前田美順,バドミントン

【オリンピアン前田美順が教えます】バドミントン 精度の高い球のヒミツ

前田美順さんの企画第二弾は、日本や世界のトップ選手と戦ってきた前田さんが感じるバドミントンの見どころについてです。バドミントンのコートは広いところで、縦13.4m×横6.1m、ネットの高さは1.55mあります。その中で選手たちはいかに精度の高い球を、コートやネットギリギリのところに打つかでしのぎを削り合っています。いつもの視点とは少し違ったバドミントンの楽しみ方を前田さんに聞きました。(取材/坂本理加)

精度の高い球のヒミツ

ーーバドミントンの注目してほしいポイントはありますか?

前田美順さん(以下、前田):例えばバレーボールだと、ボールの下に手を滑り込ませることができればラリーになり、チームでつなぎ合うことができると思うのですが、バドミントンの場合は1人か2人で(床の)キワの球を拾って、シングルスだったら自分で繋いてまた取りに行かないといけないんです。自分の体を限界まで使って球を取りに行き、また体を戻して次のモーションに行く。コートは横幅も広いので、キワからクロスの球を使ったりということももちろん出てきます。
みんなこのギリギリの中で生きるか死ぬかの状態の中で、生きる方法を探すので、そこから球の精度を高めていきます。

ーー特に難しい球というのは?

前田:バドミントンは、ネットからシャトルが自分のコートの方に出てこない限りは自分が打つことができないですよね。
トップの選手は、ネットを越してすぐ落ちるような、相手が拾いにくい球が出せるように練習しています。

ーーコースが厳しい球は本当に厳しいですよね。

前田:そうですね。どこからどこへ打つかによって、球の飛んでくる角度が変わりますが、質の高いクロスの球だと、ネットに対して並行に近い角度で飛んできます。相手がその球を最短で取るとしたら、球がネットを越してくるのをネットに対して鋭角の位置で待たなくてはなりません。そういう難しい球の精度は、体とラケットの感覚をしっかり使って身につけていくものです。

「生きるか死ぬか」は大げさなのですが、そんなギリギリの状況で、どうにか生きる方法を探す、相手を苦しませる精度の高い球を打つということをトップの選手はやっています。

バドミントン,シャトル

(次回に続く)


>>前田美順インタビュー特集「シャトル下8ミリの戦い」

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