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「あのビッグマンは素晴らしい」ロケッツの未来を担う“トルコの新星”シェングンをヤニスも称賛「才能は底知れない」<DUNKSHOOT>

無限大の可能性を感じさせるシェングンについて、ヤニスも「彼の才能は底が知れない」と称賛する。(C)Getty Images
今年のNBAドラフトでオクラホマシティ・サンダーから1巡目16位指名を受け、トレード先のヒューストン・ロケッツでルーキーイヤーを送っているトルコの新星アルペレン・シェングンが、現地時間12月10日(日本時間11日、日付は以下同)に行なわれた昨季の王者ミルウォーキー・バックスとの一戦で、キャリアハイの15得点をマーク。マッチアップした2019、20年のシーズンMVPヤニス・アテトクンボをして「彼の才能は底が知れない」と言わしめた。

シェングンには最初デマーカス・カズンズがマークマンとして当てられたが、ディフェンスでは巧みにファウルを奪い、オフェンスでも華麗なフットワークとボールハンドリングで抜き去るなど、11年目のベテランを完全に翻弄。続いて7年目のボビー・ポーティスもやりこめると、バックスのマイク・ブーデンホルザーHC(ヘッドコーチ)はアテトクンボをセンターに配置した。
ロケッツのスティーブン・サイラスHCは「彼(シェングン)をコートに残す手段を模索したが、相手がヤニスを5番(センター)に入れてきたので、難しくなった」と試合後に語ったが、「彼のオフェンス力は素晴らしい。ポストプレーやフットワーク、チームメイトにパスをさばく能力……。アシストこそなかったが、彼のパスは相手にとって脅威となっていた。彼のプレーを誇りに思うよ」と、約16分のプレータイムで15得点に加え、5リバウンドをマークしたルーキーを絶賛している。

ヤニスはこの試合、第2クォーターにシェングンのレイアップをブロックし、バックスの歴代ブロックランキングで単独首位(805)に躍り出た。

「彼(アデトクンボ)のことはいつも見ていた。小さい頃から、もう何年も彼を見てきたんだ。だから今夜のように彼と対戦できたことは、僕に大きな希望を与えてくれる。彼は並外れたプレーヤーさ。本当に、信じられないくらいに凄い。彼と対戦できて本当に嬉しかった。試合前はもの凄く興奮していたんだ」
試合後、欧州出身の先輩プレーヤーへの憧れを口にしたシェングン。その一方で、ブロックされた直後のプレーでひるむことなく再度チャレンジし、今度はヤニスのファウルを誘ってフリースローをゲットするガッツも見せている。

「あのビッグマン?彼は素晴らしいよ」

ヤニスは試合後の会見で、シェングンの印象を聞かれてそう答えた。

「彼は自分のペースでプレーしている。ポストではスローダウンするが、それも効果的だ。彼は良いプレーをしているよ。エネルギーに満ちていて、ベンチから出てきてはチームメイトにエネルギーを注入している。リバウンドも上手いし、アグレッシブだし、スクリーンの動きも良い」
シェングンはこれまで24試合に出場し、先発は2回と、ベンチから出てインパクトを与えるのが重要な任務となっている。ただ、ヤニスが指摘しているように、チームにエナジーを注入するだけでなく、数字の上でも十分に貢献。平均17.7分の出場時間で8.8点という数字は、1分平均にして0.497点。32分の出場で15.3点(0.478)をあげている今年のドラ1、ケイド・カニンガム(デトロイト・ピストンズ)を筆頭に、すでにスターターとして活躍している多くのルーキーたちの効率を上回っている。これは短い時間でもスタッツを残せるという、ベンチ要員に求められる有効な働きをしている証だ。

11月14日のフェニックス・サンズ戦ではダブルダブル(10得点、10リバウンド)も記録。20分以上コートに立つ試合もあり、12試合で2桁得点をマークしている。

バックスとの試合は114−123で敗れ、連勝は7でストップ。しかしそのコートにおける最年少選手の堂々たるプレーに、昨季オールルーキー1stチーム入りしたジャイショーン・タイトも賛辞を贈っている。

「彼ほどのサポート力、サイズ、ショットを兼ね備えている選手はそれほど多くない。彼みたいに動ける選手もいない。ゴール下からの彼の得点力やパスセンスは、学んで習得したものじゃなく、自然に備わっている才能といった感じだ。これからもどんどん成長して、相手にとって厄介な存在になるだろうね」
わずかなタイミングの差でディフェンシブ・ファウルとなったが、ドリュー・ホリデーのジャンピングダンクの正面に立ちはだかるようなプレーには、19歳とは思えない威圧感がある。NBA入りする前年、18歳でトルコの国内リーグでMVPとなっている彼なら、その堂々たるプレーも納得といったところだ。
ロケッツには、ドラフト2位指名で獲得した期待のルーキー、ジェイレン・グリーンもいる。グリーンはハムストリングの負傷により11月末から欠場しているが、コートの両サイドで存在力を発揮する19歳コンビは“ポスト・ジェームズ・ハーデン”期の再建に挑むロケッツにとって頼もしい戦力だ。

シーズン序盤の15連敗は痛かったが、そこからの7連勝は間違いなく自信につながったはず。昨季の最下位からいかにして上昇していくか、若手たちの成長とあわせて楽しみなチームだ。

文●小川由紀子

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