【2021主力選手通信簿|楽天】田中将大は負け越しでも最高評価。10年目で初の打点王獲得の島内にも「よくできました」<SLUGGER>
全12球団の主力選手の2021年シーズンを5段階の通信簿形式で振り返っていく同企画。各選手のこれまでの実績や期待値も踏まえて査定し、評価していく。
※A=よくできました、B=まずまずです、C=可もなく不可もなく、D=がんばりましょう、E=ガッカリです
【投手】
●田中将大
[試合] 23 [勝敗] 4-9 [防御率] 3.01
[投球回] 155.2 [K/9] 7.28 [BB/9] 1.68
評価:よくできました(A)
東北が無援護に泣いた。8年ぶりの復帰で東京五輪にも出場。チーム最多投球回、QS率73.9%と献身的に尽したが、援護率2.16では勝てない。HQS11試合で1勝3敗の結果がすべてを物語る。
●岸孝之
[試合] 25 [勝敗] 9-10 [防御率] 3.44
[投球回] 149.0 [K/9] 7.91 [BB/9] 2.05
評価:まずまずです(B)
3年ぶりに規定投球回到達。移籍5年目は完封勝利で始まり、2019年9月からの連勝は最終的に10まで伸びた。5月に調子を落としたが修正し、8月13日の西武戦は8回途中までノーヒットノーラン。
●則本昂大
[試合] 23 [勝敗] 11-5 [防御率] 3.17
[投球回] 144.2 [K/9] 9.46 [BB/9] 2.18
評価:まずまずです(B)
エース復活。2年前に手術した右ヒジの不安が消え、真っすぐは最速158キロ。支配力がよみがえり、9月9日の日本ハム戦で3年ぶり完封勝利を飾った。最終登板で右腕最速1500奪三振に到達。
●早川隆久
[試合] 24 [勝敗] 9-7 [防御率] 3.86
[投球回] 137.2 [K/9] 8.30 [BB/9] 1.96
評価:可もなく不可もなく(C)
1年目は五輪前後で明暗分かれた。前半戦だけで7勝。5月16日オリックス戦は98球のプロ初完封勝利だった。しかし後半戦は2勝と失速。4球団競合の前評判を考えると、もうひと伸び欲しかった。
●瀧中瞭太
[試合] 20 [勝敗] 10-5 [防御率] 3.21
[投球回] 103.2 [K/9] 6.51 [BB/9] 2.34
評価:よくできました(A)
防御率54.00から積み上げた初の2ケタ勝利だ。シーズン初登板で10失点KOと波乱の船出も、2登板目以降は防御率2.38。多彩な変化球に緩急、奥行きを駆使し、しっかりゲームを作った。
●涌井秀章
[試合] 21 [勝敗] 6-8 [防御率] 5.04
[投球回] 96.1 [K/9] 7.10 [BB/9] 2.43
評価:がんばりましょう(D)
史上47人目の通算2500投球回、同49人目の150勝に到達したとはいえ、不本意な17年目になった。開幕投手を任され、3・4月の月間MVPを受賞。しかし5月以降は防御率7.74に沈み、5失点以上は7試合を数えた。
●宋家豪
[試合] 63 [勝敗] 3-3 [防御率] 2.23 [セーブ] 7 [ホールド] 24
[投球回] 60.2 [K/9] 7.27 [BB/9] 3.41
評価:よくできました(A)
リーグ2位の63試合と大活躍し、球宴に初選出された。7回以降の同点以上で56試合投げ、松井離脱後は代役抑えで失敗なし。相手打線の中軸を被打率.157に退け、年俸は1億円の大台を突破した。
●西口直人
[試合] 33 [勝敗] 5-2 [防御率] 3.28 [ホールド] 3
[投球回] 57.2 [K/9] 8.58 [BB/9] 3.59
評価:まずまずです(B)
2016年ドラフト10位が大躍進。先発が危険球退場し緊急登板した6月26日ソフトバンク戦でプロ初勝利。複数回から終盤の接戦までカバーした。柳田悠岐(ソフトバンク)には14打数で単打1本、7三振。
●安樂智大
[試合] 58 [勝敗] 3-3 [防御率] 2.08 [ホールド] 22
[投球回] 56.1 [K/9] 7.99 [BB/9] 5.27
評価:よくできました(A)
救援転向2年目は登板数、ホールド大幅増。球速が増した直球は昨年出なかった151キロを計測し、変化球はスプリットチェンジをたくみに操った。8月25日からの7日間で5登板のフル回転も。
●酒居知史
[試合] 54 [勝敗] 4-3 [防御率] 2.28 [ホールド] 28
[投球回] 51.1 [K/9] 7.71 [BB/9] 4.21
評価:よくできました(A)
2年連続で開幕から最後まで一軍登録されたチーム唯一の投手。田中将に助言を仰いだフォークは威力絶大で、22試合で無安打・無四死球と圧巻だった。28ホールドはリーグ2位タイ。
●松井裕樹
[試合] 43 [勝敗] 0-2 [防御率] 0.63 [セーブ] 24
[投球回] 43.0 [K/9] 12.35 [BB/9] 4.40
評価:まずまずです(B)
隔年で好成績を残す過去の傾向を踏襲。約2試合に1登板のハイペースで投げ、適時打を2本に抑える大戦果をあげた。通算165セーブは歴代13位タイ。8月の右太腿裏痛による離脱だけが残念だった。
【野手】
●鈴木大地
[試合] 143 [打数] 552 [打率] .277
[本塁打] 10 [打点] 53 [OPS] .720 [盗塁] 3
評価:まずまずです(B)
移籍2年目も無事之名馬で全試合出場。本塁打は3度目の2ケタに達し、佐々木朗希(ロッテ)からも放った。今年も満塁に強く走者一掃打は3本。一方、落球エラー3個はもったいない。
●島内宏明
[試合] 141 [打数] 486 [打率] .257
[本塁打] 21 [打点] 96 [OPS] .863 [盗塁] 2
評価:よくできました(A)
10年目で大輪の花を咲かせた。4番起用は今年ついに101試合を数え、自身初の打点王。逆方向にも大飛球が増えて、21本塁打は球団生え抜き記録を塗り替えた。初出場した球宴では第2戦でMVP。
●浅村栄斗
[試合] 143 [打数] 483 [打率] .269
[本塁打] 18 [打点] 67 [OPS] .817 [盗塁] 1
評価:がんばりましょう(D)
出塁型が多い楽天で主砲の不振は痛すぎた。65打点は15年以降でワースト、本塁打も前年から10本以上減。9月には状態不良でスタメン落ちし、バットを叩きつける姿や死球に激昂するひと幕でファンを驚かせた。
●岡島豪郎
[試合] 126 [打数] 461 [打率] .280
[本塁打] 8 [打点] 56 [OPS] .745 [盗塁] 3
評価:よくできました(A)
2019年の左肩・右ヒジ手術から完全復活。5年ぶりに規定打席に達し、打率はリーグ9位、30二塁打到達は自身初だった。守備では強肩で相手走者の進塁を阻止。右安で本塁突入した二走9人のうち3人を刺した。
●茂木栄五郎
[試合] 120 [打数] 410 [打率] .259
[本塁打] 14 [打点] 53 [OPS] .770 [盗塁] 6
評価:まずまずです(B)
期待は高いからこそ竜頭蛇尾は否めない。凄まじい働きは本塁打4本にサイクル安打未遂もありOPS1.371を記録した開幕4カードまで。4月9日以降は.706に終わった。守備では三遊間方向への当たりで好プレーを連発。
●小深田大翔
[試合] 121 [打数] 391 [打率] .248
[本塁打] 3 [打点] 21 [OPS] .640 [盗塁] 5
評価:がんばりましょう(D)
2年目のジンクスか。球宴に初出場して2年連続で規定打席をクリアしたが、後半戦は精彩を欠いて出場機会も減少。遊撃守備では12失策、送球エラーは紅林弘太郎(オリックス)の倍を数えた。
●辰己涼介
[試合] 130 [打数] 374 [打率] .225
[本塁打] 10 [打点] 32 [OPS] .671 [盗塁] 6
評価:がんばりましょう(D)
ゴールデン・グラブ賞を初受賞。SNSで「#残念そこは辰己」が盛り上がりを見せたとおり、センターで数多くの名場面を作った。反面、開幕戦先頭打者初球本塁打を放った打棒は、尻すぼみ。
●太田光
[試合] 107 [打数] 240 [打率] .188
[本塁打] 4 [打点] 23 [OPS] .515 [盗塁] 1
評価:がんばりましょう(D)
右肩の「光ファイバー」は健在。盗塁阻止率.379はリーグ3位を誇った。則本の復活、早川の1年目をインサイドワークで支えたが、打撃は昨年9月の左肩痛の影響か、打率1割台に低迷した。
●山﨑剛
[試合] 56 [打数] 168 [打率] .256
[本塁打] 4 [打点] 24 [OPS] .725 [盗塁] 4
評価:よくできました(A)
小深田と入れ替わりで9月4日以降の全40試合で先発出場。打撃では山本由伸(オリックス)から10打数5安打など好投手を攻略した。守備では球際に強く、9月10日ロッテ戦の二飛は今なお鳥肌モノ。
●炭谷銀仁朗
[試合] 95 [打数] 153 [打率] .209
[本塁打] 4 [打点] 15 [OPS] .571 [盗塁] 0
評価:まずまずです(B)
7月4日に巨人から電撃移籍し、捕手防御率2.92。石井監督に「雰囲気ある配球」と言わしめた。7月12日ソフトバンク戦では8回にレイのノーヒッターを阻止するヒットを放った。
●ディクソン
[試合] 38 [打数] 108 [打率] .167
[本塁打] 4 [打点] 15 [OPS] .592 [盗塁] 2
評価:ガッカリです(E)
石井GM兼任監督の補強第一弾は期待外れ。コロナ禍で来日が大幅に遅れたこともあり日本の野球に対応できず、三振率は34.1%。全スウィングの4割近くで空振りを喫するなど粗さが目立った。
●渡邉佳明
[試合] 45 [打数] 99 [打率] .273
[本塁打] 1 [打点] 7 [OPS] .675 [盗塁] 0
評価:可もなく不可もなく(C)
9月の再昇格後は打率.306をマーク。卓越したバットさばきで、10月5日ソフトバンク戦は初の4安打。その2日後には、益田直也(ロッテ)から左越えの決勝打を弾き返した。
●オコエ瑠偉
[試合] 42 [打数] 94 [打率] .223
[本塁打] 0 [打点] 6 [OPS] .525 [盗塁] 3
評価:ガッカリです(E)
高卒6年目もブレイクならず。左手手術の影響で一軍出場は五輪明けになり、OPSは自己ワースト。この2年間、二軍113打席で長打は4二塁打、一軍110打席で二塁打1本だけとパワー低下が気になる。
●銀次
[試合] 35 [打数] 91 [打率] .286
[本塁打] 0 [打点] 3 [OPS] .678 [盗塁] 0
評価:ガッカリです(E)
球団通算最多安打記録を保持するヒットメーカーも、ここ2年は不振。震災10年の今年は3月に右手首痛、7月に新型コロナ陽性判定と「全然、野球ができなかった」。来年は3年契約の最終年を迎える。
【監督】
●石井一久監督
66勝62敗15分 勝率.516(3位) 得失点差+25(3位)
評価:まずまずです(B)
主砲と外国人の不振で得点力が激減するなか、スクイズ成功8度など現実に即した采配と、強力ブルペン陣を楯に勝利を積み重ねた。課題になっていた1点差試合の勝率は4年ぶりに5割を超えた。
文●eagleshibakawa
【著者プロフィール】
信州上田在住。故郷の戦国武将・真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドに見える市井の野球好き。野村ID野球に感化され、2009年から様々なデータを集計しながら楽天を定点観測し、気づいたことをSNSなどで発信。
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