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“カリー・キラー”誕生?偉業達成を阻止したサイブルの好守にカーHCも感嘆「凄い仕事をやってのけた」<DUNKSHOOT>

偉業達成間近のカリー(左)に対し、見事な守備を披露したサイブル(右)。2度も3ポイントをブロックしてみせた。(C)Getty Images
「俺のコートではさせなかった。フィリーではやらせなかった」

現地時間12月11日(日本時間12日、日付は以下同)に行なわれたゴールデンステイト・ウォリアーズ戦。フィラデルフィア・セブンティシクサーズは102−93と、ウォリアーズを今季最少得点に抑え込んで勝利を収めた。

試合後に冒頭のコメントを残したシクサーズのジョエル・エンビードは、ゲームハイの26得点に9リバウンド、4アシスト、2スティールをマーク。さらにトバイアス・ハリスが16得点、9リバウンド、タイリース・マキシーが14得点、2ブロック、セス・カリーとシェイク・ミルトンがそれぞれ10得点と続いた。

シクサーズの大黒柱がなんとしてでも阻止したかったこと、それはステフィン・カリーの歴史的瞬間にほかならない。レギュラーシーズンにおける通算3ポイント成功数で、レイ・アレン(元シアトル・スーパーソニックスほか/2973本)の記録に肉薄していたカリーは、シクサーズ戦で9本決めればタイ、10本沈めれば一気にNBA史上トップへと躍り出るチャンスがあった。
この日カリーは「そのことは考えないようにして、バスケットボールをプレーすることだけに集中していた」と語るも、シクサーズが誇る強固なディフェンスを前に不発。フィールドゴール6/20(成功率30.0%)、3ポイント3/14(成功率21.4%)の計18得点に終わった。

カリーといえばレンジが広く、キャッチ&シュートやプルアップなどあらゆる方法で長距離砲を決め切るスキルとシュート力の持ち主。ドレイモンド・グリーンとの見事な連携から相手ディフェンスを打開し、マッチアップ相手のコンテストもお構いなしにクイックリリースからリングを射抜くことができる。

だがこの日“カリーの刺客”として送り出されたマティス・サイブルは、しつこくまとわりついて稀代のシューターを徹底ガード。ボールを持つまでにも体力を使わせ、シュート態勢で跳んでからパスせざるを得ない状況に追い込むなど好守を見せた。
「サイブルを称賛するよ。彼は長さとアスレティック能力、さらには頭脳という、珍しいコンビネーションが備わっている。長い間、ステフへの守りを見てきたけど、彼は凄い仕事をやってのけたんだ」

ウォリアーズのスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)はそう語り、24歳のウィングディフェンダーの働きを称えた。この日のサイブルは33分44秒の出場時間で6得点、2リバウンド、1アシストをマーク。そしてカリーの3ポイントを1試合で2本もブロックするという、意外なNBA新記録も樹立した。

昨季オールディフェンシブ2ndチームに選ばれたサイブルは、今季20試合(うち先発は6試合)の出場で平均5.7点、2.3リバウンド、1.1アシスト、1.8スティール、1.2ブロックを記録する好選手。オーストラリア代表として東京オリンピックで銅メダル獲得にも貢献し、ケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)とのマッチアップでプルアップジャンパーをブロックで仕留めたこともある稀有なディフェンダーだ。

サイブルのディフェンスを絶賛するドック・リバースHCは、今季序盤にも「彼はアスレティックだと思うし、見事な勘の持ち主でもある。彼のディフェンスにおける最大のカギ、それは反応するまでの速さだろうね。彼にはデニス・ロッドマン(元デトロイト・ピストンズほか)のようなクイックジャンプがある。このリーグには他の選手たちよりも素早く跳べる男が何人かいるが、彼もそのうちの1人なのさ」と話していた。
この日カリーのマークを託されたサイブルは「一生懸命プレーすること」を活躍の要因に挙げ、それをチームとしても取り組んだことを明かしている。

「皆が僕に(カリーとの)1対1ができるようにしてくれた。残りの4人が4対4をしてくれたから、僕は過剰に動き回ることができたんだ。ディフェンスでは本当にタフなローテーションではあったけど、お陰で身体を密着させ続けることができたし、ステフには何ひとつ簡単にプレーさせないようにできた」

サイブルは左ウイングでカリーが3ポイントを放つ際に、背後から見事にボールを弾いてショットを阻止。トップ・オブ・ザ・キー付近からステップバックで3ポイントを狙った時にも、見事に反応して2本目のブロックをお見舞い。殊勲の働きを見せた。

すでにディフェンダーとして高評価を得ていたサイブルだが、この日のディフェンスでさらに評価を上げたと見ていいだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

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