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“地上2センチ”作戦とウェッジの距離チェック奏功 青木瀬令奈がメジャー初制覇へ2差発進

“技のデパート”青木瀬令奈。難コースで上々の5位発進を決めた。(撮影:米山聡明)

<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 初日◇4日◇茨城ゴルフ倶楽部 西コース(茨城県)◇6780ヤード・パー72>

昨年大会2位で初メジャータイトルを逃した青木瀬令奈。開幕前日のプロアマトーナメントを終えた後、キャディ兼コーチの大西翔太氏とともに、50度と58度のウェッジを携えて打撃練習場へ姿を現した。

「キャリー勝負ですから」。弾道計測器『トラックマン』を使って、「フルショットや開いて打ったり、開いて抑えて打ったり」とウェッジでさまざまなショットを放ち、キャリーの飛距離を確認していた。

名門コースらしい小さいグリーンは、メジャー仕様で硬く、速く仕上げられている。数ヤードの誤差でグリーンからこぼれたり、手前のハザードにつかまったり、選手を悩ませるグリーンである。青木はパー5の3打目などを意識して、自分の感覚と数字をすり合わせてウェッジショットの正確な飛距離の把握に務めた。

インから出た青木は、12番パー5でさっそく居残り練習の成果を発揮する。2打目を58度のフルショットの距離70ヤードを残して、3打目はピン奥2メートルに乗せてチャンスメーク。「朝露があって、そこまで速くない」とイメージして打ったパットは思いのほか転がり、3メートルオーバーした。返しも外してボギーとしたが、3打目の距離感には自信を持った。その後はティショットのミスから16番、18番でボギーとして折り返す。

フェアウェイウッドやアイアン系には違和感はなかったが、前半はティショットがラフに行くことが多く、スコアメークに苦しんだ。そこで「昨年もやっていたのですが、ティをとにかく低くして、上からドンと打とうと」と、折り返した1番からティショットをテコ入れした。

通常はヘッドのクラウン部からボールが半分ほど出るが、ティペグの高さを2センチほどにして、クラウン部からボールが出ないように低くする。上からドンと「思い切り振る」ことで、普段よりも弾道が低く、早く着弾。これによりランが出て、飛距離は稼げる。飛距離を変えずに方向性を高める青木ならではの技術である。

“地上2センチ”作戦が奏功し、後半はティショットの安定感を取り戻す。5番パー5は、2打目をピンまで74ヤード残して、58度のフルショットで1メートルにピタリとつけてバーディ。「いいバーディが獲れたのは昨日やった(ウェッジ練習の)結果。自信を持って打てました」。後半3つのバーディを奪って、この日3バーディ・3ボギーの「72」とカムバック。首位と2打差のイーブンパー・5位タイで滑り出した。

飛距離よりも方向性で勝負するタイプの青木。今季すでに1勝を挙げているが、直近4試合連続予選落ちと苦戦が続いていた。だが、今週から51度のウェッジを50度に替えたことで、キャリー90ヤードの「下から2番目の理想の距離」を手に入れた。さらに58度は昨年使用していて手に馴染むものに替えた。ウェッジの距離感でメジャー優勝の距離も縮める。

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