【#3】ゴルフスクールはどう探す?カリスマ”クセ強”講師の教え方
前回の続きです。初めてゴルフ練習場に行き、クラブで床をぶっ叩くダフリを連発して文字通り手痛い思いをした私は、ゴルフスクールに通うことに決めました。
ネットで調べてみると、ゴルフスクールは自宅から通える範囲にいくつかあり、どこでも正式な入会の前に体験レッスンを受けられるとのこと。そこで、とりあえず3つのスクールで体験レッスンを受けてみることにしました。
最初に行ったのは、都内の屋外ゴルフ練習場の一角で行われるレッスンでした。同じ回に一緒に体験レッスンを受けるホスト風の若い男性と待ち構えていると、クセの強い男性講師が姿を現しました。
この人のクセ強ぶりを言葉にするのは難しいのですが、見た目は割と普通の中年男性。しゃべりも流暢ではなく、どちらかというとボソボソしていて、話し方は渡部篤郎のものまねをしているときの山本高広にそっくりでした。受講生の我々2人を前にして、その講師は話し始めました。
「ほかのゴルフスクールとか行ってますか?行ってない?ああ、行かない方がいい」
なんと、いきなりの同業者批判です。一言目からアグレッシブすぎて意表を突かれました。
「ほかのスクールに行くとね、まずはこうやって持ってください、こうやって構えてください、両腕の三角形をキープして振り上げて、左手は伸ばして振ってください、っていうことを言われます。……でも、そうやって形を教わってもね、打てるようにならない」
えっ、そうなの?
「ここではそういうのじゃなくて、いきなり打てるようにします。あそこに的があるでしょ?これから打ち方を教えます。そうするとね、今日いきなり、あそこにバーンと打てるようになるから」
すごいことを言い出しました。とにかく自信満々。まだ1つ目のスクールなので、ほかの講師がどういう感じなのかわからないけど、この人が相当な「クセ強」であることは間違いありません。
なかなか出ない会心の1打
その後もしばらくは実技には移らず、講義が続きました。人それぞれ体の重心の位置が違うので、それによって合っている打ち方が変わるし、クラブも変わる。コーチは私たちにちょっとした体の動きのテストのようなことをして、それぞれのタイプを教えてくれました。もう一人の受講生はつま先重心タイプ、私はかかと重心タイプだと言われました。
「かかと重心タイプは、一般的なレッスンでは上手くならない。打ち方が全然違うから。このクラブで打ってみればいい。これはかかと重心の人のための特注だから」
そう言って、私たちそれぞれに合わせたクラブを持たせると、ようやく実技指導が始まりました。と言っても、ほかのゴルフスクールのように形から教えるのではなく、いきなり打たせる練習です。
講師は私にクラブを握らせて、バックスイングの形を作らせて、そこから「こうやって振ってみて」と指示してきました。特に強く言われたのは、胸を張ったような体勢で、目線はボールの後方を見たまま、体は後ろを向いたままで振る、ということです。
そこから何回か打ってみたのですが、なかなか上手くいきません。言われた通りやっているつもりなのですが、自分でもわかるぐらい体勢が不安定でフラフラしていて、内心では「こりゃダメだな」と思っていました。
一方、もう1人の受講生は、指導を受けてすぐに割とスムーズに打てるようになっていました。受講生は打てるようになって満足、コーチも教えてすぐに結果が出て満足。win-winの関係です。
でも、こちらはそうはいきません。何度も打ち方を直されますが、上手く当たることはありませんでした。さすがのカリスマ講師もこれにはしびれを切らし、「君はなかなか、アレ(運動音痴)だね」と言葉を濁しながらも言われました。残念無念、lose-loseの関係です。
時間が来てレッスンが終わると、コーチの熱心な勧誘が始まりました。美女がゴルフをやっている写真を見せてきて「こうやってコースレッスンにも行くよ。楽しいよ」と、歌舞伎町の客引きのような手段も駆使してきました。もう1人の受講生はすっかりこの講師に心酔していて、入会の意志を告げていました。
私の方は、結局、その場で上手く打てるようにはならなかったのですが、この人についていけばすぐ打てるようになるのではないか、という感覚はありました。何しろカリスマ性がすごかった。覇王色の覇気を放っていました。
結局入会したスクールは…?
でも、なんというか……結果的には、この人のところには入会しませんでした。何しろまだ1つ目だったので、ほかのスクールも見てから決めたいという意識があったからです。そう言って断ると、コーチは露骨にがっかりしたような顔をしていました。素直な人でした。
結局、ここに入ることはなかったのですが、この判断が正しかったのかは今もよくわかりません。あのカリスマのところに通っていれば、今頃はとっくに100を切っていたのかもしれません。
ていうか、こうやって書いていたら、行っておけばよかったような気がしてきたな。ひょっとしてここから選択を間違えていたんでしょうか。
結局、私は別のインドアスクールに通うことにしました。そちらは講師が複数いて、毎回違う人に教えてもらうという仕組みです。前述のスクールは週1回のレッスンなのですが、こちらは通い放題なので好きなときに何度も行けるというのがメリットです。
そして、この時点でもまだ、私はゴルフのことをなめていました。当時の日記を見ると「5〜6回スクールに通えば最低限は打てるようになるかな。そうすればあとは細かいところを直したりすればいいだろう」などと呑気なことが書かれています。1年前の無邪気な君、いいことを教えよう。1年経っても最低限も打てるようになっていないよ。
そんなわけで「ゴルフスクール死闘編」の幕が開いたのでした。(続く)
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