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中日キャンプのブルペンが面白い!落合ヘッドが考案した「インターバル5種目」練習の狙いと効能

落合ヘッドのアイデア豊富なトレーニングに選手たちは刺激を受けているようだ。写真:岩国誠
 立浪和義監督と西山秀二バッテリーコーチの新型コロナウイルス陽性判定を受け、2月5日から一軍コーチ陣全員に対し、自主隔離措置をとっていた中日。北谷キャンプ第3クール初日の10日、隔離となっていた一軍コーチ陣が1週間ぶりに現場復帰した。

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「選手たちには、すごく迷惑をかけてしまったのですが、選手たちにうつっていなかったのが、せめてもの救いでした。コーチは4日間、ウズウズしていましたし、今日から気持ちも新たに」

 チームを代表して取材に応じた落合英二ヘッド兼投手コーチが言うように、打撃では、中村紀洋、森野将彦両打撃コーチが、レギュラー獲りを狙う若い選手たちを熱血指導。全体練習終了後の特打では、期待の高卒4年目・根尾昂に中村コーチがラスト50分間のマンツーマンレッスン。右足を上げる形に戻したフォームで、打球がライナーで外野に飛ぶ回数が増えていた。

 投手陣は、落合ヘッド兼投手コーチ考案のピッチングメニュー「インターバル5種目」が行なわれた。元々、紅白戦登板組が第2クールで取り組むメニューだったが、自主隔離の影響で第3クールでの初実施となった。
  その内容は『右打者のアウトロー』『左打者のアウトロー』『変化球だけでストライク投球』『インコースのストレートと、アウトコースのストレートを連続してのストライク投球』『ストレートを投げた後に、変化球でストライク投球』と、投球の条件が決められた5つのレーンで、それぞれ10球。次のレーンに移動する際には、2分のインターバルが設けられており、1周りしたところでメニュー終了となる。

 第1クール3日目に行なった『ストライクテスト』より、さらに縛りが課せられおり、落合コーチ自身も「現役だったら、勘弁してくれと思う」と、投手にとってストレスのかかるメニューとなっているが、狙いはどこにあるのか。

「何球も投げ続けるブルペンも必要なのですが、これから実戦に入っていきますので、そういうことが出てくるケースを想像してもらいながらやってもらいました」
  まず、レーンを移動して投げることだが、これは試合になれば、1回表に投げる先発投手以外、マウンドが綺麗な状態であることはない。すでに掘れているマウンドにも、素早く対応できる適応力を養うことが目的だ。さらに、2分間のインターバルにも意味がある。

「試合でのイニング間を意識してもらいました。時間までのキャッチボールでは、ベンチ前のキャッチボール。そしてマウンドに行ったら5球しか投げられませんから、5球で肩を作って、プレイボールという形を取りました」

 細かいところでは、同じボールで投げ続けるというのは、試合中には起こり得ないことなので、こまめにボールを交換。落合コーチが常にボールを手に持ち、ランダムなタイミングで各投手のボールを交換していた。
  さらに投手たちには、こんなことも話していた。

「連続で投げる時、1球ボールになったら、次はストライクを獲る。2球連続ボールにしないという、その気持ちだけでやってくれという話はしました。やはり、どうしてもボール、ボールとなると苦しくなっていくので。2ボールにしないということ。そのへんの意識づけですかね」

 独創的な練習メニューだが、常に試合を意識させることで、より実戦で輝ける投手へと導こうとしている”落合流投手育成術”。その種を巻いている中で迎える11日の紅白戦。最初の実戦で、若い投手たちに期待していることは何か。

「マウンドで、自分のボールが投げられるかどうか。『打たれた』『抑えた』ではなく、自分のボールをどれだけ数多く投げられるか。そこひとつしか見ていないので、それを目指してやってほしい。本来の投げ方ではなく、ストライクを取りに行くような投げ方だったら、それはよくないので、自分のスタイルでアピールしてほしいなと思っています」

 当日は立浪監督も復帰予定となっており、いろいろな思いが混在するマウンドとなるが、落合コーチが今回求めているのは『自分を見せること』。プレッシャーを跳ね除け、登板する投手たちは、自分自身の武器を首脳陣に見せることができるのか。紅白戦、投手にも注目してほしい。

取材・文●岩国誠

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