被験者の77%で効果がみられた結果も。アスリートの脳損傷を防ぐ「Q-Collar」
近年、アメリカンフットボール、ラクロス、アイスホッケーなどのコンタクトスポーツにおいて、首に「Q-Collar」と呼ばれるC字型の器具を着用する選手が増えています。
「Q-Collar」は米Q30 Sports Science社が開発した、脳を保護する新たな装置。頸静脈を適度に圧迫することで脳の血流を増やし、頭蓋骨と脳の隙間を減らすことで、頭部に衝撃が加わった時に脳損傷を防ぐという仕組みです。
The best in the game are Changing the Game. @PremierLacrosse it’s time to Collar Up.
The Q-Collar is a Proud Partner of the Premier Lacrosse League.#QCollar #PlaySmartPlaySafe #CollarUp#Q30Partner pic.twitter.com/dEtTqbjcW7
— Q-Collar (@QCollarOfficial) March 21, 2022
コンタクトスポーツにおける脳震盪のリスクは、長年の課題となっています。脳震盪とは頭部外傷のひとつです。頭部に衝撃が加えられた際、一時的に起こる意識障害や記憶障害を指します。
コンタクトスポーツや格闘技ではよく起こることであり、その頻度の高さゆえに軽視される傾向にありました。ところが近年、そのリスクや後遺症の恐ろしさが一般的に知れ渡るようになり、脳震盪への見方も変わってきていると言えます。
「Q-Collar」はヘッドギアやヘルメット、マウスピースといった従来の保護用品とともに使用することで効果が期待できます。
アメリカの高校サッカーチームに所属する、13歳以上の選手284人を対象とした研究があります。139人の選手がQ-Collarを装着、その他の選手は装着せずにシーズンに参加。シーズン前後に選手のMRIを行ない、脳の構造的な変化を比較しました。
結果、Q-Collarを装着しなかった145人のうち106人(73%)は、脳の深部組織に有意な変化が認められました。一方、Q-Collarを装着した139人のうち107人(77%)に同様の変化は認められず、Q-Collarの効果が示されました。
まだ研究途上の分野ですが、アメリカやカナダでは販売が進んでいます。日本でも今後注目を集める機器となるかもしれません。
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