下川裕一,バドミントン

球技最速の時速350キロ バドミントンのシャトルの奥深さとは

プロは気温や気圧でシャトルを使い分ける

下川裕一,バドミントン

――シャトル交換ひとつとっても、そんな攻防があるんですね。

下川:ちなみに、鳥の羽を使っているせいもあるのか、気温や気圧によってシャトルの飛び方が変わります。暑い体育館だったり、山の上のほうへ行ったりすると「飛ぶ」んですよ。なので、冬と夏では、飛びやすさの異なるシャトルを使います。シャトル番号というのがあって、試合会場の室温などを基準に大会主催者がどの番号のシャトルでいくか決める感じです。数字が大きいほど、低温向きのシャトル、つまり「飛びやすい」シャトルです。夏は飛びにくい番号の小さいシャトルを、冬は逆に番号の大きいシャトルを使う、そんなイメージです。

――そんなに変わるんですか?飛べばいい、という単純なものではないんですね。

下川:飛び方が違うものを使わないと、会場のコンディションによって、同じ力で打っていても結構アウトになっていしまったり、逆に全然飛ばなかったりします。同じ番号でも、製造メーカーや会場環境、温度、気圧などによって飛び方がだいぶ変わるところもあり、そこはぴったり全部同じにはなりません。毎回、試合の場所などによってコントロールする必要はあります。

――同じ場所でも午前なのか午後なのかによって、飛び方が変わっちゃうわけですね。

下川:そうですね。そこのアジャストに時間がかかる選手だと、スロースタートになってしまいます。逆に言えば、そこの調節が早ければすぐ実力を発揮できます。ですから、本番前の練習はかなり大事なポイントになりますね。

>>特集連載:下川裕一「今、バドミントンが熱い理由」

■プロフィール

下川裕一,バドミントン

下川裕一(しもかわ・ゆういち)
1981年生まれ。東京都出身。祖父の手ほどきで3歳からバドミントンを始める。淑徳巣鴨高等学校、淑徳大学を卒業後、旭工芸株式会社に入社。実業団選手として16年プレーし、昨年からはコーチ兼選手として活動している。

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