おやじゴルフニュース「スランプ脱出のヒントを探る」
最近のスコアは92と91で、そこそこまとまっています。まだ80台は出ませんが、だいぶ調子が戻って来たようで、我ながらよく頑張ったでしょう。そんなわけで、昨年秋からの半年に及ぶスランプで感じたこと、覚えたことをつらつら書きたいと思います。
まず大事なのは
1)スランプを乗り越える決心
アマチュアゴルファーのスランプは、重症だとそのまま引退へ繋がる可能性があります。ラウンドをするたんびに100叩き、ひどいと115ぐらいのときがありましたが、そのときはプライベートラウンドだったので、途中からスコアを数えませんでした。
叩いた日の翌日は練習場でひとり反省会をやり、何が悪いんだろうと自問自答します。その練習でさえ、クソボールしか出ないありさま。特に綺麗なシャンクが出てみなさい。しかも3連続とか? 周りからもの凄く注目をされますよ。
こういうのが続くと「そろそろゴルフをやめようかな」と、ふと思ったりして。でも「最近調子悪いから休むわ~」となると、みんなからのあざけりの声が聞こえそうで嫌です。35年ゴルフをやってきて、下手で休むなんてしょぼいじゃん。もともと下手なんだから、ヘボを認めろと言われそうです。
だからいじめを受けて学校に行きたくなくなる子供の気持ちが、よく分かります。ほんまかいな。なんぼ叩いても絶対ゴルフはやめないし、休まない。絶対復活してやる決意で、リベンジが始まりました。
2)スランプ例を調べる
ネットや雑誌でスランプの記事を探して読みました。治し方というよりは、あんな有名な人でもスランプだったというエピソードに助けられました。最近はWBCの村上選手ですか? 打てなくなった4番バッターはマジ辛いです。特に準決勝のメキシコ戦、三振を3回やってからのサヨナラタイムリー。あれはウルウルものです、マジ感動しました。
だからゴルフで100叩きを10回ぐらいするのはチョロいもんです。むしろアマチュアでよかったことを感謝しないと。
ゴルフ関連で驚いたのは、高島早百合選手の長期スランプ話ですか。何かのゴルフ番組のインタビューで、結構長期のスランプで大変だったと語っていました。彼女には陽気な飛ばし屋というイメージしかなくて、絶対悩みはないだろう、そんなアゲアゲのキャラでゴルフ番組を盛り上げる人だと思っていました。
これでどんな凄い人でもスランプはあるんだと理解し、むしろ誰でも一度は通る道と思いました。もちろんレベルの差はありますけど……。
3)まずはやみくもに練習
過去に何度か当たらなくなったことがあるのですが、今回のスランプが一番ひどかったです。何しろ30ヤードのアプローチでシャンクですから。まるでコントですよ。そこをめげずにヒジを寄せて、手を使わずとか、自分でやって短い距離から打つわけです。でも5球も打てばシャンクですから、凄い落ち込みます。
意地で何球もしつこく打ち、ミスショットがさほど出ないところまで自己流で直していく。どんなものかな~と思ってラウンドに行くと、これが全然ダメで、また叩いてしまう。するとまた泣きながら練習場で打ち込みの繰り返しでした。
ドライバーなどの長いクラブは、そこそこ打てましたが、グリーン手前80ヤードぐらいから叩き出すのがお約束。なんだかなあ~。
たぶん長いゴルフ人生の中で一番練習をしたんじゃないでしょうか。それは近所にある練習場が3月で閉鎖してしまったからです。その後練習するとなると、ちょっと遠い所へ行かないといけない。だから閉まる前に腕前を戻しておかないと大変なことになると分かったからです。
4)次第に光明が見えて来た
なんぼ下手でも何十回と練習場で打っているうちに、なんとなくコツを得て来ます。まずは得意クラブで振り回し、やがて苦手クラブへと移行する。あるいは苦手な番手の中でも、複数あるクラブの中で比較的打てるクラブを選んで打ち込むとかね。
もちろんスタンスやボールの位置、グリップ、スイングなど少しずつ変えながら手さぐりでヒットポイントを探しました。
練習場でだいたいの球が打てて来て、いざコースに行くと、スコアはやっと100を切るぐらいです。やや復活ですが、何かが足りない。コースではいったい何が起きているのでしょうか。
6)トラブルはコースで起きている
長年ゴルフをやっていると、危険を感じるセンサーが発動することがよくあります。残り150ヤード、UTの5番をフルショットすれば届く距離。けどクラブを握って構えるとセンサーが発動して、これは当たらないぞというシグナルを出すわけです。でも練習場じゃこれぐらい楽に打ってるじゃんと思って振るや、ぼてぼてのダフリ。
ライをよく見ると、左足下がりになっていて微妙に打ちづらい。それを自分の危険センサーが感知し、信号を出したのです。正解はUTの4番を軽く振るでした。
とまあこのように「現場勘」を養っていくのも大事です。つまり練習ばかりしていると、現場の対応力が欠如してしまうのです。通常の練習場じゃ、左足下がりや右足下がりなんて練習できませんからね。
結局、スイングが中途半端ながらもコースに行き、現場での対応力も鍛えることに、あ~しんど。
7)現場力の最たるものはバンカー
バンカーショットは苦手です。それはバンカーの練習なんて20年やったことがないからです。かつては、通っている練習場にバンカーがあったので、それなりにバンカーからボールを出せていました。
そもそもエクスプロージョンショットが下手で、直打ち派となり、それ用のサンドウェッジを使っています。とはいえ練習をしないで、ラウンドぶっつけ本番じゃ限界があります。
そこで近所の練習場が閉鎖するタイミングで、バンカーのある練習場を探して打ってみることに。実はこれがよかったのです。バンカーショットもうまくなるし、ウェッジ類のショットのキレもよくなりました。
今ではバンカーから出ないときの保険のつもりで買ったチッパーを、キャディバッグに入れなくても済むようになりました。
8)最後は誰かのアドバイス
仕事がら何気ないひと言のアドバイスをいただいて、それが凄く効果的になることもあります。5年前は取材で知り合ったレッスンプロに「スエーしていますよ」と言われ、そこから回転を意識するように心がけ、以前よりよくなったことを覚えています。
そして最近、シャンク話をしていると、某プロが「グリップが体に近いからシャンクしやすいんですよ」という、コペルニクス的展開発言をしてくれて目からウロコでした。
シャンクの直し方や治療法は研究しましたが、最終的には個別の問題だと思います。すべてのシャンカー(勝手に名前をつけましたが)って、仮面ライダーに出てくるショッカーみたいですけど……、そのシャンカーに共通する解決法はないのです。
それは原因がそれぞれ違うからです。だからたまたま自分のスイングを見ていたプロが、一発で答えを出してくれたわけ。
私の場合、ボールを打つとき、グリップはヘソ近くを通過するようにしています。それは手打ちにならないようするため、手を縮こませて腕を使わせないのです。けどそれをやっていくとインパクトのとき、クラブフェースの内側にボールが当たりやすく、シャンクになりやすいというわけです。
じゃどうやってグリップを前面に出すか。それは体幹です。少し前傾を深くすれば自ずと手が伸びて可動域が広くなる。さすればシャンクは減ると分かった次第。
でも腹筋も背筋も弱いから、背中を少し傾けてしっかり体幹を維持して打つのは至難の業。昔はやっていたけど、おっさんになって筋力が低下してダレたのでしょう。今はなるべく意識して背中と腹に力入れて振っています。シャンクが最近出ないことの喜びはひとしおです。これからの復活劇、期待して下さい。
■プロフィール■
木村和久
きむら・かずひさ/1959年生まれ、宮城県出身。世の中のトレンドを追求し、ゴルフや恋愛に関するコラムを多数執筆するほか、マンガ原作も手がける。隔週刊ゴルフ誌「ALBA」ほか、連載多数。
とがしやすたか
1959年生まれ。東京都出身。「青春くん」などで知られる4コマ漫画家。ゴルフ好きが高じて雑誌でラウンドレポートなども展開。
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