豪野球リーグで女子投手がプロデビュー! 努力を重ねた17歳を指揮官が使った理由「話題作りだけの抜擢ではない」
球界に驚きの一報が舞い込んだ。現地時間1月7日に行なわれたオーストラリアン・ベースボール・リーグ(ABL)で、同リーグ史上初めて女子選手がマウンドに上がったのだ。
ジェネビーブ・ビーコム。メルボルン・エーシズに所属する17歳は、アデレード・ジャイアンツ戦で4点ビハインドの6回にマウンドに立つと、まるでジョン・レスター(シカゴ・カブス)のような絶妙な投球術を披露する。先頭打者こそ三ゴロ失策で出塁を許したが、その後は最速84マイル(約135.1キロ)の速球とカーブを巧みに組み合わせ、1イニングを無安打無失点で切り抜けた。
過去にMLB屈指の守護神であるリアム・ヘンドリクス(シカゴ・ホワイトソックス)や“神童”ロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)もプレーしたABL。それだけに、たった1イニングとはいえ、プロの舞台でビーコムがやってのけたのは小さくない偉業だ。
無論、エーシズの指揮官には、起用に迷いはなかった。かつてメジャーリーグでもプレーした経験を持つピーター・モイランは、「これは野球で目撃したことのなかで最も気に入ったことのひとつだ」と語り、ビーコムの実力を次のように評した。
「私は、ビーコムがジュニア時代から国内外を問わずにトップレベルの選手たちと互角以上に渡り合い、成長していく姿を見てきた。もしも、この契約や起用法が、話題作りだけの抜擢だと考えている人がいたら、それは考え直す必要があるね。なぜなら、そうではないからだ。彼女はこのチームのエースとなるためのポテンシャルを持ち、立派な地位を確立した投手なんだ」
【動画】伸びしろ十分の逸材! ビーコムの快投ぶりをチェック 当人も今回のプロデビューには並々ならぬ想いがある。試合後に複数メディアの取材に応じたビーコムは、「不可能なんてない」と訴えた。
「もし、誰かがあなたのやりたくないこと、たとえば、ソフトボールとか他のスポーツをやれと言ってきたとしても耳を貸す必要はないと思う。自分のやりたいことをやって、一生懸命に努力すれば、必ずどこかで成功できる。不可能なことなんてない。なんでもできるから」
いまだ女子選手がトップクラスでプレーする機会が少ない野球界にあって、ビーコムは歴史を大きく変える存在になるかもしれない。まだ17歳である彼女の成長に期待したい。
構成●THE DIGEST編集部
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