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大谷翔平,野球

【MLB】大谷翔平、日本人初の本塁打王へ死角はあるか 驚異の量産で月間MVP“当確”の6月とタイトル獲得への道筋

写真:大谷翔平(Photo by Diamond Images / Getty Images)

2023年のメジャーリーグのシーズンは中盤戦を迎え、7月に差し掛かっていく。6月に猛威を振るったのがロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平。2021年には日本人史上最多のシーズン46本塁打を放ち、投手として9勝を挙げてMVPに輝いたが、2年前を彷彿とさせる活躍ぶりで、ア・リーグのホームラン争いで首位に立った。日本人史上初の本塁打王獲得へ向けて、今やメジャーの世界でもスターとなった大谷が、前人未到の道のりへ挑んでいる。(文・井本佳孝)

最大のライバルのまさかの故障

鈴木誠也,WBC
写真:鈴木誠也(AP/アフロ)

今季の大谷は3、4月で7本塁打を放ち、5月の8本を合わせて15本で6月を迎えた。これは34本を放った2022年の11本を上回り、46本を放った2021年に並ぶ数字だった。大谷は鈴木誠也との“同級生対決”でも注目を集めた6月6日(日本時間7日)のシカゴ・カブスとの試合で16号を放つと、二刀流先発となった9日(同10日)のシアトル・マリナーズ戦で17号、翌日も18号を放ち、開幕から本塁打王争いをリードしていたニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジに1本差に迫る。

大谷に追い風となったのが、昨季はア・リーグ最多の62本を放ち、大谷とのMVP争いを制したジャッジの故障。3日(同4日)のロサンゼルス・ドジャース戦で守備時に右足親指の打撲と、じん帯捻挫の怪我をしたジャッジは10日間の故障者リスト入り。このジャッジの故障は予想より長引くことになり、24日(同25日)には自ら右足の親指じん帯の断裂を明かした。19本を放っていた昨季のタイトルホルダーが長期離脱(早くて8月上旬ごろ)となり、大谷には最大のライバル不在という状況が訪れた。

そして迎えた12日(同13日)のテキサス・レンジャーズとの試合に「2番DH」で先発出場した大谷は、ア・リーグ西地区首位を走るチーム相手に、第4打席で飛距離459フィート(約140メートル)の特大弾。さらに、同点のまま延長にもつれ込み、12回に回ってきた無死二塁での第6打席ではレフトスタンドへ打球速度107マイル(約172キロ)の決勝弾。圧巻の1試合2発で、20号の大台に早々と到達するとともに、ライバルのジャッジを抜き去って、ア・リーグの本塁打王争いで首位に躍り出た。

さらなる領域に入った大谷の打撃

大谷翔平
写真:大谷翔平(USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

2021年には6月の月間本塁打で、2007年の松井秀喜(ニューヨーク・ヤンキース) に並ぶ13本を放ち、ホームランレースをリードしていた大谷は、今季も得意の6月に調子を上げていく。本塁打王争いトップに立った後も、14日(同15日)からのレンジャーズ戦2試合、17日(同18日)からのカンザスシティ・ロイヤルズ戦も2試合連発で本塁打数を24まで伸ばす。ア・リーグだけでなく、メジャー全体でも首位を独走する手がつけられない状態に上げていく。

目を引いたのがその驚異的な量産ペース。大谷は6日(日本時間7日)のカブス戦で16号を放ってから18日(同19日)のロイヤルズ戦で24号を打つまで、13試合で9本塁打を記録し、ノーヒットの試合はゼロ。今季は開幕から3割近くをキープしてきた打撃の安定性に加えて、得意の6月に入り打球が上がるように。ライト、センター、レフトと打球方向を選ばない大谷の広角打法にパワー、確実性も加わった6月の打席はどれもハイレベルなものばかりであった。

その後も本塁打ペースを落とさず打ち続けた大谷は、26日(同27日)のシカゴ・ホワイトソックス戦で26号を放つと、今季16度目の先発登板を果たした27日(同28日)の同戦では7回途中まで2桁の10三振を奪うだけでなく、自らを“セルフ援護”する27号、28号の離れ業。7勝目に2本塁打と躍動したこの試合は現地でも大絶賛され、「6月にMVPが決定」と報じるメディアまで現れた。大谷は6月最後となった30日(同7月1日)のアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦で特大の30号を放ち、日本人では最多の月間15本を放ち、この6月を締めくくった。

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