不振のレイカーズ。止まらない批判にウエストブルックはウンザリ「正直、この状況に飽きている」<DUNKSHOOT>

今季もオールラウンドなプレーを披露しているウエストブルックだがミスも多く、チームの勝利にはつながっていないのが現状だ。(C)Getty Images
ロサンゼルス・レイカーズのラッセル・ウエストブルックは、過去にシーズンMVPを獲得した実績を持つ、リーグ有数のスーパースターだ。

1961−62シーズンにオスカー・ロバートソンが達成した平均トリプルダブル(30.8点、12.5リバウンド、11.4アシスト)はNBAにおける金字塔とも言われていたが、ウエストブルックは昨季までの5シーズンのうち、平均トリプルダブルを4度もクリアし、通算トリプルダブル数でも190回で歴代トップに君臨している。

NBAの75周年記念チームにも名を連ねた男は、今季も34試合に出場して平均19.6点、7.9リバウンド、8.1アシスト、1.2スティールとオールラウンドな成績を残している。

だがその一方で、平均4.6ターンオーバーはジェームズ・ハーデン(ブルックリン・ネッツ/同5.0本)に次いでリーグワースト2位。3ポイント成功率30.4%、フリースローでも成功率65.6%に過ぎず、さらに守備でもマークマンを見失うなどミスが目立っている。

そして肝心のチームは現在5連敗中と、今季ワーストの連敗に陥っていることもあり、批判の矛先がウエストブルックへ向いている。

そんななか、現地時間12月27日(日本時間28日、日付は以下同)のチーム練習後、ウエストブルックが記者たちの前で現状について口を開いた。
「もう正直な話、俺は(批判ばかりの)この状況に飽きている。皆が寄ってたかって俺にどうしてほしいのか、俺はどうすべきかといったことにね。俺はコートに出て自分のベストを出していくだけ。それが俺の必死にやり合う姿勢ってやつだ」

レブロン・ジェームズをはじめ、今季は新天地で複数の選手たちと初めてプレーしているウエストブルック。だがレギュラーシーズンは約半分の34試合を消化しており、レイカーズは16勝18敗(勝率47.1%)でウエスタン・カンファレンス7位にとどまっている。

アンソニー・デイビスが左ヒザのケガのため1か月の欠場という状況のなか、レイカーズはレブロンとウエストブルックが中心となってチームを引っ張っているものの、なかなか勝利に結びついていないというのが現状だ。

ウエストブルックといえば、まるでテレビゲームのように簡単にトリプルダブルを残する印象があるため、そのイメージと現実のギャップに本人も苦しんでいるようだ。
「俺に関する話ってのは、俺がどうプレーしているのか、自分がやっていることについてがほとんどだ。でもな。人々は俺に25(得点)に15(リバウンド)、さらに15(アシスト)を期待している。そんなの毎回できるわけがない。確かに、俺はこの5年くらいでそういったことをやってきた。だから皆が『ラスはラスであるべき』とか言ってくるんだ」

昨季所属していたワシントン・ウィザーズ、一昨季のヒューストン・ロケッツ、そして長年プレーしてきたオクラホマシティ・サンダーでは、ウエストブルックがチームの中心選手だった。

だがレイカーズにはレブロンという将来の殿堂入りが確実なスーパースターがおり、ウエストブルックが1人で背負い込む必要は全くない。

そうしたなかで、試合中に熱くなりすぎてしまったのか、マークマンを見失ったり、適切とは言い難いプレーをしてしまっている点は要改善だろう。

25日に行なわれたネッツとのクリスマスゲーム。ウエストブルックは13得点、12リバウンド、11アシストのトリプルダブルこそ残したものの、フィールドゴール20本のうち16本をミス(成功率20.0%)し、そのうち11本がペイントエリア内のショットだった。
ウエストブルックが毎試合120%の力を出し切ってプレーしているのは誰もが認めることだろうが、それで勝てるほどNBAは甘くない。

特にディフェンス面でチームのルールやチームメイトたちとのコミュニケーションをもっと密にとり、自分のマークマンを見失わないといった基本的な部分を見直すなど、チーム一丸となるためのステップはまだまだ残っているはず。

開幕前に大型補強を断行したことで、レイカーズは良くも悪くも注目を浴びてしまっているだけに、ウエストブルックの悪い面が強調されている現状を、是非とも打破してほしいところだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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