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抜群の盗塁成功率を誇った中野。総合打撃指標OPSでMVPの村上を凌駕したのは?【表彰されざる男たち:セ・リーグ野手編】

ルーキーながら盗塁王に輝いた中野は成功率93.8%もリーグトップだった。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)
 個人タイトルの対象ではなくとも、プロの凄みが詰まった部門のベスト3を紹介する。まずはセ・リーグの野手から見ていこう。(※率系部門は規定打席到達者32人が対象)

■OPS(出塁率+長打率)
1.鈴木誠也(広島) 1.072
2.村上宗隆(ヤクルト) .974
3.牧秀悟(DeNA).890

 鈴木は首位打者(.317)と最高出塁率(.433)のタイトル獲得に加えて長打率.639もリーグベストで、総合的な打力を示すOPSも12球団で唯一1.000の大台を突破。昨季の1位から陥落した村上だが、初の本塁打王となり、出塁率.408と長打率.566は2位とMVPに相応しい成績だ。新人特別賞の牧は打率.314がリーグ2位、35二塁打は新人記録を塗り替えた。

■四球率(四球÷打席)
1.村上宗隆(ヤクルト) 17.2%
2.鈴木誠也(広島) 16.3%
3.マルテ(阪神) 14.1%

 四球数でリーグ1、2位の村上(106)と鈴木(87)が率でもワンツー。村上は2年連続1位、鈴木は11敬遠がリーグ最多だった。マルテは打率.258こそリーグ26位ながら出塁率.367は同7位と、バットを振らずともチームの得点力を底上げ。ワーストは小園海斗(広島)の2.7%で、打率3割に迫る巧打でアピールも課題を残した。 ■三振率(三振÷打席)
1.青木宣親(ヤクルト) 8.8%
2.宮﨑敏郎(DeNA) 9.3%
3.近本光司(阪神) 9.5%

 打撃成績は実質的キャリアワーストだった青木だが、三振率は前年から約6%も改善。昨季まで4年連続リーグベストの宮崎よりも少ない割合に抑えた。近本は有走者時と得点圏でともにリーグベストの7.0%を記録。一方で、新人の佐藤輝明(阪神)は驚愕のパワーを見せつけたが、三振率38.0%もダントツの高さだった。

■BB/K(四球÷三振)
1.マルテ(阪神) 1.03
2.鈴木誠也(広島) 1.02
3.青木宣親(ヤクルト) 0.98

 打席アプローチの成熟度を示す指標で、マルテと鈴木は三振よりも多くの四球を選んだ。2人とも長距離砲であることを考えれば一層価値が高い。マルテはメジャー通算4年で三振が四球の3倍を数えたが、来日後はしっかり改善している。こちらも佐藤輝明(阪神)がリーグワーストの0.14。ボールの見極めが来季の重要課題になりそうだ。

■本塁打率(打数÷本塁打)
1.鈴木誠也(広島) 11.4
2.村上宗隆(ヤクルト) 12.8
3.岡本和真(巨人) 13.4

 鈴木は本塁打王を分け合った村上と岡本以上のペースでアーチを放った。特に13本の9月は6.5打数に1本と驚異的な追い上げで、タイトル争いにも参戦。対戦相手別では村上が巨人戦、岡本はヤクルト戦が最少の打数(11.1/9.2)と、互いにライバルの目の前で量産した。規定打席未満ではオースティン(DeNA)が本塁打率13.3で3傑入りの水準。■得点圏打率
1.塩見泰隆(ヤクルト) .325
2.梅野隆太郎(阪神) .321
3.菊池涼介(広島) .314

 リードオフを務めた塩見は得点圏で最高打率を記録しただけでなく、OPS.973と危険な打者に変貌。日本一を決めた日本シリーズ第6戦では、5回に先制打を放った。梅野はリーグワーストの打率.225に沈んだが、チャンスでは別人のような打撃。規定打席未満ながら、オースティン(DeNA)は打率.354にリーグ最多の11本塁打とクラッチぶりを発揮した。

■内野安打
1.近本光司(阪神) 23本
2.京田陽太(中日) 22本
3.大島洋平(中日) 20本

 3年連続で同じ選手がトップ3を占め、昨季からは2位と3位が入れ替わっただけ。近本は自慢の快足を活かし、初の打撃タイトルとなる最多安打を獲得した。京田の全安打における内野安打の割合21.0%はリーグダントツの高さで、大島は4年連続で3位内にランクイン。右打者では塩見泰隆(ヤクルト)が最多の18本を記録した。■盗塁成功率(10盗塁以上)
1.中野拓夢(阪神) 93.8%
2.植田海(阪神) 90.9%
3.塩見泰隆(ヤクルト) 80.8%

 中野はルーキーながら30盗塁に対して失敗2と、質量ともに優れた成績でタイトルを手にした。植田も10盗塁で失敗1と、スペシャリストの面目躍如。昨年1位だった塩見は盗塁数を13→21と上積みながら成功率8割をキープしている。梶谷隆幸(巨人)は61試合で11盗塁を決めた一方で失敗も8を数え、成功率57.9%は2年連続リーグワースト。

■補殺(外野手)
1.鈴木誠也(広島) 13
2.青木宣親(ヤクルト) 9
3.佐藤輝明(阪神)    7
3.オースティン(DeNA) 7

 強肩自慢の鈴木は守備でも貢献が大きく、2017年から走者を指した数は10(リーグ1位)→8(2位)→6(2位タイ)→8(1位)と常に2位以内。青木も3年連続で3位に名を連ねた。規格外のパワーを発揮した佐藤は投げてもパワフルな送球で相手の進塁を阻み、三塁を守った際にも強い送球でファンを沸かせた。

■盗塁阻止率(捕手)
1.大城卓三(巨人) .447
2.木下拓哉(中日) .426
3.梅野隆太郎(阪神) .288

 大城は2位の昨季(.352)から1割近く上昇させてリーグトップへ。打撃で注目される機会も多いが、守備での貢献も見逃せない。1位から陥落した木下だが、2年連続で4割キープと自慢の肩を見せつけている。梅野は19年の.370→.333→.288と下降。今季は打撃も不調で終盤はスタメンを外れた。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。
 

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 個人タイトルの対象ではなくとも、プロの凄みが詰まった部門のベスト3を紹介する。まずはセ・リーグの野手から見ていこう。(※率系部門は規定打席到達者32人が対象)

■OPS(出塁率+長打率)
1.鈴木誠也(広島) 1.072
2.村上宗隆(ヤクルト) .974
3.牧秀悟(DeNA).890

 鈴木は首位打者(.317)と最高出塁率(.433)のタイトル獲得に加えて長打率.639もリーグベストで、総合的な打力を示すOPSも12球団で唯一1.000の大台を突破。昨季の1位から陥落した村上だが、初の本塁打王となり、出塁率.408と長打率.566は2位とMVPに相応しい成績だ。新人特別賞の牧は打率.314がリーグ2位、35二塁打は新人記録を塗り替えた。

■四球率(四球÷打席)
1.村上宗隆(ヤクルト) 17.2%
2.鈴木誠也(広島) 16.3%
3.マルテ(阪神) 14.1%

 四球数でリーグ1、2位の村上(106)と鈴木(87)が率でもワンツー。村上は2年連続1位、鈴木は11敬遠がリーグ最多だった。マルテは打率.258こそリーグ26位ながら出塁率.367は同7位と、バットを振らずともチームの得点力を底上げ。ワーストは小園海斗(広島)の2.7%で、打率3割に迫る巧打でアピールも課題を残した。 ■三振率(三振÷打席)
1.青木宣親(ヤクルト) 8.8%
2.宮﨑敏郎(DeNA) 9.3%
3.近本光司(阪神) 9.5%

 打撃成績は実質的キャリアワーストだった青木だが、三振率は前年から約6%も改善。昨季まで4年連続リーグベストの宮崎よりも少ない割合に抑えた。近本は有走者時と得点圏でともにリーグベストの7.0%を記録。一方で、新人の佐藤輝明(阪神)は驚愕のパワーを見せつけたが、三振率38.0%もダントツの高さだった。

■BB/K(四球÷三振)
1.マルテ(阪神) 1.03
2.鈴木誠也(広島) 1.02
3.青木宣親(ヤクルト) 0.98

 打席アプローチの成熟度を示す指標で、マルテと鈴木は三振よりも多くの四球を選んだ。2人とも長距離砲であることを考えれば一層価値が高い。マルテはメジャー通算4年で三振が四球の3倍を数えたが、来日後はしっかり改善している。こちらも佐藤輝明(阪神)がリーグワーストの0.14。ボールの見極めが来季の重要課題になりそうだ。

■本塁打率(打数÷本塁打)
1.鈴木誠也(広島) 11.4
2.村上宗隆(ヤクルト) 12.8
3.岡本和真(巨人) 13.4

 鈴木は本塁打王を分け合った村上と岡本以上のペースでアーチを放った。特に13本の9月は6.5打数に1本と驚異的な追い上げで、タイトル争いにも参戦。対戦相手別では村上が巨人戦、岡本はヤクルト戦が最少の打数(11.1/9.2)と、互いにライバルの目の前で量産した。規定打席未満ではオースティン(DeNA)が本塁打率13.3で3傑入りの水準。■得点圏打率
1.塩見泰隆(ヤクルト) .325
2.梅野隆太郎(阪神) .321
3.菊池涼介(広島) .314

 リードオフを務めた塩見は得点圏で最高打率を記録しただけでなく、OPS.973と危険な打者に変貌。日本一を決めた日本シリーズ第6戦では、5回に先制打を放った。梅野はリーグワーストの打率.225に沈んだが、チャンスでは別人のような打撃。規定打席未満ながら、オースティン(DeNA)は打率.354にリーグ最多の11本塁打とクラッチぶりを発揮した。

■内野安打
1.近本光司(阪神) 23本
2.京田陽太(中日) 22本
3.大島洋平(中日) 20本

 3年連続で同じ選手がトップ3を占め、昨季からは2位と3位が入れ替わっただけ。近本は自慢の快足を活かし、初の打撃タイトルとなる最多安打を獲得した。京田の全安打における内野安打の割合21.0%はリーグダントツの高さで、大島は4年連続で3位内にランクイン。右打者では塩見泰隆(ヤクルト)が最多の18本を記録した。■盗塁成功率(10盗塁以上)
1.中野拓夢(阪神) 93.8%
2.植田海(阪神) 90.9%
3.塩見泰隆(ヤクルト) 80.8%

 中野はルーキーながら30盗塁に対して失敗2と、質量ともに優れた成績でタイトルを手にした。植田も10盗塁で失敗1と、スペシャリストの面目躍如。昨年1位だった塩見は盗塁数を13→21と上積みながら成功率8割をキープしている。梶谷隆幸(巨人)は61試合で11盗塁を決めた一方で失敗も8を数え、成功率57.9%は2年連続リーグワースト。

■補殺(外野手)
1.鈴木誠也(広島) 13
2.青木宣親(ヤクルト) 9
3.佐藤輝明(阪神)    7
3.オースティン(DeNA) 7

 強肩自慢の鈴木は守備でも貢献が大きく、2017年から走者を指した数は10(リーグ1位)→8(2位)→6(2位タイ)→8(1位)と常に2位以内。青木も3年連続で3位に名を連ねた。規格外のパワーを発揮した佐藤は投げてもパワフルな送球で相手の進塁を阻み、三塁を守った際にも強い送球でファンを沸かせた。

■盗塁阻止率(捕手)
1.大城卓三(巨人) .447
2.木下拓哉(中日) .426
3.梅野隆太郎(阪神) .288

 大城は2位の昨季(.352)から1割近く上昇させてリーグトップへ。打撃で注目される機会も多いが、守備での貢献も見逃せない。1位から陥落した木下だが、2年連続で4割キープと自慢の肩を見せつけている。梅野は19年の.370→.333→.288と下降。今季は打撃も不調で終盤はスタメンを外れた。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。
 

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