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【2021主力選手通信簿|DeNA】最下位でもスーパールーキー牧の活躍が光明。ただ、元二冠王の助っ人は…<SLUGGER>

今季のDeNAは何といっても牧だろう。数々の球団新人記録を樹立し、ルーキーながら4番にも座った。写真:田口有史
全12球団の主力選手の2021年シーズンを5段階の通信簿形式で振り返っていく同企画。各選手のこれまでの実績や期待値も踏まえて査定し、評価していく。今回はセ・リーグで最下位に終わった横浜DeNAベイスターズだ。

※A=よくできました、B=まずまずです、C=可もなく不可もなく、D=がんばりましょう、E=ガッカリです

【投手】
●今永昇太
[試合] 19 [勝敗] 5-5 [防御率] 3.08
[投球回] 120.0    [K/9]  8.25 [BB/9] 1.95
評価:まずまずです(B)
昨年10月の左肩手術から5月下旬に復帰。当初は不振だったがすぐに安定感を取り戻し、9月19日の中日戦では9回1失点で763日ぶりの完投を記録するなど完全復活をアピール。三浦大輔監督も「復活というより、新しい技を見せてくれつつあると思う」と評価した。

●大貫晋一
[試合] 22 [勝敗] 6-7 [防御率] 4.34
[投球回] 112.0    [K/9]  8.52 [BB/9] 2.41
評価:可もなく不可もなく(C)
昨季は2ケタ勝利を挙げたが、今季は調子を落として負け越し。5月には二軍降格も味わうなど、ほろ苦いシーズンとなった。とはいえ先発試合数と勝利数は2年連続チームトップで、苦しみながらも奮闘したことは評価したい。

●濵口遥大
[試合]    17 [勝敗] 5-7 [防御率] 3.94
[投球回] 91.1 [[K/9]  8.28 [BB/9] 5.12
評価:がんばりましょう(D)
ヤクルトとの開幕戦では3回6失点と大きくつまずきながら、その後の11登板でQS9回と安定した投球を披露。崩壊寸前の先発陣の中で孤軍奮闘した。だが、6月末に右脇腹の負傷で登録抹消された後は2か月近く戦線復帰できず、再昇格後も計12イニングで13失点と苦い結果となった。
●ロメロ
[試合] 14 [勝敗] 5-3 [防御率] 3.01
[投球回] 80.2    [K/9]  4.91 [BB/9] 3.35
評価:可もなく不可もなく(C)
前半戦は防御率5.75と安定しなかったが、二軍での調整を経て7月に再昇格して以降は文句無しの活躍。10登板すべてで5イニング以上投げ、7試合でQS達成。少ない球数で凡打を量産する快投ぶりで、9月20日の中日戦では完封勝利も記録した。

●京山将弥
[試合] 16 [勝敗] 2-7 [防御率] 4.97
[投球回] 76.0    [K/9]  7.93 [BB/9] 4.86
評価:可もなく不可もなく(C)
4年目にして登板数・投球回数ともに自己最多を更新し、8月末からは18イニング連続自責点なしも記録。だが、球速が上がった分、コントロールが不安定で、与四球率4.86と安定感には欠けていた。

●坂本裕哉
[試合] 16 [勝敗] 4-6 [防御率] 5.25
[投球回] 70.1    [K/9]  5.89 [BB/9] 2.82
評価:がんばりましょう(D)
2年目の今季は昨年よりさらに登板機会を増やしたが、1試合あたりの平均イニング数は5を下回るなど、早い段階での交代が多かった。被打率も高く、制球はまだまだ精度の向上が必要だ。
●エスコバー
[試合] 61 [勝敗] 4-4 [ホールド] 32 [防御率] 3.38
[投球回] 58.2   [K/9]  7.67 [BB/9] 1.69
評価:よくできました(A)
ビザ発給遅れにより4月後半からの合流だったが、終わってみればチームトップの登板数・ホールド数で今季も大車輪の活躍。6月13日の日本ハム戦では左腕史上最速の163キロも計時した。オフは新たに2年契約を結んで残留。

●三嶋一輝
[試合] 59 [勝敗] 3-5 [セーブ] 23 [防御率] 4.08
[投球回] 57.1    [K/9]  8.95 [BB/9] 1.88
評価:がんばりましょう(D)
開幕から抑えを任され、自己最多の23セーブ。たが、3失点以上が6度と急に大崩れする悪癖もあって、シーズン終盤の9月には一時クローザーを外された。特に巨人戦は防御率11.17と極端に相性が悪かった。

●山﨑康晃
[試合] 60 [勝敗] 3-2    [ホールド] 27 [防御率] 3.27
[投球回]    55.0 [K/9]  6.38 [BB/9] 2.29
評価:可もなく不可もなく(C)
防御率5.68と大不振に苦しんだ昨季に比べれば成績が改善。終盤には三嶋に代わり抑えも務めたが、9月下旬に3登板連続セーブ失敗といまひとつだった。メジャー挑戦を希望しているが、この内容では今オフは厳しそう。
●砂田毅樹
[試合] 58 [勝敗] 2-2 [ホールド] 18 [防御率] 3.24
[投球回] 41.2    [K/9]  5.83 [BB/9] 2.81
評価:よくできました(A)
18年にシーズン70登板を記録した鉄腕が、ウエイト・トレーニングの導入や、三浦監督の現役時代の投球術を参考にするなどして復活。ワンポイントや火消し役として開幕からフル回転し、エスコバーと並ぶ左腕リリーフの柱としてチームを支えた。

●石田健大
[試合] 33 [勝敗] 1-2 [防御率] 5.73
[投球回] 37.2    [K/9]  9.32 [BB/9] 4.30
評価:ガッカリです(E)
開幕から4登板連続で失点と昨季までの安定感が影を潜め、勝ちパターンからの継投も外された。球宴後に2年ぶりの先発転向が決まったが、後半戦はほぼ二軍暮らし。本人も「これまでの野球人生で経験したことがないシーズン」と悔しさを込めて振り返った。

●上茶谷大河
[試合] 8 [勝敗] 1-3 [防御率] 7.15
[投球回] 34.0    [K/9]  6.88 [BB/9] 4.76
評価:ガッカリです(E)
先発ローテ定着を期待されたが、開幕3連敗と波に乗れず早々に二軍降格。ファームでも結果が出せない日々が続き、投球フォーム修正で10月に入ってからようやく一軍へ復帰した。オフには故障を恐れずに一からフォーム固めすることを決意した。【野手】
●佐野恵太
[試合] 143 [打数] 545    [打率] .303
[本塁打] 17 [打点] 72 [OPS] .842 [盗塁] 0
評価:よくできました(A)
初の全試合出場を達成。首位打者に輝いた昨季に続いて打率3割もクリアした。契約更改で年俸1億の大台を突破。これはドラフト9位以下で入団した選手ではセ・リーグ史上初だった。

●桑原将志
[試合] 135 [打数] 519    [打率] .310
[本塁打] 14 [打点] 43    [OPS] .843 [盗塁] 12
評価:よくできました(A)
「1番・センター」のレギュラーに返り咲き、打率や本塁打をはじめ、ほとんどの打撃成績でキャリアハイの結果を残した。盗塁もチーム最多だったが、スピードのポテンシャルを思えばまだまだ数字は伸ばせるはずだ。

●宮﨑敏郎
[試合] 141 [打数] 519    [打率] .301
[本塁打] 16 [打点] 73    [OPS] .808 [盗塁] 0
評価:まずまずです(B)
今季も安定した打撃で自身4度目の打率3割&OPS.800をクリア。9月19日のヤクルト戦では通算100本塁打にも到達した。国内FA権も取得したが、これまでの貢献と安定感が評価されて新たに6年契約を結んで残留した。
●牧秀悟
[試合] 137 [打数] 487    [打率] .314
[本塁打] 22 [打点] 71 [OPS] .890 [盗塁] 2
評価:よくできました(A)
安打と二塁打、猛打賞の回数で球団新人記録を更新し、サイクル安打も達成するなど躍動。球団61年ぶりの新人4番を務め、3割&20本塁打達成は1986年の清原和博(西武)以来だった。三浦監督からは「研究されている以上に、相手を研究している」と評価されている。

●ソト
[試合] 123 [打数] 410    [打率] .234
[本塁打] 21 [打点] 62    [OPS] .73 [盗塁] 0
評価:がんばりましょう(D)
本塁打、OPSをはじめ、成績は軒並み来日4年目以降で最低の数字。三振が増えて四球が減少と打席アプローチが悪化して18~19年に2年連続本塁打王の怖さもなくなり、チームの打撃不振の象徴的存在となってしまった。

●オースティン
[試合] 107 [打数] 373    [打率] .303
[本塁打] 28 [打点] 74    [OPS] 1.006 [盗塁] 1
評価:よくできました(A)
コロナ禍で来日が遅れ、調整期間がほとんどない中で持ち前の打棒を発揮した。規定打席未達ながら、本塁打と打点はチームトップ。開幕から出ていれば本塁打王も狙える量産ペースだった。東京五輪での活躍も印象的。
●大和
[試合] 106 [打数] 270    [打率] .252
[本塁打] 2 [打点] 26    [OPS] .622 [盗塁] 1
評価:まずまずです(B)
昨季は左ヒザの故障で85試合の出場にとどまるも、今季はシーズン通して一軍に帯同。特に6月は打率.325の活躍だった。柴田の復帰で終盤は代打や守備固めで起用されることが多くなったが、三浦監督は「若手の見本」と最大級の賛辞を送る。

●柴田竜拓
[試合] 85 [打数] 222 [打率] .234
[本塁打] 2 [打点] 15 [OPS] .642 [盗塁] 1
評価:がんばりましょう(D)
開幕戦では16年以来のスタメン出場を果たすも、4月23日の阪神戦でショートを守っていた際にセカンドの大和と交錯して約2ヵ月離脱。その影響もあってか、打撃でも苦しい年となった。牧の台頭もあって来季は正念場。

●伊藤光
[試合] 53 [打数] 160 [打率] .213
[本塁打] 2 [打点] 13    [OPS] .582 [盗塁] 1
評価:可もなく不可もなく(C)
故障で初出場は5月18日までずれ込んだものの、粘り強さと器用さを買われて2番に抜擢。つなぎ役として貢献したが、9月28日のヤクルト戦でファウルボールが顔に直撃、脳震とうとあごの打撲でひと足先にシーズンを終えた。

●関根大気
[試合] 103 [打数] 124    [打率] .226
[本塁打] 1 [打点] 4    [OPS] .582 [盗塁] 2
評価:可もなく不可もなく(C)
初の開幕スタメンから6試合連続安打と抜擢に応え、ベンチスタートが増えてからも代走や守備固めとして貢献。自己最多の103試合に出場した。レギュラー奪取のためには、あOPS.582の打力を向上させたい。
●楠本泰史
[試合] 76 [打数] 114 [打率] .254
[本塁打] 2 [打点] 18    [OPS] .691 [盗塁] 1
評価:まずまずです(B)
開幕一軍を逃して「悔しいシーズンだった」と振り返ったが、5月末の昇格後は代打を中心に自己最多76試合に出場。6月5日のロッテ戦では代打2ラン、9月7日の巨人戦では同じく代打で3ランと勝負強さを発揮した。

●神里和毅
[試合] 88 [打数] 110 [打率] .191
[本塁打] 4 [打点] 15 [OPS] .558 [盗塁] 4
評価:ガッカリです(E)
センターのレギュラー候補だったが、118打席で49三振と打席で精彩を欠き、桑原に差をつけられた。ほぼ同世代の関根や楠本が存在感を発揮する中で、本人も言うように「悔いしか残らないシーズン」となってしまった。

●山本祐大
[試合] 51 [打数] 99 [打率] .131
[本塁打] 1 [打点] 4    [OPS] .35 [盗塁] 0
評価:がんばりましょう(D)→可もなく不可もなく
23歳の期待の若手捕手は自己最多の51試合に出場。伊藤の離脱もあって終盤は先発出場が増え、持ち味の強肩で盗塁阻止率36.8%を記録した。ただし、打撃は打率.131で、正捕手奪取のためには改善が必須。

【監督】
●三浦大輔
54勝73敗16分 勝率.425(6位) 得失点差−65(5位)
評価:可もなく不可もなく(C)
助っ人組の来日遅れもあってシーズン当初は戦力が揃わなかったように、最下位は監督のみの責任ではない。ただ、バント多用の采配もなかなか勝利につながらなかった部分はあった。来季は相川亮二や石井琢朗ら、他球団で指導経験を積んだコーチが加入。監督の目指す野球の実現を期待したい。

文●ハマノンタン

【著者プロフィール】
横浜生まれ横浜育ちのベイスターズファン。前向きな応援と冷静な分析が信条。ブログ「データで語るドラフト・育成論」を運営。

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