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大谷翔平

【MLB】大谷翔平は初の3割超えなるか ピッチクロックにシフト禁止、ルール改定は野球をどう変えるか

写真:大谷翔平(USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

3月31日に開幕を迎えた2023年のメジャーリーグ(MLB)。シーズン前に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本が3大会ぶりの世界一を果たしたこともあり、大谷翔平、ダルビッシュ有など、出場選手を中心にシーズンでの活躍にも注目が集まる。そんななか、今季からMLBの野球を変えるきっかけになりそうなのが新ルールの採用。複数にわたるルールの改定はアメリカでも議論の的となっており、プレーする選手、応援するファンの双方に新たな見方を提供することになる。今回はそんな2023年度に採用された新ルールとその影響について語っていきたい。(文・井本佳孝)

初の投打でピッチクロック違反に

大谷翔平,野球
写真:大谷翔平(Photo by Diamond Images / Getty Images)

まずは、投球間に時間制限を設ける「ピッチクロック」で、試合時間の短縮を目的に導入された。これは投手の場合ランナーがいない場合は15秒以内、ランナーを背負った際は20秒以内に投球動作に入らなければいけないもので、時間以内に動作に入らなかった投手には主審からボールが宣告される。また、打者もカウントが8秒以内になるまで打席に入り打つ準備をする必要があり、こちらも時間以内に動作に入ることができないと主審からストライク宣告を受け、カウントを一つ損してしまう。

日本時間4月6日に行われたシアトル・マリナーズとの試合に「3番DH・投手」として今季2度目の“二刀流先発”を果たしたロサンゼルス・エンゼルスの大谷には、早速このルールが適用される。投手として迎えた初回の1死二塁の場面、4番のカル・ローリーに対しての初球を投げる前に時間以内に投球動作に入らなかったとしてボールを宣告。さらに、打者として6回無死一塁で迎えた第3打席では、ピッチクロックが残り8秒以内に打席で準備を取らなかったとしてストライクを宣告。大谷は史上初めて1試合中に投手、打者としてこのルールが適用された“第1号”となった。

このルール改定は昨年導入されたマイナーリーグでは平均して25分間試合時間が短縮されており、メジャーでも採用された今季も試合時間の短縮につながる可能性は十分にある。一方で、投手、野手ともに動作に入るまでの準備は昨年に比べて短くしていく必要があるため、バッテリー間のサイン交換や、投球モーション、打席に入るまでの準備など、選手には新ルールへの適応が求められている。とくに今季も二刀流としてフル回転が見込まれる大谷にとっては、投手、打者の双方で影響が出てくると思われる。また、シーズン通しても議論を呼ぶような判定が出てくる可能性はあるだろう。

近年劇的に増えた守備シフト

吉田正尚,野球
写真:吉田正尚(提供:写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

ほかには守備シフトの禁止が導入された。メジャーではデータ野球が主流になり、各選手の配球やカウントごとの打撃成績や飛んでいく打球方向などが細かくデータ化されており、それに基づいた極端な守備シフトを敷くのが近年の主流となってきた。MLB公式が公開しているスタッツの専門サイト『Baseball Savant』によると、全打席で各チームが守備シフトを採用する割合は2015年の9.6%から、2020年には30%を超えた。ここ数年で劇的にデータ野球がMLBの野球を支配してきたことが窺える。

この新ルール適用により、内野手は2塁ベースを境に左右2人ずつ分かれる必要があり、これまでに見られてきた、左のプルヒッターに対して2塁から1塁の間に3人の内野手が移動してくるような極端な守備シフトを敷くことが不可となった。このルールに違反すると、守備側にボールが一つ宣告されることになる。シフトの導入が禁止されたことで、守備側の戦術にも新たな工夫が求められ、攻撃側もシフトがなくなったことでヒットゾーンが拡大されたり、双方に変化が及ぶことが予想される。

大谷に対しては昨シーズンまで約9割の打席で “大谷シフト”が敷かれ、内野手が一塁寄りに人数をかけて守るため、左の強打者である大谷のヒットゾーンが少なくなることにつながってきた。大谷は規定打席に到達した2021年シーズンは打率が.257、2022年シーズンは.273と数字は上げてきているもののまだシーズン打率3割超えは果たしていない。ヒットゾーンが増える今年は打率のさらなる増加も期待され、本塁打だけでなく、自身初の規定打席に到達しての打率3割はさらなる進化として期待したいところである。

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