“クリス・ポールのレイカーズ行き”をなぜリーグは破談にしたのか?現地記者が10年越しに真相を明かす<DUNKSHOOT>
今季キャリア17年目を戦うフェニックス・サンズのクリス・ポール。彼がこれまでで最も優勝に近づいた瞬間が、昨季のNBAファイナルだ。ミルウォーキー・バックスに敗れ惜しくもチャンピオンリングを逃したものの、そのリベンジを果たすべく今季もチームを上位に導いている。
そんなポールには、過去にも優勝に近づくチャンスがあった。2011年12月、当時在籍していたニューオリンズ・ホーネッツ(現ペリカンズ)と2010年の王者ロサンゼルス・レイカーズ、さらにはヒューストン・ロケッツを交えた三角トレードが成立しかけたのである。しかし、そのトレードでポールはレイカーズ行きが内定していたものの、リーグからまさかの横槍が入り交渉は破談。その後ホーネッツはクリッパーズと交渉をまとめ、トレードが成立した。
当時レイカーズでプレーしていたコビー・ブライアントと、リーグトップクラスの司令塔ポールの共闘が実現していれば、リーグの勢力図は大きく変わっていたかもしれない。そして後に「すでにコビーといろいろなことについて話していた」と振り返っているポール自身も、優勝へ限りなく近づいていたはずだ。最終的にはデイビッド・スターン前コミッショナーが止めたこのトレードについて、このほど『ロサンゼルス・タイムズ』のアンドリュー・グリーフ記者が、当時NBAでバスケットボール部門エグゼクティブ・バイスプレジデントを務めていたステュー・ジャクソンのコメントを紹介している。
「私はスターンに、『ラマー・オドム(当時レイカーズ)、ケビン・マーティン、ルイス・スコラ、ゴラン・ドラギッチ(いずれも当時ロケッツ)のパッケージは、ニューオリンズ・ホーネッツをプレーオフに進出させるだろうが、優勝する力はないだろう』と伝えた。オーナーにとって凡庸なチームは必ずしも魅力的ではない。そして翌日になってデイビッドは取引を拒否し、トレードを承認しない決定を下したんだ」
リーグのパワーバランスを鑑みたスターン前コミッショナーの判断があったとはいえ、“もしこのトレードが実現していたら……”と思うファンは決して少なくない。ポールもこの頃を回顧してはトレード取り消しを悔やむ発言をしているものの、サンズでリーグの頂点に立った日には、約10年越しに当時の溜飲を下げることができるはずだ。
構成●ダンクシュート編集部
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