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「戦力としての可能性を感じる」トライアウトで野村弘樹の目にとまった“好投手”とは?

“下克上”を狙うトライアウト。有識者が気になった投手とはいったい? 写真:塚本凛平(THE DIGEST)
2021年プロ野球12球団合同トライアウトが12月8日、メットライフドームで開催された。再びプロ契約を勝ち取るべく、33名の選手が参加。12球団や独立リーグのスカウトたちが見つめる中、気温9度と厳しい状況に負けまいとと、選手たちは持てる力を目一杯アピールしていた。

その舞台を始めて目の当たりにしたのが、TV中継の解説を務めた野村弘樹氏だ。現役時代は横浜のエース左腕として活躍し、1998年の日本一にも大きく貢献。果たして同氏の目にとまった投手は誰だったのだろうか。

「印象に残ったのは、元オリックスの金田和之投手と、元ロッテの左腕・永野将司投手。このコンディションで球速も出ていました。ただそれだけではなく、2人とも変化球でカウントが取れていた。実戦での起用という部分を考えた時に、(戦力としての)可能性を感じましたね」

この日のトライアウトには22人の投手が参加し、最速は元巨人の古川侑利と、元西武の中塚駿太が計測した149キロだった。野村氏が挙げた金田は147キロ、永野は148キロを計時しており、参加投手の中でも屈指のスピードだったのは間違いない。だが、他にも145キロ以上を計測した投手はいた。しかし、彼らが戦うべき場所はプロの舞台。打った、抑えたの結果が求められる世界にあって、より実戦で使えるボールかどうかの部分を野村氏は重要視したようである。
また、昨年は自律神経失調症の影響で実戦登板がなかった2018年のパ・リーグ最多勝投手・多和田真三郎(元西武)についても野村氏は触れた。

「確かに投げている数が足りないようには見えたが、そのなかでも球速は出ていた(最速146キロ)し、変化球も投げられていた。後はこれから、投げる機会を増やしていけば十分に行ける。

フォームも(独特の)沈み込みはあったが、ボールを抑えこめていなかった。最初の打者は緊張からストレートのフォアボール。そこは投げていければクリアできると思うので、彼にはもう1回、チャンスを与えてほしいと思いましたね」

多和田自身も、その投球に手応えを感じていたようだ。「去年の10月以降、打者相手には投げていませんでした。久しぶりということもあって、先頭打者はどうしても緊張で高めに抜けてしまいました」と語りながらも、こう続けた。

「その後はストレートで押せている手応えはありました。もっと投げていけば、球速も上がってくると思いますし、低めにもいくようになると思います。今が(状態が)100%ではないですが、もっともっと野球をやりたいですし、野球ができるのであれば、12球団どこでも、そのチームのために一生懸命頑張りたいと思います」

昨年のトライアウトは56選手が参加。その中でNPB入団を勝ち取ったのはわずか3名だった。今年は参加選手が少ないとはいえ、狭き門であることは間違いない。この日わずかな可能性にかけた33選手の思いは果たして実を結ぶのか。野村氏も、こう締めくくった。

「今日は、寒くてコンディション的には苦しい部分もあっただろうけど、現時点でのベストを見せようとするところは、すごく伝わってきました。可能性は少ないかもしれないが、全員にチャンスがある。なんとか編成の方の眼に留まってほしいですね」

取材・文●岩国誠

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