• HOME
  • 記事
  • ゴルフ
  • 宮城県出身・岩田寛が2度目の王冠「父のゴルフデビューが和合で縁があると思った」

宮城県出身・岩田寛が2度目の王冠「父のゴルフデビューが和合で縁があると思った」

終わってみれば3打差の快勝。岩田寛が和合で今季初Vを挙げた(写真は先週の日欧共催大会)(撮影:佐々木啓)

<中日クラウンズ 最終日◇30日◇名古屋ゴルフ倶楽部和合コース(愛知県)◇6557ヤード・パー70>
 
岩田寛の開幕戦は首痛で棄権。2戦目は予選通過したものの、週末で「74」「76」と伸ばせず60位に終わった。「練習もしたくなかった」というほどの不調。それは2月に出場したアジアンツアーがきっかけだった。

サウジアラビア、オマーン、カタールと続いた3試合でいずれも予選落ち。「中東の3試合で2試合目くらいから体調が悪くて、ボロボロになって日本に帰ってきた。コロナじゃなかったけど熱が出て調子も上がらないし、体も良くならなかった」。それが先週行われた欧州ツアーとの共催試合から変わった。
 
最終日に「65」をマークして日本勢で唯一のトップ10(4位タイ)に入ると、今週は21年に優勝している得意な和合で、最終日に再び「65」を出して逆転優勝を飾った。「まさかこんなに早く優勝する、できるとは思っていなかった」と岩田も驚く。
 
最終日の前のテレビ中継で、岩田はこんなことを語っている。「父のゴルフデビューが和合で縁があるなと思った。縁を感じながら回りたい」。仙台市内でゴルフ練習場を経営する父・光男さんは岩田のゴルフの師匠でもある。光男さんはアマチュアタイトルを総なめにした星野英正を小学生時代から教えた名コーチとして知られ、強い東北福祉大学の土台を作った人物ともいわれている。
 
この日、そんなつながりを感じる和合で岩田は躍動した。1打差の2位からスタートすると、1、2番の連続バーディであっさりと首位の星野陸也をかわす。その後も順調にスコアを伸ばして独走態勢を築いた。最終18番パー4こそ、ティショットをアゴの高いフェアウェイバンカーに入れて、3オン・2パットのボギーとしたが、最後のグリーンに乗った時点で後続とは4打差。圧勝で大会2勝目、ツアー通算5勝目を手にした。
 
本人は「観ている人は楽勝だと思ってたかもしれないけど、めちゃくちゃきつかったです。13番からショットの感覚がおかしくなって、ボギーを打たないように全力でやっていました」と、苦しい戦いだったことを明かす。それが周りからはわからないくらい、岩田はまったく表に感情を出さずにプレーする。それについては「昔、親父に出すなと言われたのが影響しているのかもしれないです」と話す。そして、「他の人からは笑えとか、ガッツポーズしろとか言われます。しないけど」と、42歳となった今もマイペースを貫いている。
 
もうひとつ貫いているのがパター。「23歳のときから19年目くらい」というオデッセイの『ホワイト・ホット 2ボールブレード』を使用している。「上げやすくてずっと使っている」と、バックスイングの上げやすさが愛用する理由。岩田は現在平均パット数1位で、グリーン上の技術はツアー屈指。岩田に教えを請う若手も多い。
 
実は3日目には、序盤の3番ホールでダブルボギーを叩いて「きょうはダメだなと思いました」と諦めかけたが、そのあと33ホールで12バーディを積み上げて見事に逆転。「大人になったなーと思います」と人ごとのようにいう。それでも「大人になった部分はありますけど、いつでも子供に戻れるので不安です」と、自信過剰にならないところが慎重な岩田らしい。
 
最後に『和合は好きですか?』と聞かれると、「好きです。2回勝っているので」と笑わせる。20代の若い選手たちが台頭してきた国内男子ツアーで、42歳のベテランが輝いた。

関連記事