 【ポイントガード】
ステフィン・カリー

1988年3月14日生。188cm・84kg
キャリアスタッツ:806試合、平均24.3点、フィールドゴール成功率47.3%、3ポイント成功率42.8%、フリースロー成功率90.7%、得点王2回

 ゲームを組み立て、チームメイトの得点の機会を作るのが第一の職務である以上、PG自身が得点王になるケースは非常に少ない。リーグの歴史に残る名スコアリングPGであるジェリー・ウエストとオスカー・ロバートソンですら、平均得点で1位になったことは1回ずつしかないのだ。

 2回以上タイトルを獲得したPGは、いずれも現役のラッセル・ウエストブルック(ロサンゼルス・レイカーズ)とカリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)の2人のみ。このうちスコアラーとしてのイメージがより強いのは、NBAのプレースタイルそのものまで変えてしまったカリーだろう。

 代名詞の3ポイントは成功数年間1位が6回。2015−16シーズンは空前絶後の402本を記録したほか、通算本数では昨年12月にレイ・アレンを抜いて歴代トップに立った。滅多矢鱈に打ちまくっているわけではなく、ケガで5試合しか出なかった19−20シーズンと今季を除けば成功率も毎年40%以上。フリースロー成功率も4回リーグ1位になっており、史上最高のシューターとの評価も当然だろう。
 【シューティングガード】
マイケル・ジョーダン

1963年2月17日生。198cm・98kg
キャリアスタッツ:1072試合、平均30.1点、フィールドゴール成功率49.7%、3ポイント成功率32.7%、フリースロー成功率83.5%、得点王10回

 史上最高の選手にして最強のスコアラー。得点王10回とキャリア通算の平均30.12点はいずれも歴代トップである。

 ルーキーだった1984−85シーズンは平均28.2点こそリーグ3位ながら、総得点2313は1位。3年目の86−87シーズン、一気に37.1点まで数字を伸ばして初タイトルに輝くと、以後7年連続で戴冠。一度目の引退による1年半のブランクを経て、完全復活した95−96シーズンからさらに3年連続で得点王になった。

 若い頃は抜群の身体能力でインサイドへ切り込み、ダンクやダブルクラッチなど華麗な空中技で得点していたが、次第にシュートレンジを拡げてフェイダウェイや3ポイントが多くなった。

 プレーオフでの平均33.4点も歴代1位。86年の1回戦、当時最強のボストン・セルティックスとの第2戦で記録した63点のリーグレコードは今なお破られていない。ラリー・バードが「あれはマイケル・ジョーダンの姿をした神だ」との名言を残したのがこの試合であり、並外れた勝負強さによって数多くの伝説的なシーンを生み出した。
 【スモールフォワード】
ケビン・デュラント

1988年9月29日生。208cm・109kg
キャリアスタッツ:920試合、平均27.1点、フィールドゴール成功率49.5%、3ポイント成功率38.3%、フリースロー成功率88.3%、得点王4回

 キャリア平均得点はレブロン・ジェームズ(レイカーズ)を0.05点上回って現役トップ(歴代4位)。だが得点王はレブロンが1回なのに対し、デュラントは4回。2009−10シーズンに平均30.1点で初めて1位になると、以後5年間で4度タイトルを制した。

 今季も長期欠場中ながら29.3点はトップで、規定試合数に達すれば8年ぶりに得点王に返り咲く可能性がある。208cmの長身にして、軽やかなフォームで3ポイントラインの後方からでも難なくネットを揺らす生粋のスコアラーだ。

 オクラホマシティ・サンダー時代のチームメイトだったウエストブルックや、ネッツで再び同僚になったジェームス・ハーデンも得点力は高いが、彼らがボールを独占しがちであるのに対し、デュラントは効率よく得点でき、12−13シーズン以降の9年間、FG成功率は常に50%を超えている。

 SFではほかに、史上3位のキャリア平均27.4点を記録しながら、ウィルト・チェンバレンの全盛期に重なって得点王と無縁だったエルジン・ベイラーも忘れてはならない。
 【パワーフォワード】
カール・マローン

1963年7月24日生。206cm・113kg
キャリアスタッツ:1476試合、平均25.0点、フィールドゴール成功率51.6%、3ポイント成功率27.4%、フリースロー成功率74.2%、得点王0回

 その昔、PFは守備型の選手が多かったからか、得点王になった選手は歴代でもほとんどいない。通算3万1560点で6位にランクされるダーク・ノビツキーも、年間ランキングは4位が最高だった。

 マローンも、プロ入りが1年早かったジョーダンの厚い壁に阻まれ続け、2位が5回ありながらついに1位にはなれなかった(5回とも1位はジョーダン)。それでもユタ・ジャズに入団した2年目以降、17年連続で平均20点以上をマーク。この間ケガなどで欠場したのはたった9試合というタフネスぶりで得点を積み重ねた結果、通算3万6928点は史上2位。徹底的に鍛え上げた屈強な肉体の持ち主で、相棒ジョン・ストックトンの供給するパスを着実にゴールへ届けるさまは、メールマン(郵便配達人)のニックネーム通りだった。

 一方で、フリースロー成功数は8回リーグ1位になっているが、成功率が80%を超えたことは一度もなく、大事な場面で外すこともしばしばあって実際以上に勝負弱いイメージもついている。
 【センター】
ウィルト・チェンバレン

1936年8月21日生。216cm・125kg
キャリアスタッツ:1045試合、平均30.1点、フィールドゴール成功率54.0%、フリースロー成功率51.1%、得点王7回

 キャリア通算の平均30.07点はジョーダンに0.05点及ばず歴代2位。ルーキーシーズンから獲得した7年連続得点王もジョーダンに並ばれた。しかし、そのジョーダンでも届かなかった大記録をチェンバレンは2つ持っている。

 まずは1962年3月2日、ニューヨーク・ニックス戦で樹立した1試合100得点。そしてその61−62シーズンに記録した、年間平均50.4点である。なお翌62−63シーズンも平均44.8点をマークしており、年間平均得点の上位4位まではチェンバレンが独占している。50点ゲームは通算118回。身長216cm、体重125kgと、当時としては破格のサイズにして身体能力もずば抜けていたとあっては、史上最高のディフェンダーであるビル・ラッセル以外、誰も守れなかったのも仕方ない。

 そのラッセルとのライバル対決は60年代のNBAを盛り上げ、リーグの人気が全国に広がっていく大きな要因となった。リバウンドでもリーグ1位に輝くこと11回、また67−68シーズンにはアシスト王にもなるなど、ただ点を取るだけの選手ではなかった。
 【シックスマン】
コビー・ブライアント

1978年8月23日生。198cm・96kg
キャリアスタッツ:1346試合、平均25.0点、フィールドゴール成功率44.7%、3ポイント成功率32.9%、フリースロー成功率83.7%、得点王2回

 体型、プレースタイル、勝利への執念など、多くの面でジョーダンの後継者にふさわしい選手だった。2人とチームメイトだったことがあるデニス・ロッドマンも「誰よりもマイケルに近かった男」と語っている。
  得点王は2006、07年の2回だけと意外に少なかったが、ジョーダンを凌ぐ点もいくつかある。まずは1試合60点以上を通算6回記録しており、これは4回のジョーダンを上回り、チェンバレン(32回)に次いで歴代2位。06年1月22日のトロント・ラプターズ戦でマークした81得点は、チェンバレンの100点ゲームに次ぐ大記録だ。そして現役最後の試合となった16年4月13日のジャズ戦では60得点。それまでラストゲームでの記録だった、ジョン・ハブリチェックの29点を2倍以上も更新した。

 そのほかの名スコアラーには、通算3万8387点で歴代1位のカリーム・アブドゥル・ジャバー、70~80年代に得点王4回のジョージ・ガービン、183cmの低身長ながら4シーズンにわたって平均30点以上を記録したアレン・アイバーソンらがいる。

文●出野哲也

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