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空振り能力に長けた日本向きのタフガイ!阪神移籍が決まった右腕ウィルカーソンの実力はいかほどか?

阪神移籍が決まったウィルカーソン。メジャーでの経験は乏しいものの、そのパフォーマンスは期待できる。(C)Getty Images
矢野燿大体制での背水の4年目に向け、阪神は素早く動いた。12月5日、阪神タイガースは、来シーズンからの新助っ人としてアーロン・ウィルカーソンとの契約締結を発表した。
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もっとも、今季の阪神の先発陣は安定感があった。防御率そのものが12球団トップの3.04で、QS率も55.94%と盤石さは“セ界一”と言ってもいいものがあった。

そのなかで新たに迎え入れたウィルカーソン。はたして、新助っ人はいったいどのような投手なのか? ここで分析してみる。

現在32歳の右腕が送ってきたキャリアは、決して平たんではない。カンバーランド大時代の2011年に54イニング連続無失点や26連勝をマークし、トッププロスペクトとして注目を集めるも、同年8月に行なったトミー・ジョンの影響からドラフト漏れ。米紙『Boston Herald』が2016年に掲載した記事によれば、このときウィルカーソンは一度、野球界を離れ、大手食品会社の冷凍食品の倉庫に勤務。5か月連続で夜勤を務めるなど、勤勉な働きぶりから昇格話も持ち掛けられたという。

しかし、野球人としての夢を諦めきれなかった。ウィルカーソンは2013年に独立リーグ球団へ入団。その後、4度の移籍を重ねながら、2014年にボストン・レッドソックス傘下へ移籍し、MLBへの足掛かりを掴む。そして、2017年、ミルウォーキー・ブリュワーズの傘下に移籍した2年目に念願のメジャーデビューを飾った。
その後、マイナー球団を渡り歩き、昨オフに台湾の楽天と契約するも、新型コロナウイルスの影響と家族の事情により渡航できず。今年3月に契約解除した後に、ドジャース傘下3Aと契約。今季は23試合(先発19)で、8勝5敗、防御率3.86とまずまずの成績を残していた。

歩んできたキャリアから精神的なタフさが窺い知れる。そんなウィルカーソンの投球スタイルに派手さはないが、日本向きとも言える。右のオーバーハンドからチェンジアップ、スライダー、カーブを巧みに投げ分け、力任せではないピッチングを身上としているからだ。

今季の3Aでの成績を細かくみれば、彼の能力の高さが鮮明に浮かび上がる。平均145キロほどと球速は決して早いわけではないが、空振り率は10.04と平均以上をマークしていることから、球威はなかなかに期待できる。加えて、WHIP(投球回あたり与四球・被安打数合計を表す指標)も作シーズンは1.09とずば抜けており、日本に馴染めれば、ローテーションの貴重な一角として計算が立ちそうだ。

阪神移籍に際しては球団を通じて「タイガースを日本一にするために勝利に貢献したい」と意気込んだウィルカーソン。ハングリー精神を持った32歳の右腕は、虎党待望の日本一へと導くカギとなるのかに注目だ。

構成●THE DIGEST編集部

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