MLBのルール改正は大谷翔平にとって“諸刃の剣”? 米専門メディアが「最も関係する」と気にする一長一短の効果とは
去る3月6日、興味深い決定が米球界で下された。かねてから新労使協定の交渉を重ねているMLB機構と選手会は、ニューヨークで行なわれた会議において、来季から投球時間の制限と、守備シフトの禁止という新ルールを設ける方向であると発表した。
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先月に合意に至っていたナ・リーグでのDH制の導入も含め、今オフに相次いでいるルール改正は、ほぼすべての選手たちが何らかの影響を受けると見られている。そのなかでロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平も、小さくない余波を受けそうだ。
昨季の大谷は、投打の二刀流で一大フィーバーを巻き起こした。とりわけ打撃面では、本塁打王争いに最後まで絡む46ホーマーを放ち、100打点、103得点をマーク。さらにOPS.965、長打率,592と、リーグトップクラスのアベレージを維持し続けた。
そんな27歳の偉才にとって、守備シフトの禁止は、投打の両面で影響がありそうなのである。
まず、打撃ではメリットが多いと考えられる。それはデータを見ても明確だ。昨季に大谷が放った打球の約72%が右あるいは右中間方向だったため、相手の一、二塁間に遊撃手ないし三塁手を配置され、ヒットを阻まれるケースが少なからずあった。しかし、守備陣形が禁止となれば、必然的にヒット数が増える可能性が出るのだ。
実際、エンジェルスの専門メディア『Halo Hangout』は、「MLBがシフトを禁止することで最も関係するのは、オオタニだ」とし、次のように予想する。
「シフトがなくなれば、オオタニがどれだけ支配的になるか想像できるか。ますます、彼と対峙するのはフェアじゃなくなる。すでにそうだが、正式にルール改正がされれば、オオタニがどれだけ電撃的な活躍するかをあらためて想像してほしい。おそらく昨シーズンのようなバントヒットはなくなるが、それ以上の何かを我々は目の当たりする」
一方で「投手・大谷」には、デメリットをもたらしかねない。9勝を挙げた昨シーズンは奪三振率10.77とハイアベレージを記録した一方で、ゴロ率は投球全体の45%と決して低いとは言い切れなかった。実際、味方の守備陣の極端なシフトに救われた場面も少なくはなかったため、防御率が悪化する可能性もはらんでいる。
まさに新ルールは、二刀流戦士にとって“諸刃の剣”。そのなかで、幾度となく我々の度肝を抜いてきた大谷が、いかに飛躍を遂げるのかに注目だ。
構成●THE DIGEST編集部
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