東京五輪以降、人気のバドミントン どうやって始めればいい?
オリンピックや世界選手権など、海外でも活躍する日本人選手が増えてきたバドミントン。世界ランキングの上位に日本人がランクインすることも珍しくなくなった。そんな勢いもあって、バドミントンの競技人口も増えているという。実際に、バドミントンを始めるにはどうしたらいいのか。どのようなきっかけで始めているのか。実業団チームの選手として16年のキャリアを重ね、現在は選手兼コーチを務める下川裕一さんに聞く。(取材・文/武田鼎)
親の影響で始める子どもが圧倒的に多い
――そもそもバドミントンはどういう経緯で始めるケースが多いんですか?
下川裕一(以下、下川):バドミントンは体育館がないとできないスポーツなので、子どもの場合はまず、その場所とセットで活動している地域のジュニアチームに行かせるというのがかつてはスタンダードでした。今はかつてバドミントンをやっていた親が、自分の子を小学校の低学年、1年生とかのタイミングでジュニアチームに参加させるのが一般的ですね。僕が所属している旭工芸でも、ジュニアチームを結成して小学生を20人くらい指導していますが、ほとんどの親が経験者ですね。指導の際も手伝ってくれるので助かっています(笑)。
――下川さんの場合はどうでしたか?
下川:祖父がバドミントンをやっていて、3歳ぐらいのときに一緒についていったのが始まりでした。昔は、誰かの紹介で、バドミントンのこういう集まりがあるよ、という流れが一般的だったようです。私は小3くらいから少しずつ指導を受けるようになりましたけど、ちゃんと教わったのは中学の部活からですね。今は競技性のほうに重点を置くようになっているので、卓球などと同様に競技開始の低年齢化が進んできています。中学校から始めたら全国大会にはまず出れないですから。
――中学スタートだと遅いんですね……。
下川:ジュニアチームは小学1年生から始めるケースが多いです。親が経験者だと、その前に、たとえば年長ぐらいから遊びで始めていたりするので、小学1年生になった時点ではすでに少し経験している状態で入ってくる形も少なくないですね。旭工芸ジュニアでも、最初は小1からスタートしていたんですけど、やっぱり早いほうがとなり、いまは幼稚園の年長からでも対応しています。上のきょうだいがやっていて、弟や妹がそこにつられて始めることもあります。
――下川さんのお子さんも、バドミントンをやっているんですか?
下川:まだ3歳ですが、下の子にやらせてみようとしているところです。たまにラケット持って、羽を打つというよりはなんとなく遊んでるような状態ですけどね。手で羽をつかんで投げてみたりして。まずは、そんなところからスタートかな、という感じですね。
中学生から始めるのでは「遅い」
――親が未経験だと、ジュニアで入ってくる子どもっていうのはあまりいないわけですね。
下川:少ないですね。主体的に探さないとジュニアチームが見つからないので、バドミントンへ興味を持つきっかけがないと難しいと思います。小学生までだと、興味を持つのは親からになるケースが多いですね。逆に中学校になると部活があるので、サッカー部とかと同じ位置づけでバドミントンの世界へ入ってきたりするんですけど、競技としてはそれからじゃちょっと遅いかなという感じですね。
――「遅い」というのは、全国を目指すくらいのレベルには、というイメージですか。
下川:全国を目指すには、中学からだとちょっと足りないですね。ジュニアチームから始める子がかなり増えて競争が激しくなってきているので、たとえば東京だと区でも優勝するのが難しいと思います。
――レベルも上がってきてるんですか?
下川:もちろん上がってますね。技術も、僕らのころより断然上がっています。競技人口自体も増えていると思います。ただ、オリンピックや世界選手権なども含めて、海外と伍して活躍する選手が増えてきているのは、競技開始の低年齢化の影響というよりは、日本バドミントン協会の強化体制が整ってきたことが大きいのではないかと思います。
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